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女剣士。子犬を返しに行く

 私はマインと一緒に早速仔犬を連れて依頼主の元へと向かっていた。


 依頼主の住所を知るマインは迷うことなく私の前をスタスタと歩いていく。


「……ねぇ、マイン」


「はい、何でしょう?」


 やっとの思いで捕まえた迷子の仔犬を抱きながら、私はマインに聞かずにはいられないことがあった。


「本当に……これでよかったの?」


「はい。よかったんです」


 私の問いにマインは即答した。


 彼には彼の、何かの意図があるんだろうってことが分かった。それでも、やっぱり私には拭いきれない不安があった。


「マインはそう言うけど、やっぱり私には分かんなくて。このクエストを受けることに何の意味があったんだろうって。もっと割りのいいクエストだってあったんでしょ?」


「そうですね。確かに、もっと割といいクエストはいくらだってありますよ」


 私の率直な問いに、マインはそう答える。


「……やっぱり、私が血塗られた女剣士だから?」


 そうなると、思い当たる可能性は1つだ。


「私が……名声を高めるなんてこと、できないと思ったから、このクエストを選んだってこと?」


 私には、まだこのぐらいのクエストがお似合いってことなんだろうか?


 そりゃ……確かに私は名声を上げるクエストを受けたことなんてないけど。それでも、そこまで下に見られていたんだと思うと正直悲しくなる。


 けど、マインはそんな私の不安をかき消すように私に笑いかけてくれた。


「いいえ。ユーリさんはとっても素敵な冒険者です。それはこの僕が1番分かってます」


 マインの言葉に、私はほっと肩の緊張が解けた気がした。よかった。マインはそんなこと思ってなかったんだ。


 でも、そうなると残る疑問は1つ。


「じゃあ……どうしてこのクエストを受けたの?」


 そう。このクエストを受けた目的。


 一体、どうしてマインはこんな簡単なクエストを受けることにしたのだろう。


「それは……」


 マインは私達の進行方向……依頼人の待つ家を指さしながら言う。



「きっと……クエストを達成した時に、分かると思います」



「……っ」


 優しいマインの笑顔。


 何故か、その顔を見て私の胸がドキリと高鳴った。


 同時に何故かキュッと、締め付けられるような。


「それじゃ……行きますね」


 そう言ってマインは私の代わりに小さな民家の扉を叩く。


 すると、中からバンッと音を立てて小さな女の子が飛び出してきた。



「ホープ……!あぁ、ホープ!!無事だったのね!?」



 女の子はマインには目もくれずに私の目の前まで駆け寄ると、私の腕の中の子犬に夢中なようだ。


「……はい。あなたの子犬?」


 いつまでも、私が持っていても仕方ないだろう。


 私は目を真っ赤にして涙を溜めた彼女に子犬を手渡した。


 はぁ、全く……マインは一体何がしたかったんだろう。


 まぁ、別にクエストも達成したしマインが私の言うこと何か聞いてくれるって言うし……結果オーライかな?


 何て思って、私はそのままその場を立ち去ろうとした。


 すると、目の前の少女が突然私の両手を掴む。



「お姉ちゃん……どうもありがとう!!」

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