サポーター。耳を疑う
僕の手を掴みながら街の中をスタスタと歩き進めるユーリさん。
街の人々はそんな僕らを奇異の目で見ている。
まぁ、毎度のことだけどこんな超絶美人のユーリさんが変哲もない僕みたいな男を引き連れていては分不相応もいいとこだと思われているんだろう。
後は、ユーリさんの悪い噂。
【血塗られた女剣士】なんて悪名を付けられた彼女を見て敬遠する人の目と言ったところか。
けれど、この数ヶ月で僕らは色んなクエストをこなしてきた。
名声値も上がり、ユーリさんの悪名も少しはマシになって来たと思っている。
「あ!ユーリお姉ちゃんだ!」
「あ、久しぶり」
街角から元気に手を振ってくる少女。かつてユーリさんが探した迷子の子犬の飼い主の娘。
こんな風にユーリさんに気兼ねすることなく声をかけてくれる人も増えてきた訳で。
そういう意味では僕の【脱・血塗られた女剣士計画】は順調と言える。
何て感慨深く思いながらこれまでの軌跡を振り返っていると……。
「……ねぇ、マイン」
「はい。何ですか?」
おもむろに声をかけてくるユーリさんに僕は答える。
「……あ、あの、えっと」
すると、ユーリさんにしては珍しく口ごもりながら何かを言おうとしている。
「も、モモカの店……よく行くの?」
「はい。手伝いを頼まれてるので。しょっちゅうって訳じゃないですけど」
やることがない時とかぐらい。ちょっとずつでもノルマをこなしている。
じゃないと丸一日かかっても終わらないぐらいの武器が山積みされることになるから。
「……べ、別に、別にいいんだけど……いいんだけど!」
「は、はい?」
何故か語気を強めながらユーリさんは言う。
「あ、あんまり……モモカのことばっかり考えないで……ね?その……た、たまには……私のことも……その…………」
「え?な、何です?」
今度はゴニョゴニョと尻すぼみになっていくユーリさんの声。後半は何を言っているのか聞こえない。
「……な、何でもない!マインの分からず屋!!」
「何でですか!?」
結局、何故か僕が怒られる羽目になってしまった。
何だろう……僕何かしたっけなぁ?
「おい……あれ見てみろよ」
「うわ……落ちぶれたもんだなぁ」
「……ん?」
なんてことを考えていると、ふと街の人々が何かを見ながらヒソヒソと悪態をついているように見える。
何事だろう?
何となく気になって僕は街ゆく人々の会話に耳を傾けてみた。
「ひっでぇ有様だな……あれで勇者ってんだろ?」
「ありえねー……前、中級クラスのダンジョンですら失敗したって聞いたぞ?【黒天の勇者】に助けて貰ったとかなんとか」
勇者パーティが、中級クラスのダンジョンを失敗した?
「……?ねぇ、街の人達何をこんなに騒いでるの?」
いつもと違う街の様子にユーリさんですら僕に声をかけてくるほど。
「そうですね……どうも話を聞く限り調子が悪い勇者パーティがいるようですね」
中級クラスのダンジョンって事は、レベル30〜40ぐらいと言った所か。
それを失敗となれば余程のことだと思った。
勇者なら大体レベル的に低くても50後半はあるはず。
下手をすれば1人でもクリアできてしまうほどじゃないか?
一体全体、どこのパーティなんだろうと不謹慎だけど気になってしまう。
「最年少勇者、【雷の勇者】シデンも落ちたもんだな。見ろよ、あのボロ雑巾みたいな姿をよ」
「違ぇねぇ。ガハハ」
「…………え?」
街ゆく人の言葉を聞いて、僕は耳を疑った。




