第92話 世界に闇を
「ユメ、他の国にも巨人型ナイトメアが多数出現!」
いつも冷静なフォースが慌てた様子で状況を教えてくれた。
マジかよ……。
パラドックスだけでなく、全世界の国々を襲ってるっていうのかよ。メモタルフォーゼ……ここまでやるとは、どうやら本気か。国を滅ぼすまで徹底的に戦争するって腹だろうか。
だが、パラドックスは無事だ。
この防衛力なら突破されることは無さそうだ。
「これなら問題ない。全ての属性国に向かい、防衛システムにダークエンチャントを付与する……!」
「良い案ね、ユメ! わたし、それ賛成」
一番にネーブルが理解を示してくれた。
「わたくしもです。他国もパラドックスと同じように出来るのなら、大勢の方が救われますから」
ゼファも同意見。
「私も同じ事を思っていた。全世界をユメの闇で包むべき」
非常に面白い言い方をしてくれたな。
でも、テスラもそう思ってくれるとは、なんだか嬉しいな。
――だったら、決まりだ。
俺は、フォースのワープスキルで各国へ瞬時に移動することにした。
「いいな、フォース」
「問題ない」
パラドックスの防衛は、ネーブル、ゼファ、テスラに任せることに。大丈夫。この国は安全だ。決しては負けはしない。
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向かうは『火の大国』、『水の聖国』、『風の帝国』、『地の神国』、『光の天国』、『闇の覇国』である。
ひとつひとつの国にいる王、聖帝、帝王、女帝、女王に全ての事情を話した。ただし、『闇の覇国』だけはアザトースが覇王の代行として現れた。……不思議だったが、まあいい。こっちとしても今は顔を合わせる気分でもないしな。
そうして、俺は全ての同盟国に対し、ダークエンチャントの付与を完了させた。その結果……各国の防衛力は同じく『極』に達し、脅威を阻んだ。
◆
――――急いでパラドックスへ戻った。
到着すると、国も家も無事。異変はなかった。ふぅ……良かった。俺の読みは正しかった。
「おかえり、ユメ! フォース! 割と早かったわね!」
「ユメ様……! フォースちゃんも!」
「ユメ、フォース。おかえり」
みんな俺とフォースを心配してくれていた。
嬉しいものだな。
「ただいま、みんな。予定通り、全属性国にダークエンチャントを施した。そしたら、巨人型ナイトメアの侵入は防げたぞ! みんな大喜びだった!」
「「「おおお~~~!!!」」」
よし、この調子なら、メタモルフォーゼの計画も失敗に終わるだろう。勝てる……この戦いに勝てるぞ。勝利は見えている……はずだ!
「ネーブル、キャロルの方はどうなった?」
「住民の避難は完了よ。全員ね!」
「さすがキャロル。素晴らしい働きっぷりだ」
全員を『トラオムダンジョン』へ避難させてくれるとはな、感服した。脱帽した。彼女には、この戦いが終わったら、最大限のお礼をしなければ。
さあ、これでヤツ等はどう出てくる――?
こちらもどう出るべきか。
思考を巡らせようとしたが、フォースが俺の服を引っ張った。
「ユメ、休憩しよう。少しは体を休めないと」
「……そうだな、今のところは膠着状態。――いや、こっちの優勢。パラドックスや属性国の壁の突破も容易ではないからな」
ほんのひと時ではあるが、俺はいったん休憩に入る事にした。
ただ、放置というわけにはいかない。
フォースの使い魔を通した映像を常駐してもらい、交代制で見張りとした。これで、いざとなった時は即座に対応できる。
そんな気を緩めた瞬間だった。
『ズド―――――――――――――――!!!!!!!!!!!!』
「うおっ!?」
また国が大きく揺れた。
こ、これは……上空から!?
映像を確認すると、
「おいおい……今度は上空からの特攻かよ」
何千ものナイトメアが突撃してきていた。
だが、我が国には『ダークシールド』と、ゼファの『グロリアスサンクチュアリ』が二重で張られている。突破は容易ではない。
「な、何なのよもう……ビックリしたじゃない」
「ネーブル、大丈夫か?」
「うん。ケガはない。ちょっと驚いただけ」
防音機能はもうあって無いようなものだな。
「まあ、慣れるしかないな。よし、最初は俺が見張りをするから、みんなは休んでくるといい」
「…………」
あれ、みんな反応ねえ!
「どうした」
「あ、あの……ユメ様。みんな不安なんです。ですから、お傍に」
「そういう事か、ゼファ。大丈夫だよ。家にるからさ。心配するな、なにかったら俺が必ず皆を守るよ」
そう俺が自信を持って言うと、皆はやっと安堵した。
「じゃあ、わたしはお風呂いってこようかな。フォース、一緒にどう~? あと、テスラちゃんも良かったら」
ネーブルがそう提案した。
「おけー」「で、では……お邪魔します」
フォースもテスラもお風呂へ。
「では、わたくしは何かお食事を用意しておきますね」
やっと笑顔を見せたゼファは、キッチンへ向かった。
これでいい。休める時には休んでおくべきなんだ。
……さて、俺は戦況を確認しつつ、どう反撃にでるか考えよう。
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