女剣士。爆発する
視界が真っ赤に染まった後。
私は倒れていた。
全身を襲う打ち身と火傷による激痛。
何が起きた……?
まさか、爆発?
あまりの爆音にまだ耳がキーンと耳鳴りし、視界はチカチカとしている。
何で爆発したの?
意味もわからないままに、私は痛む身体を投げ出すしかない。
視界の端の方では、先ほどまでワーウルフだった肉塊がボロボロと灰へと還っていく。
私のアビリティ【片翼の紅天使】は私の炎耐性も上げてくれる。それであのワーウルフ達と違い何とか命拾ったと言うところか。
けれど、受けたダメージは非常に大きい。しばらく動けそうになかった。
「……っ」
けれど、ここにいる訳にはいかない。この爆発のせいで、ここにいるワーウルフ達に気づかれてしまった。
何とか身を隠さないと。
傷ついた身体を引きずりながら私は近くの横穴の中へとその身をねじ込むと、入り口を私のアイアンソードで塞ぐ。
相手は半人半浪のモンスター。こんなところに隠れた所ですぐにバレてしまうだろうけれど、今は少しでも時間が欲しい。
せめて、歩けるだけ回復できればいい。
そう思いながら私は気配を殺し身を潜めた。
「グルル……」
「……っ」
早い、もう来た。
数にしておおよそ6体のワーウルフ達が炭鉱の奥から走ってくるのが見える。
大丈夫。まだバレないだろう。
「ウォー!!」
「ガルル!」
しかし、私の目論見は外れ、ワーウルフ達は私の潜む横穴に向かって真っ直ぐに突っ走ってくる。
何で!?
まさか……ワーウルフキングの力でその感覚器官までもが強化されているとでも言うの!?
「ガウガウ!ガルルルル!!」
「……っ、このっ」
アイアンソードの隙間からその鋭い爪と牙をねじ込もうとしてくるワーウルフ達を蹴り返しながら毒づく。
まずい。
いつもならこんなヘマしないのに……!
苛立ちのまま頭に浮かぶのはあの男の顔。
『何でって……安全にクエストをこなすためですよ』
うるさい。
『いくら強者でも油断1つで命を落とすかもしれない。しかも、今回は広大な迷路のような炭鉱だし、相手は数で攻めてくるような1番厄介なタイプですから。万全を期すに越したことはないと思いますよ』
黙って!
頭の中で繰り返されるあの男の言葉。
あの男の、言う通りの状況になっていた。
その事実がさらに苛立ちを募らせさせてくる。
違う……違う違う!!
あの男が変な事を言うから、こんな失敗をしたんだ!
普段の私なら、絶対にこんな事なかった!
けれど、全て後の祭り。
今そんな言い訳をした所でそれは誰にも届きはしない。そもそも、こんな言い訳いったい誰にすると言うのだろう。
「……っ」
まだ私は死ねない。
私には……まだ、やらなきゃならない事があるんだ!
失われたあの国に残してきたことが、まだ残っている。
こんな、暗い穴蔵の底で死ぬ訳にはいかない。
「こんな所で……死んでられるかぁぁあっ!!」
私はワーウルフの顔を蹴り返しながら叫ぶ。
でも、それも限界。ついに1匹のワーウルフの腕が私の足を掴む。
「しまっ……」
掴まれてしまえば最後。引きずり出されてなぶり殺される。
最悪の事態が私の脳裏をよぎった、まさにその時だった。
シュドドッ
「ぐガゥ!?」
私の足を掴むワーウルフの頭に複数の矢が突き刺さった。




