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女剣士。手を引かれる
目の前の男が私の手を握る。
「……っ」
そしてそのまま手を引いて店の外へと私を連れ出した。
それが、まるで当たり前のことのように。
「ま、待って」
「は、はい!何ですか?」
私はたまらず男の手を振り払う。
「……あなた、私が怖くないの?」
「怖い?」
私の言葉を聞いて、目を丸くする男。
「よく分からないですけど、何を怖がるんです?……あ、すみません!もしかして手を掴んだの、図々しかったですか!?」
「……違う。そうじゃないけど」
そう言って私は目の前の男に握られていた手に目を落とす。
いつぶりだろう。誰かが私の手を引いてくれたのは。
まるで、私が普通の人間のように扱うなんて……。
そんな考えが頭をよぎる。
「……ううん。なんでもない」
失われた手の温もりを、何故か少し寂しく感じながらも私はそっと手をポケットの中に入れるのだった。




