第86話 聖なる光
どうしてこうなった……。
フォースとテスラは全裸で喧嘩状態だった。
「おいおい、二人とも、そんな丸裸で何してんだよ!」
幸い、神々しい光が反射している為、大事な部分は見えていない。てか、あの光、見事に二人のお見せできない場所を隠しているな。
……あ、ゼファの『聖なる光』のおかげかな。
心優しいゼファにはそれが精一杯だわな。
あの苦そうな表情から察するに、せめてもの想いで、光を出すくらいしか出来なかったに違いない。
「テスラがどっちが強いかって言うから……」
フォースがそう説明した。
そんな事かよ!?
「当然、私です。だって、あなたの大魔法を素手で受け止めましたから」
「あれは本気ではなかった。なぜなら、皆を巻き込んでしまうから。だから、本当の力を出したら、あたしの方が超強いもん」
「ふーん。そうですか、でも、私の方がおっぱいがあります。形も良いですし、実にユメ好みかと。それに対し、フォース、あなたのはこの床のように平坦。ぺったんこです。それで、ユメを満足させられるのですか」
そう胸を張るテスラ。おい、危なっ!
対して、フォースは気にせず反論した。
「ユメはあたしのお尻が好きだから、別に」
「なんですって……お、お尻の方でしたか。く……」
なんだこれ。
ていうか、俺の取り合い??
嬉しいんだか、嬉しくないんだか。いや、嬉しいけど。
「まあ、二人とも服を着て」
と、指示すると、二人ともソウルフォースで衣服を引き寄せて、あっという間に着替えた。……さすが二人とも極魔法使い。
「なあ、フォース。俺の言うこと聞けるよな」
「…………うん」
「いや、そんなションボリするな。怒ってないって」
「ほんとー?」
「ほんとほんと。テスラもいいな。以降は仲良くやること」
「……分かりました。ユメの指示には従います」
なんとか収まったかな。
「ゼファもすまなかった」
「い、いえ……。わたくしは聖なる光を出すくらいしか出来なかったので」
「助かったさ。それより、みんな、ダンジョンオープン前だぞ。明日、一緒に行かないか?」
「もちろん、わたくしはユメ様についていきます」
ゼファはOKっと。
「あたしも」
即答のフォース。だよな。
「私も行きます」
「テスラも? うーん、まあいいか。君の実力も見てみたいしな」
「え……ユメ。テスラを連れていくの?」
フォースが反応した。
ちょっと嫌そうだな。でも、俺としては仲良くやって欲しい。
「約束してくれ。みんな仲良くやろう」
「…………ユメ」
目を見開き、フォースは俺を静かに見つめた。
そして、短く、
「分かった」
そう返事をしてくれた。
分かってくれたみたいだ。
「よしよし。それじゃ、俺はネーブルの様子を見に行く。みんな仲良く!」
◆
ネーブルの寝室前。ノックをすると、すぐに返事があった。
「どうぞー」
「よ、ネーブル。体の調子はどうだ」
「おかげさまで動けるようにはなったわ。もう平気よ~」
「もう少し我慢してくれ。きちんと良くなるまでな」
「過保護すぎ~。でも、わたしのことを大切に思ってくれてるからなのよね」
「当然だ。あと三日は安静にな」
「ながー…。あ、そういえば、ダンジョン完成したんだ?」
「ああ、テスターもしてもらって問題なさそうだ。難易度は地獄級だけど、まあ大丈夫だろ。仕様上、死ぬことはない」
「ふぅん、面白そうね。わたしもついて行こうかな」
「だ、だめだ……! ネーブルは体を大切にしてくれ……」
「も~、心配性なんだから。こっちきて、ユメ」
ネーブルは、隣に来いと手をポンポンした。
まあ、それくらいなら。
俺は隣に座った。なかなかに近い。
「ユメ、本当にありがとうね」
「ああ、俺はネーブルの明るいところとか、笑顔に何度も救われたし、元気も貰った。あとこの国だって……。ネーブルとキャロルの関係がなかったら、今はなかった。だから、俺もありがとう」
「……うん」
「じゃあ、ゆっくりしているんだぞ」
俺は立ち上がろうとしたのだが――
ネーブルは俺の頭を抱え、胸にぎゅっと押し当てた……。
「…………」
突然のことに時が止まった。
……ネーブル。
「これが今、わたしに出来る精一杯のお礼」
気を使って直ぐに去ろうと思ったのだが……
もうしばらく、このままいよう。
◆
あれから、みんな大人しかった。
静かな夜を迎え、騒がしい朝を迎えた。
「ユメ~!」
「どうした、フォース……朝っぱらから元気いいな」
「あたし、おっぱい少し大きくなったかも!」
「ブッ――――――――――!!!!!!!!!!!!」
飲んでいたコーヒーを大量に吹き出してしまった、俺。
いきなり何を報告するんだ!?
「もう、テスラには劣る点はない」
キュピーンと目を輝かせる。
勝ち誇っているつもりなのか……だが。
「不正はいかんぞ、フォース。パッドをして誤魔化すじゃない! そんなのフォースじゃないしな……」
俺はフォースの服の中に手を突っ込み、パッドを取り出した。
「…………ぁんっ……」
「馬鹿。パッドを外しただけだ。へ、変な声出すなよ……」
「だって~…」
顔を赤くするフォースは、もぞもぞとして、
「ユメ……急にちゅーしたくなった……して。……がまんできない……」
「う……可愛い。く……仕方ないな。じゃあ、テスラと仲良くして、無事にダンジョンから帰ってこれたらな。それならいいぞ」
「……! 承り。それでいいなら、あたしがんばる」
ほう。この流れがまさか追い風になろうとはな。
よ~し、はりきって『トラオムダンジョン』攻略へ行きますか!
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