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女剣士。子犬を……

 マインを振り切った私は苛立っていた。


 何で……何で私がこんなことをしなきゃいけないの!?


 そんなやり場のない怒りにただただ頭を支配される。


 だって、モンスターを探し出すのなら分かる。でも……子犬!?バカじゃないの!?一体マインは私を何だと思ってるの!?


 抱いた疑念はまた苛立ちに変わり、地面に転がる石ころを蹴り上げる。


 私の圧倒的なステータスで蹴り上げられた石ころは流星の如く速度で打ち出され、空気抵抗によって空中で粉々に消し飛んだ。


「何かの見せもんかよ……」


 近くを歩いていた冒険者はあんぐりと空いた口を塞ぐことも忘れてそんな異次元な状況に目を丸くするしかない様子だった。


「マインなんか知らない……。きっと私を馬鹿にして楽しんでるんだ」


 ギラギラと燃える怒りを隠すことも忘れて私はバンバンと足を踏み鳴らしながら街を闊歩する。


 踏み鳴らすたびに街のタイルが砕けてる気もするけど気のせいだ。


 当然、街の人々は唖然と私を見るけれど、そんなのは全く気にならない。


 何故こんなに苛立ってるかって?


 どうせ、私が名声度が全然ないからって馬鹿にしてるんだ。だからこんな子どもでもできるようなクエストなんて選んできたに決まってる。こんなの屈辱でしかない。


 ほんと……マインなんて、マインなんて……!


 マインのことを思い出しながら、私はまた苛立ちを募らせようとしたその時。


『僕はユーリさんのサポーターだ!』


「……っ」


 私の脳裏に1つの言葉が蘇る。


『僕はあなたを最後の最後まで支えて見せます』


 思い出すのはマインの言葉の数々。


 彼が私にかけてくれた言葉の1つ1つ。


 私にしてくれたことが浮かんでは消える。


「…………」


 そこで、ふと私はようやく何かに気がついた。


 マインは……いつだって私のために私の考えつかない様なことをしてくれた。


 今回のことはどうなんだろう?


 思い返したら、私がどんなにくだらないって思ったことも全部大切なことだった。


 だったら、もしかすると今回のクエストも……?


 でも、こんなくだらないクエストが……?


 私は逡巡する。


 けれど、その答えは意外にすぐに出た。



「……、もうっ!」



 少し夕暮れ時に差し掛かりつつあるこの街を私は駆けだす。


 何にもなかったら……許さないんだから!

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