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女剣士。半狼の王と相対する

 インゴット炭鉱。


 私は昨日痛い目に遭わされたダンジョンの入り口に立つ。


「……」


 昨日はあれだけ感じたワーウルフの気配がない。


 これは多分、誘い込まれているんだろう。


「上等……」


 私はアイアンソードを抜きながら炭鉱の奥へと進む。


 誘い込むということはすなわち、ワーウルフキングもこちらを脅威と認めたのだろう。


 そんなワーウルフキングがとる手。それはきっとあのムカつくサポーターの言うのと同じ手。


「ガルゥ!」


 私の死角から飛びかかる2匹のワーウルフ。



「ふんっ!」



 ザンッ!!


 私はその一振りで2匹のワーウルフを真っ二つに斬り捨てた。


 甘い。雑魚がいくら来ようが何の脅威にもなり得ない。


「グルゥアアア!!」


 闇の奥から蟻の巣を突いたように湧き出してくるワーウルフ達。


「邪魔……!」


 けれど、私は怯むことなく迫り来るワーウルフ達を武器ごと斬り捨てていく。


「ガルゥ!」


 たまに死角から息をひそめたワーウルフが急襲する。


 グシャァッ!


 でも、そんなものは私には通用しない。カウンターで回し蹴りを放って岩壁へとそいつを叩きつける。


 炎のスキルさえ使わなければ、負けなんてない。


「スキル、【突貫】!」


 大剣を槍のように前に突き出してワーウルフの群れの中へと突っ込んでいく。


 言わば武器を盾にした突進。初級のスキルだけど私の強力なスキルから放たれるそれはもはや戦車。


 ワーウルフ達は馬車に轢かれるが如く次から次へと肉塊へとその身を堕とす。


 さぁ、どこ?


 ワーウルフ達はワーウルフキングによって無限に湧くとあの男が言っていた。


 なら、大量のワーウルフ達の湧くこの先にキングが……。


「……っ」


 ムカつく。


 何で……何であいつの顔が頭をよぎるの?


 そもそも、何であいつの言っていた情報で私はこのクエストをこなしてるの?


 火炎スキルが使えないこと。ワーウルフキングの特性。


 これらは全てあの男の教えてくれた情報だ。


 それを活用している自分にまた苛立ちが募る。


 ゴッ!!


「……っ」


 その時、ワーウルフ達の群れを抜けて広い空間へと飛び出した。


「グルルル……」


「いた」


 その空間の中心にはまるで玉座のような岩でできた椅子に座る大柄なワーウルフ。


 冒険者から奪い取ったのだろうアイアンプレートと、2メートルはあろうかという巨大な大剣を担ぐそいつ。


 前に見たワーウルフよりもやや赤みがかかった毛並みをしているような気がする。


 この威圧感。間違いない。奴が件のワーウルフキングだ。


「【観察(オブザーブ)】」


 私は目の前のワーウルフキングにスキルを使う。


 対象のステータスを見る高等スキル。


 ワーウルフ・キングなら、レベルは多分60前後と言ったところのはず……。



【名前】ワーウルフ・キング

【レベル】74

【アビリティ】半狼の王『手下モンスターワーウルフの無限増殖とレベルブースト』

       火炎操作(ファイアオペレーター)『触れた炎の操作を可能にする』

【ステータス】

 腕力:338

 体力:280

 魔力:53

 俊敏:231



「っ!?」


「ゴオオオオオオオオ!!」


 強い!?前に戦ったワーウルフキングとは違う!?


 私がキングのステータスに動揺したその一瞬の隙をついて、ワーウルフキングが私に向けて跳躍した。



 ギィィィイン!!!



「くぅぅぅっ!!」


 上段から打ち出された剛撃を剣で受け止める。


 跳躍とその腕力から繰り出される一撃は剣越しでも私の腕に鈍い衝撃を叩き込んできた。


「ゴオオオオオオオオオオ!!」


 咆哮するワーウルフキング。それと同時に私を取り囲むように突っ込んでくるワーウルフの群れ。


「この……邪魔……!」


 まとわりつくように飛び掛かってくるそいつらを斬り捨てながら私は悪態をついた。


 こいつら……怖くないの?


 ワーウルフ達の動きは言わば特攻。


 自分の命を勘定に入れていないように無謀に突撃してくるのだ。


 まさか……これもキングの力?


 ワーウルフキングにとって手下は道具も同然。


 故に、手下達は自分の命が惜しいなどという感情も抱かずにこうして突っ込んでくるのだ。


 でも、それを可能にするにはキングに圧倒的カリスマが必要。


 と言うことはすなわちこのキングの強さはそれほど強いと言うこと。


「……ムカつく」


 私の炎のスキルは封じられ、まとわりつくように湧くワーウルフ達。


 隙を見せようものならキングが斬り込んでくる。


 何もかもが、うまくいかない。


 この戦いも、このクエスト自体も。


 そして、あの男のことも。


 とにかく私はむしゃくしゃした。


「あぁぁぁぁぁぁあ!!!!」


 そんな苛立ちを吐き出すように私は咆哮してワーウルフキングと互いの武器をぶつけ合う。


 早く終わらせてやる!


 このクエストも……そしてあの男との関係も、全部……全部!!


 ザシュッ!!


「グオオオオ!?」


 私の猛攻がワーウルフキングを掠める。


 ワーウルフキングの顔を斬りつけた。


 やれる……!炎のスキルを使わなくても、倒せる!


 私はそう確信した。


「グッフッフ……」


 けれど、それでもなおワーウルフキングは笑う。


 私は気づかなかった。


 ワーウルフキングの左手。


 そこに握られたのは火打ち石。


「な……」


 キィン……


 火打ち石がぶつかる音が甲高く響く。


 それと同時にワーウルフキングの手元から放たれた火花が洞窟内に舞い散る石炭の粉に引火。凄まじい勢いで燃え上がる。


 その刹那。私の脳裏をよぎるのは奴のアビリティ。


 火炎操作(ファイアオペレーター)『触れた炎の操作を可能にする』。


 まさか……あの燃え上がった炎を操るつもり!?


 私がそう思った次の瞬間にはその炎が意志を持ったように私に向かって飛来する。


 それはさながら巨大な狼がその顎を大きく開いてこちらに食らいついてくるかのようだった。


「この……!」


 回避に走ろうと私は体に力を込める。


 ガクンッ


「え……」


 けれど、私の身体はいうことを聞いてくれない。


 見ると、奴の下僕のワーウルフ達が私を捕らえるようにしがみついていた。


「そ…んな……っ」


 この炭鉱を揺るがすほどの豪炎。


 轟々と燃え上がる炎の一撃が迫る。



 ダメだ、避けられない!?



 ゴッ!!


 そして次の瞬間、私の身を激しい炎熱が襲った。

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