サポーター。後遺症を患う
それは、インゴット炭鉱でワーウルフ・キングを討伐して数日後のこと。
僕が無事にユーリさんと契約を終えて、子犬探しを終えたあとの事。
僕は行きつけの診療所で診察を受けていた。
「どうだね。右腕は?」
「………………」
僕は包帯を外した右腕を試すように動かしながらドクターに告げる。
「やっぱり……違和感があります」
「……そうか、やはり……後遺症が残ったか」
僕の右腕。
ユーリさんを助けるために粉塵爆発を起こした代償。
普通のケガであれば回復魔法や回復薬ですぐに元に戻る。
けれど、僕の右腕に負った大火傷はその回復の許容を超えていた。
「ただでさえ火傷というケガは細胞を破壊する。だからいくら回復力を高めた所で回復する元が破壊されていては……」
「分かってます。覚悟はしてました」
火傷してすぐに回復薬を飲んだから、何とか右手は動くけれど全力で力を込められない。
日常生活を送る分には何の問題もない。だが……。
「残念だが……これではもうサポーターを続けることは……」
「……いえ。だったら左利きになります」
重い顔で告げるドクターに、僕は首を横に振った。
「僕、器用さだけが取り柄なんで。それくらいわけないですよ!」
慣れるまではしばらくかかるかもしれないけど、【器用貧乏】のスキルもある。利き手を変えるぐらいきっと大丈夫だろう。
「しかし……君の雇い主にはちゃんと言っておいた方が……」
「だ、ダメですよ!」
ドクターの言葉に僕はバタバタと手を振る。
「し、しかしだね」
「だって……ユーリさんに余計な心労かけちゃうので」
この右手は、僕の未熟さが招いた事。つまりこれは僕の自己責任によるもの。
でも、これをユーリさんに知られてしまえばきっとユーリさんは自分を責めると思う。
だから、この事はユーリさんに知られないように僕はサポーターを続けることを決めた。
そして、僕はその足でモモカさんの鍛冶屋へと足を運ばせる。
ユーリさんの防具の修繕費。その代わりとして僕がモモカさんと交わした約束。
それは、専属でモモカさんの武器の試し切りを受け持つ事だった。
実際、前はバイトとしてモモカさんの試し切りを受け持っていた訳だし、そんなに大きく状況が変わる訳じゃない。
それに武器の試し切りは右利きから左利きへの練習にもってこいだった。
こんな経緯を経て、僕は何とかユーリさんにバレないように利き腕を変えつつサポーターを続けることができたという訳だ。




