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サポーター。提案する

 一通り僕のアイテムが揃ったところでいよいよユーリさんが口を開く。


「そろそろ、マインの装備を整えに行こっか」


「は、はい!」


 まるで誕生日のプレゼントを買ってもらう子どものようにドキドキと胸を躍らせながら僕は答える。


 いよいよ本日のメインイベント。僕の装備の購入の時がやってきた。


 う、うわぁ……!どうしよう、ドキドキする!


 どんな装備にしようかな……、やっぱり使い慣れたナイフ?


 いや、これを機にカッコいい剣とかもありかもしれない。


 むしろ、機をてらって槍とかハンマーとかでもいいかも?


 あぁ……どうしよう!今から楽しみで楽しみで仕方ない!


 そんな風に僕は胸を躍らせながら、ふとユーリさんの装備へと目を移す。



「……あ」



 ユーリさんの装備は大きなアイアンソードと、紅い装飾がなされた銀に輝くライトアーマー。


 アイアンソードは特に特筆することもなさそうな変哲な両手剣。多少傷んではいるけれどまだまだ全然使えそうだ。


 けれど、問題はライトアーマーのほう。


 見れば表面には無数の傷が目立ち、つなぎ目の革紐はほつれ、戦闘中いつ壊れてもおかしくなさそうな気がする。


 これ……。


「あの、ユーリさん」


「何?買いたい装備が決まった?」


 どこか嬉しそうに告げるユーリさん。僕が買いたい装備を買えるのを自分のことのように喜んでくれているのだろうか。


「あの……僕の装備よりも先に、ユーリさんの装備を整えませんか?」


「……え?」


 僕の提案に拍子抜けしたような顔をするユーリさん。


「確かに、僕の装備が整えば戦力が上がりますけど……優先順位的にはユーリさんの装備を整える方が先では無いかと」


 僕は基本的に後方支援中心。


 確かに装備が整えば非常にありがたいけど、最低限の装備は揃ってる。


 それに積極的に戦闘に加わるわけでは無いのだから、僕の装備よりも先にユーリさんの装備を整えたほうがいいのでは無いかという提案だ。


 

「だから、そのライトアーマーの代わりに新しい装備を新調しませんか?僕の装備はその次で……」




「絶対にダメ!!」




 その時。ユーリさんが突然声を張り上げて叫んだ。



「え……?」



 突然の出来事に、僕は思わず目を丸くしてしまう。



「絶対……ダメ。私のことはいいからマインの装備を買うの」



「いや……ダメって言っても……」


 僕は再びユーリさんの装備に目を落とす。


 やはり、どう見てもユーリさんの装備はボロボロでいつ壊れてもおかしくなんかない。


 もし大事な場面で鎧が壊れてみろ。ユーリさんが傷ついてしまうのは明白だった。



「ぼ、僕だって引けませんよ!そんな装備でもし敵にやられちゃったらどうするんですか!?絶対にユーリさんの装備を買い直す方が先決です!!」



 僕だって引けはしない。


 ユーリさんの身にもしものことがあってはならないのだ。



「絶対に嫌!だから早く装備を選んでよマイン!!」



「ダメです!僕だって絶対に引けませんから!!」



 道の往来で叫び合う2人。


 周りの通行人がザワザワと僕らを囲んでいるけれど、僕らはそんなことにも気付けないほどにヒートアップしていた。



「もう!マインの分からず屋!!」



「どっちがですか!?分からず屋なのはユーリさんの方ですよ!!」



「……っ!私は分からず屋じゃないもん!!もうマインなんか知らない!マインのバカ!!」


 

「僕だって!もう知りませんからね!?」



 そうしてユーリさんはプイ、とあからさまにそっぽを向いて何処かへと歩き去ってしまう。


「…………あ」


 ふー……ふー……、と。


 息を荒げた僕はそこで初めて周りの視線に気がつく。



「……し、失礼しました」



 僕は顔を真っ赤にしてそそくさとその場を離れることしかできない。

 

 こうして、僕らの初めてのお買い物は見事喧嘩別れする形で幕を閉じることとなった。

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