サポーター。待ち合わせる
僕は側からみたら不審者かと思われない程にソワソワして辺りをキョロキョロと見渡していた。
今はお昼の12時ちょうど。
約束の時間までに1時間はあるんだけれど、待ちきれなくて早めに来てしまった。
「に、匂いとか大丈夫かな……?」
ちゃんとシャワーも浴びて来たし……大丈夫だと思うんだけど……。
何故僕がこんなにドキドキしてるかって?
それは、新しい装備が楽しみだとかそんな浅はかな理由なんかじゃない。
「ど、どどどどどうしよう……女の人と2人で街で買い物なんて、はじっ、初めてだ……!」
生まれたての子鹿のように足をガクブルさせながら僕は晴れ渡る空を見上げる。
そう、人生=彼女いない歴な僕にとって女性と2人っきりで買い物なんて刺激が強すぎだ。
だから、失礼がないようにしなければ……!確か世の男性は約束の時間の1時間前には待ち合わせの場所にやって来て、「今来たところだよ☆」とかっこよく言うのが常識だと教えてもらった。
かつての教えを心に反復しながら僕はユーリさんがやって来るのを待つ。
「あれ……?」
大丈夫。まだ1時間はあるし心の準備をする時間は……。
「マイン?何で……?」
「……へ?」
ふと顔を上げると、そこには燃えるような赤い髪と透き通るような蒼い瞳。
僕の雇い主こと、ユーリさんが立っていた。
「まだ……1時間あるけど……?」
「え…と……それはユーリさんもでは……?」
僕はかっこよく「今来たところだよ☆」と言うこともすっかり頭から抜け落ちてそんなことを言う。
そう、約束の時間までまだ1時間もあるのに何でここにユーリさんが?
「べ、別に……早く来て準備しようなんて思ってないし」
「ぼ、僕だって……早く来て『今来たところだよ☆』なんて言おうと思ってませんよ」
互いが互いにオロオロと変な言い訳をしあう。
そして……。
「……ふふっ」
「あ、あははっ」
そして2人で笑い合う。
きっと、お互いがお互いにおんなじことを考えていたんだろう。早めに行って待っていようって。
「せっかくなんで、行きましょっか」
「うん」
そうして先程までの緊張は何処かへと消え去り、僕らは街に繰り出した。




