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サポーター。契約する

「と、まぁそういう訳さ。ユーリ、あんたマインとサポーター契約しな」


 数十分ぐらいして戻ってきたユーリさんにレベッカさんは開口一番にそう言った。


「……なんで?」


 何かの手配書を片手に固まるユーリさん。


 まぁ……彼女の立場からすればそうなるか。


「何でって……そりゃああんたのクエストを楽にするためにさ。あんたいつまでも倒したモンスターの魔石やらドロップアイテムやら、自分で拾って換金するつもりかい?」


「別に、それで誰かに迷惑かけてるわけじゃないから。1人でも大丈夫だし」


 ところが、当のユーリさんはずっとこんな感じで頑なに首を縦に振ろうとしない。


 まるで、反抗期の子どものようだ。


 て言うか、元々ユーリさんが僕をここに連れてきたんですけどね?


「ほーん……。それじゃあ効率が悪いじゃないか。あんたがドロップアイテム拾ってる時間が無くなれば、その分戦いに割ける時間が増える。そうすりゃああんたがもっと早く強くなれるってのに……もったいないねぇ」


「うぐっ……」


 レベッカさんの言葉を聞いて、ユーリさんの肩がピクリと揺れる。


 痛いところを突かれたんだろう。


「そーかいそーかい。ここにいるマインはすっっごい腕利きのサポーターなのにねぇ。これを逃しちまえばもう2度とマインほど腕のいいサポーターは見つからないだろうねぇ。いや〜もったいないもったいない。でも仕方ないねぇ、あんたがそう言うんだもんねぇ」


「ちょ、ちょっとレベッカさん……流石にそれは言い過ぎですよ」


 明らかな過剰評価だ。たまらず僕はレベッカさんに耳打ちする。


「いーからいーから。今はあたしに合わせな」


 けれど、レベッカさんは僕の頭をわしゃっとかき回しながら取り合ってもくれない。


「それじゃあ仕方ないね。マイン……すまないねぇ、せっかくここまできて、サポーターとしてやってくれるって言ってくれたってのに……。だが安心しな、ここを出りゃすーぐ、引っ張りだこさ。新しいパーティと楽しくやんな?」


 そう言ってレベッカさんが僕の肩を掴んで店の外へと連れ出そうとした。



「……待って」



 すると、ユーリさんがレベッカさんを止めるように彼女の服を捕まえる。


「何だいユーリ?こっちは忙しいんだよ、早くこの優秀なマインを新しいパーティに連れてってやらなきゃならないからねぇ」


 プルプルと顔を赤くしながらユーリは目を潤ませている。


 ……なんか、すっごい可哀想になってきた。


「……ど、どうしてもって、言うなら……。お試しでなら……いい」


 震えた声でユーリさんは告げる。きっと、これがユーリさんの限界だろう。


 レベッカさん、もうそろそろ許してあげ……。



「いやいや、そんな態度じゃあダメだねぇ。ちゃぁんとお願いしな?」



「レベッカさぁあん!?」



 鬼かあんたは!?



「……」


 ユーリさんは顔面蒼白になりながらダラダラと汗を滝のように流している。


「わ、分かった!分かりましたから!!ユーリさん、僕はあなたのサポーターになりたいです!だから、もうレベッカさんも、もうやめてあげてください!!」


「えー。お姉さんもう少しユーリをいじめたかったなぁ」


 お姉さんって歳でもないだろ!?というツッコミが頭をよぎるが話がややこしくなりそうだからスルーの方向で。


 そして取り敢えず僕はユーリさんの手を握り、レベッカさんから逃げるように店を飛び出した。


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