サポーター。逆転の一手を打つ
見つけた。
そこにいたのは身体のあちこちから血を流し、ワーウルフ・キングに立ち向かわんとするユーリさん。
よかった……間に合ったんだ!
「う…ぐっ……」
それと同時にぐらりと揺れる視界。
ユーリさんを見つけたことで気が抜けてその場に倒れそうになってしまった。
ダメだダメだ……!ここからだろ!?
ユーリさんを勝たせるために、僕はここに来たんだ!
とにかく、僕は周囲を見渡して状況を把握する。
ユーリさんの周囲の地面がまるで隕石が落ちたかのようなクレーターになっていた。
そうか……確かワーウルフキングは粉塵爆発で巻き起こった爆炎を操るって言ってたな。
なら、きっとユーリさんはそれにやられてしまったんだろうか。
そして奴の手に握られた火打ち石と、この空間に舞う石炭の粉。これで再びユーリさんを攻撃するつもりなんだろう。
「な…んで……来たの……?」
瞬時に状況を分析する僕に、ユーリさんが声を上げる。
「はや…く、逃げて……!あなたなんかに…できることはない……!だから…だから、早く行って……!!」
「……嫌です」
苦しそうに身体を抱くユーリさんの言葉を聞いて、もうユーリさんも限界なのだと言うことを悟った。
それでも僕は引かなかった。いや、引くわけにはいかなかった。
「分からず屋……!もう勝てない!私の炎のスキルも使えないし、ここまでやられたの!だから……だから、あなたぐらいは逃げなさい!!」
「それでも!僕はあなたを見捨てたりなんかしない!!」
泣きそうな声で叫ぶユーリさんに僕は言い放った。
「確かに僕は弱っちくて、役立たずで!泣き虫のかもしれない!!それでも、たった1つだけ譲れないことがあります!」
そうだ、思い出せ。僕の原点を!力の源を!
「僕はあなたのサポーターだ!!一度支えると決めたのなら、僕はどこにだってついていきます!あなたがもしここで死ぬと言うのなら、僕だってここで死んでやる!!もう何があったって僕はあなたを1人になんかしない!!!!」
「……っ!?」
僕はそう叫ぶと、一直線にワーウルフ・キングに向かって飛び込む。
「グフッ」
そんな僕を見て、奴は笑ったんだろう。
何だこの雑魚は?と。
僕の貧弱なステータスなんて、奴の脅威になんてなり得ない。
だからこそ、奴は……。
「ウォオオオオオオオ!!」
僕の行手を阻む人狼の群れ。
手下のワーウルフ達を差し向けた。
当然だ。僕みたいな雑魚相手に、わざわざ王が自ら手を下す必要もない。
僕なんて、奴にとって羽虫みたいなものなんだろう。
だからこそ、そこに僕の付け入る隙があるんだ。
「あぁぁぁぁっ!!」
僕は迫るワーウルフ達を前にバッグの中に手を伸ばす。
もうアイテムなんて、ほとんど残っちゃいない。
残っているのはたった1つの閃光玉。そして……。
「これしか……ないよな……」
迫るワーウルフ達の群れに閃光玉を放り投げた僕は、そんなことを言っていた。
カッ!
視界を奪われて悲鳴を上げるワーウルフ達の身体を踏み台に、僕は翔ぶ。
ユーリさんの元へ。
彼女の勝利をサポートするために、捨て身の特攻だ。
僕が何とかしなきゃ行けないのは、迫るワーウルフ・キングの火炎攻撃を防ぐこと。そしてユーリさんに勝利のための道を作ること。
それを、実現する策。
この苦しいまでの逆境を跳ね返すための一手!!
「ユーリさん……!」
僕はユーリさんの方に視線を送る。
頼む……意図に気づいてくれ。
そう願いながら、僕はバッグではなく僕自身のポケットの中に手を伸ばす。
「【コール】!この枯れ果てた大地に恵を与えたまえ!!」
そう詠唱しながら僕はポケットの中のそれを天にかざす。
雨の魔石。
小さな範囲内に小さな雨雲を生成し、雨を降らせる魔石を発動させた。
「降り注げ!【豪雨】!!」




