半狼の王
そいつは、インゴット炭鉱を歩いていた。
灰色の毛並みと強靭な身体を持つ巨大な半狼。
「グルルル……」
そいつが歩くと周りの半狼達は跪く。
何故なら、彼はこの炭鉱の支配者だから。
案内の半狼の後に続くと、そこは小さな炎の残滓がメラメラと燃え残りいくつもの配下達の遺骸が転がっていた。
今日、一度大きな爆発があったこの場所。
匂いを辿るとどうもここで爆発を起こした奴は生き延びたらしい。
「グルルル……」
キングの機嫌を伺うように案内のワーウルフが顔を見上げる。
ブシャン!
次の瞬間、キングはそのワーウルフの首を握りつぶしていた。
貴様らが逃したせいで、面倒なことになった。この爆発で弱った奴らを殺していれば対策など考えずに済んだだろうに。
生き延びたのだとすれば、また来るだろう。この我を討ちに。
あれほどの爆発を受けてなお、倒れなかったというのなら。相当の手練れだ。
ならば、雑兵をぶつけるよりも万全の体制で迎え討つ方が得策。
この炭鉱は我の城。いわば我らが腹の内も同じ。
いかなる強敵だろうと、数ですり潰してやればそれでいい。
逃さないように、じわりじわりと……なぶり殺しにしてやればいい。
ボゥ……と、ワーウルフ・キングの身体が赤く光を放つ。
すると、炭鉱の中に残る爆発の残り火がシュウとキングの手に集まった。
さぁ、来るがいい冒険者。この我直々に貴様を叩き潰してくれる。




