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女剣士。炭鉱へ

「…………」


 あの男が部屋を出て5分が経った。


「ムカつく」


 1人宿屋に残された私はムカついていた。


 何でこんな回りくどい事をしないといけないのか。


 そして、レベッカはどうしてあの男とパーティを組むように仕向けたのか。


 よく分からないという気持ちが、ムカつく。


 そりゃ、確かに私はレベッカにお世話になってる。だからレベッカの気持ちを汲んであの男とパーティを組むことにしたけど、あの男は面倒くさい。


 私が炭鉱に乗り込めば、きっとこの5分の間に片がつく。


 こんな待つ時間なんてただただ無駄なだけ……。



「だったら、私1人で行けばいいや」



 そうだ。何を律儀にあの男の帰りを待っているんだろう。私1人で終わらせて、あの男の間違いを見せしめてやればいいじゃない。


 立てかけておいたアイアンソードを肩にかけながら私は宿屋の部屋を出る。


「見てればいい」


 イライラしながら私はスタスタと早歩きで宿屋を後にする。



「あなたが帰ってくる頃には、全部終わってるから」



 そうして私は一陣の風となって炭鉱の中へと飛び込んでいった。


ーーーーーーー


 黒いゴツゴツとした岩肌と、そこに埋め込まれた魔石灯。


 それは暗い炭鉱の中をうっすらと照らしてくれている。


 地面にはトロッコを引いていた線路の名残が残っており、足場はかなり悪いようだ。


 炭鉱に辿り着いた私は炭鉱の中を突き進んでいた。


 炭鉱の中は少し涼しく、何やらけむっぽい。


 確かに炭鉱の中に陽の光は届かないけれど、魔石灯のお陰で不自由はない。


「私の魔法を使うまでもないか」


 私の魔法は炎の魔法。


 松明がわりに使うこともできるけど、ここまで明るいのなら無理に魔力を消耗する必要もない。


 魔力を温存しておくに越したことはないだろう。


 でも、何であえて松明よりも高額な魔石灯が設置されているんだろう?


 松明でもいいような気がするけど……。


「まぁ、いっか」


 関係ない。取り敢えず私はワーウルフ・キングを倒せればそれでいい。


「グルルル……」


「いた」


 そうやってしばらく歩いていると、そこに二足歩行へと姿を変えた狼の姿をした魔物……4匹のワーウルフが現れた。


 人型へと姿を変えたことで、その手には冒険者から奪ったのか剣やナイフなどの武器が握られている。


 身長は私より少し低いくらい。普通の大きさ、きっとただの手下だろう。


 けれど、その身体は何故か淡く赤い光を放っている。


 確か……あの男が言うにはワーウルフ達はキングの力で強化されているんだったか。あの光は強化されている証拠。すなわちここには確かにワーウルフキングがいる。


「上等……」


 ワーウルフ・キングはこいつらの親玉。


 なら、手当たり次第こいつらを蹴散らしていけばきっとそのうち痺れを切らして出てくるはず。



「全部、灰にしてやる!【紅天撃】!!」



 私の得意技。装備した剣に炎を纏わせるスキル。


 さぁ、これでここのワーウルフも全て倒してやる!


 そう、私が思ったその瞬間。





 ゴッ!!!





 私の視界が真っ赤に染まった。

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