女剣士。孤独に震える
いつからだろう。
豪炎の中でその身を焼きながら、私はそんなことを考えていた。
サングライト王国で、私はただ敵を狩る死神だった。
私が1人突き進む道には粉砕した敵の武器。切り刻まれた敵の体。
敵を殺すこと以外、私は何も教えられてはこなかった。
別に、それでよかった。だって、それしか教えてこられなかったし、それ以外私を私たらしめるものはなかったから。
そんな私の後についてくるものなんて、何もなかった。
味方でさえも、敵陣に1人突っ込む私を見送るだけ。
いつからだっただろう。その私の日常が崩れたのは。
『ダメよ、ユーリ!1人で突っ込みすぎ!』
『あなたの背中は私が守るわ!迷うことなく突き進みなさい!』
いや、本当は覚えてる。あの時からだ。
あの彼女が私を追いかけてきたあの時から、私の世界は変わってしまったんだ。
「う……」
私を襲う炎が晴れ、カクンと足から力が抜ける。
背中が、スースーする。
もう、そこには誰もいない。
それでよかったはずなのに。
敵をただ打ち倒していれば、それでよかったはずなのに。
私の心は、別の何かを求めて悲鳴をあげている。
でも、もうそれは届かない願い。
だって、私が強すぎるから。みんな私を恐れて遠くへ行ってしまう。
何で、私はここにいる?
私は、一体何のために戦ってるの?
「ウォォォォォ!!」
膝をつく私を見下ろしながら、ワーウルフキングは配下のワーウルフ達に指示を飛ばす。
すると、人狼の群れの中から空気中に向かって振り撒かれる黒い粉。きっと、あれは石炭の粉だろう。
また、私の炎が封じられてしまった。
腹が立つ。
イライラする。
また、思うように戦わせてもらえないこの現状に。
そして、この多勢を相手にして私はまた痛感する。
あぁ……私はまた、どうしようもなく孤独なんだと。
「……っ!ぁぁぁあ!!」
それでも私は立ち上がる。
今の私には、もうそれしか残されていないから。
唯一残された私の存在意義。
剣を振ること、戦い。
それだけのために。私は剣を振る。
その果てに何があるのかも分からないまま。目的も何も、分からないままに。
死に場所を……あの娘がいるその場所へと向かうために私は……!!
その時だった。
ドンッ!!
突如背後で鳴り響く爆音。
「……っ!?」
「ヴォ!?」
ワーウルフキングでさえ、突然の事態を前に明らかな動揺をみせる。
何……?
もくもくとあがる黒煙。
誰かが、私と同じように失敗したのだろうか?
ぼんやりとする意識の中でそんなことを思っていると、その黒煙を掻き分けて何かが飛び出してくる。
「ユーリさぁぁぁあん!!」
そこに現れたのは、血みどろな身体を震わせる1人のサポーターだった。




