サポーター。雑用になる
「え…と……何があったの?」
ぐったりと椅子に座り込んで息を切らせる僕。
そんな僕を見て苦笑いするユーリさんは僕らの行きつけの鍛冶屋さんことモモカさんに尋ねた。
「ん〜?別に〜?ちょっとマインくんに協力してもらってただけだよ〜?」
「で、でも……マイン、こんなに疲れてるみたいなんだけど……」
「あはは〜。別にいじめてる訳じゃないよ〜?」
ケラケラと笑いながらモモカさんは言う。
「ちょっとした契約をしててね〜。マインくんに新しく作った武器の試し斬りをお願いしてたんだよ〜」
「武器の試し斬り?」
「そ〜。マインくんの【器用貧乏】のスキルはね〜、試し斬りにもってこいなんだよ〜」
僕のスキル。【器用貧乏】。
その力は僕が手にしたあらゆる武器に弱適正を与える力。
ようは、どんな武器でも多少扱えるようになるという何とも微妙なスキルなのだ。
でも、その力を使えばどんな武器でも平均値的な扱いができる。つまり、技術なんてものが無くてもどんな武器の平均値も調べることが出来るということ。
「だから、たま〜にマインくんにはバイトとして武器の試し斬りをお願いしてたんだけど〜……」
「い、色々ありまして!これからはモモカさんの専属試し斬り要員として手伝うことになったんですよ!!」
モモカさんが何かを言う前に僕は慌てて口を挟む。
「そ、そうなの……?」
そんな僕を不思議そうな顔で見つめるユーリさん。
「あ、あははー!少し休憩したので!もう続きをやれますよ!だからこの話は終わりましょー!?それよりユーリさんも何かモモカさんに用事があるんですよね!?」
あからさまに不自然ではあるけれど、僕は無理やり話題を逸らす。
「あ……そうだった」
思い出したようにユーリさんはモモカさんに話しかける。
「前、頼んでた新しい武器……できたかなって」
「あぁ〜あれね〜。できてるできてる〜」
そう言ってモモカさんは店の奥から1本の両手剣を持ってくる。
立派に鍛え上げられたその剣は素人の僕から見ても業物のように見えた。
ユーリさんと僕が勇者を目指すため、子犬の任務を終えてから数ヶ月が経過。
その間に僕らはいくつものクエストをこなしてきた。
その中でユーリさんの大剣は摩耗し、限界を迎えつつあったので、こうしてモモカさんに新しい両手剣を作ってもらうことにしていた。
「それじゃ〜マインくん。これも試し斬りお願い〜」
「……本人にやってもらえばいいのでは?」
そんな言葉が漏れるけど、まぁ別に構わない。
ユーリさんの扱う両手剣なのであれば僕がしっかりその性能を確かめていて損は無いはず。
そうして僕がモモカさんから剣を受け取り、簡単に素振りをしてみる。
うん。重くていい感じ。
ユーリさんの元々持ってた大剣とそう変わらないような仕上がりになっている。
「……あれ?」
そんな僕を見ながらふと、ユーリさんが首を傾げた。
「マインって……左利きだっけ?」
「……っ」
「……あれ〜?」
そんなユーリさんの反応を見てギクリとする僕。
それを察して首を傾げるモモカさん。
「そ、そうですよ?元々僕は左利きです。言ってませんでしたっけ?」
「いや……確かにそうなんだけど。今思い返したら、最初右利きだったような気がして……」
「あ、あれ〜?おかしいですね?もしかしたら僕がたまたま右手で武器を扱ってるのを見てそう勘違いしてるのかも?」
「そうだったかな?」
うーん……と考え込むような仕草を見せるユーリさん。
「……ね〜、マインくん」
そんな僕の所にトコトコとやってきてモモカさんがそっと耳打ちをした。
「まさか……ユーリさんに言ってないの〜?」




