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サポーター。馴染みの鍛冶屋へ

 僕はユーリさんを連れて路地裏の小さな建物の中へと入る。


「ここは……」


「はい。僕の知り合いの鍛冶屋さんです」


 カランカランと小さなベルを鳴らしながら扉を開くと、奥の方から何やら人の気配を感じる。


「お、マイン君じゃ〜ん、待ってたよぉ〜」


 店の奥から現れたのは、肩までかかったピンク色の髪を揺らす女性。


 その目は眠たそうでポケーっとした雰囲気をしている。


「え…と……?」


「この人はモモカさん。僕の行きつけの鍛冶屋さんです」


「ど〜も〜……モモカで〜す……」


 やる気のない返事を返しながらモモカさんはユーリさんに手を振っている。


「あ…あの……?」


 ユーリさんは状況が読み込めていないようでオロオロと僕とモモカさんの顔を見比べていた。



「話は聞いてるよ〜、ユーリさんだっけ〜?あなたのそのライトアーマーを修理したいんだよねぇ〜?」



「修理?」

 


 モモカさんの言葉にユーリさんはびっくりした顔をする。


 そう、修理。


 古くなってボロボロになってしまったのなら、修理してそれを使えばよかったんだ。


「はい。ユーリさんのその鎧も元通り使えるようになるはずです。そうすれば新しく防具を買い替える必要なんてありません」


「そ、それはそうかもしれないけど……」


 僕の提案を受けてもどこか不安そうに呟くユーリさん。


「安心してください。モモカさんはこう見えて凄腕の鍛冶屋なんです」


「ん〜?マイン君、一言余計じゃないかなぁ〜」


 ゴキゴキと腕を鳴らしながらほんわかした笑顔でモモカさんがこちらに殺気を飛ばす。


「……っ」


 自身の身を抱くように警戒の姿勢を見せるユーリさん。


 きっと、彼女の大切なライトアーマーを見せることに躊躇があるんだろう。


「安心して〜、無理に色々やったりしないから〜」


 でも、モモカさんもプロだ。そんなユーリさんの不安を察して柔らかい笑顔でそう言ってくれる。


「……わ、分かった」


 やがて、ユーリさんは緊張しつつもモモカさんに装備したライトアーマーをそっと見せた。


「ふむふむ〜……へぇ〜」


 そうしてユーリさんに装備されたライトアーマーを吟味したモモカさんはやがて。



「このライトアーマーをくれた人……よっぽどユーリさんのことが大事だったんだね〜」



「……え」


 ユーリさんに向けて、そう言った。


「このライトアーマー、アダマンタイトっていうすごい上質な素材が使われてる。それに特注のオーダーメイド品だよ。多分あなた大剣か何か使うでしょ〜?」


「……っ、何で分かるの?」


 今ユーリさんは大剣を装備してない。それでもなお見抜くかのように告げるモモカさんにユーリさんは驚いているようだった。


「このライトアーマーの構造を見たらねぇ、大体わかるよ〜。大剣を振りかぶりやすいように所々改造されてるし、体のラインも全部ピッタリ。ほんと、あなたの為だけに作られた装備だって……鍛治師ならそんなの一目で分かるって〜」


 モモカさんはそう言って笑う。


「……っ」


 その言葉に、ユーリさんの目が潤んだ。


「これだけ大切な想いが込められた装備、初めてだよ。だから必ずこのライトアーマーを元通り綺麗にしてみせる。あなたの大切な人の想いは絶対に無駄にしないから〜。だから、任せて貰えないかなぁ?」


 モモカさんの言葉を聞いたユーリさんは少し俯いて沈黙する。そして……。


「……うん。あなたになら……いい」


 ユーリさんは小さく頷きながら言う。




「私とあの子の思い出を、分かってくれたあなたになら任せたい。このライトアーマーを……直してくれませんか?」





「うん〜、任せといて〜」


 モモカさんはドンッと胸に手を当てながら言った。



「必ず、完璧に修理してみせるから〜。あなたの思い出、確かに預かったからね〜」



「あの……お金、いくらになりますか?いくらかかってもいいから」


「ううん〜。お金はいらないよ〜」


 ユーリさんの言葉にモモカさんはケラケラと笑う。


「え……でも……ただでなんて、そんなのはダメ」


 ユーリさんは驚いたように目を丸くしてモモカさんに詰め寄る。


「ここのマイン君とね〜、ちょ〜っとした取り決めをしたんだ〜。だから、お代はそれで十分だよ〜」


 モモカさんの目がギラリと悪どく光る。その眼光に思わず冷や汗を流しながら僕はそっと目を逸らした。


「と、取り決め?」


「あ……いや、別に大したことじゃないですよ」


 首を傾げてユーリさんは僕に問いかけてくるけど、僕はそれとなーく受け流してみる。


「取り決め……?え、何?マイン、あなた一体何を……」


「最優先でやってあげるから〜、また3日後くらいにおいで〜」


 そんなユーリさんの追求を誤魔化すようにモモカさんがすかさず口を挟む。


「は…はい」


 どこか腑に落ちなさそうな顔をしつつもユーリさんはこくりと頷いてくれた。

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