第09話 エクストラボス出現
渓谷の奥へたどり着くと……
「なんだ、もうエクストラボスに挑んでいるヤツがいるじゃないか。しかも、単独で……んな無茶な!」
今にも殺られる寸前の人間がいた。
仕方ない、助けよう。
『闇の極解放』
最強の闇を放ち、ボスの攻撃を防いだ。
その隙に、俺は女性を救出。
「――――よいしょっと! 大丈夫か、あんた……って、キミはフーコか」
騎士の格好をしている少女。
風の騎士団のひとりであるフーコだった。
「ユメ様……どうしてここに」
「それはこっちのセリフだ、フーコ。お前こそ、どうしてエクストラボスにソロで挑んでいるんだよ。死ぬぞ!」
「……帝王様のご命令で」
「帝王の……ふざけやが――っと、っぶねえッ! ゼファ、ナイス!」
ゼファの聖女スキル『プロヴィデンス』の聖属性のシールドで守られた。
つーか、エクストラボスはドラゴンか――。
巨大な『ピンクダイヤモンドドラゴン』が目の前にいた。
「すげぇピンク……売ったら高そうだなオイ」
などと関心を抱いている場合ではない。
あんな全身がダイヤモンドのドラゴンは初めて見た。
鋭い爪(ダイヤモンド)が岩を砕き、地面を抉った。更に、激しい水しぶきが飛んでくる。
「むちゃくちゃだな」
だが、岩はフォースのソウルフォースで宙でピタリと止まり、水しぶきも時間を停めた。その間からネーブルが飛び出していく。
『サンダーボルト――――!!!』
ニカっと笑うネーブルが超広範囲の風属性魔法をドラゴンに向けて放った。それに続いて俺も闇スキルで剣を生成――魔剣・エクスカイザーを投擲した。
ネーブルの雷がエクスカイザーに纏わりつき、合体スキルとなった。
『グオォォォォォォオォオォオォ~~~~~~~~~!!!!!』
剣はダイヤモンドの体を砕き、突き刺さった。
さすがに貫通はしなかったが、雷がバリバリと無限に流れ、敵に超ダメージを与えていた。このままなら、HPを一気に削れ――
ドラゴンは叫びつつも、大きな口を開ける。
「げっ、まさかブレス攻撃か――!? みんな、回避だ……」
とびっきりのブレス攻撃が飛んでくるかと思えば、超特大のダイヤモンドの槍が飛んできたではないか――! え、それ売ったら高いのでは!
だが、そんな場合ではない。
ダイヤモンドの槍は地面を割ると、地割れを起こし、溶岩を噴出させた。
「――まて。どうして溶岩が……!」
「ユメ、あれはスキルの一部。どうやら、槍が地面に到達すると同時に、溶岩も噴き出るみたい。当たると危険」
そうフォースが淡々と説明をくれた。
「そうか、副作用的なものか――だがっ! ゼファ、全員にグロリアスブレッシングとグロリアスアジリティを頼む」
「はいっ、ユメ様!」
ゼファの支援で全員のステータスと移動速度がアップした。
「フォース、大魔法を! ネーブルは敵をビリビリにさせてやれ!」
「ユメ、私は!?」
求めてくるキャロル。
「え?」
「え!?」
「なにもするな」
「分かった!! 脱ぐ!!」
「脱ぐなあああああああああ!!」
この状況で脱ぐとか、さすがイカれてるぜ……。
ていうか、もう水着になっとるし、どこで買ったよあのビキニ……。目の保養にはいいけど、いいけれど……!!
「じゃ……一応、忍者マスターのキャロル! 頼む」
もう女忍者の格好も何もないけど。
「あ、あのユメ様」
「ん、どうしたフーコ」
「私はどうすれば……」
「あとは俺たちに任せろ。危ないから隠れているんだ。いいな」
「……分かりました」
フーコは遠くへ去った。
「――さて、さっさと倒してダイヤモンドを売り飛ばしてやりますかッ!!」
すでに皆は激しく動き回り、スキルを乱発していた。
さすがエクストラボス。一筋縄じゃいかない。
けど……!
フォースの大魔法が上空から降ってきた。
『赤色超巨星の力……ベテルギウス』
極級無属性魔法――
深紅の光がダイヤモンドドラゴンを襲い続けた。
そこに、ネーブルのサンダーボルト。
しかも、ゴスペルを歌い続けるゼファのおかげで、火力が三倍にアップ。岩場に止まっていたキャロルも忍術を繰り出し――
『爆熱苦無・薤露蒿里――――――!!!!』
出たよ、トンデモデタラメ忍術。
カカッと笑うキャロルは、とんでもない数のクナイを投げつけ、大爆発させた。それと同時に、猛毒を浴びせた。更に鈍化や混乱の状態異常を与えてしまった。
そう、彼女はエクストラボスだろうが関係なしに、必ず敵に状態異常を与えられるのだ。要は最強の変人くノ一なのだ。
よし……俺の闇の力も極まった!
充電完了。
最期に、こいつをお見舞いしてやらあああああッ!!
『――――――イベントホライゾン!!!!!』
すでにダイヤモンドドラゴンの体内に到達したソレは、内部から崩壊を起こし、無に帰していた。
「……終わったな」
バラバラになっていくピンクダイヤモンドドラゴン。
塵となり、なにもかもが消え去った。
「アホー!!」
パコンと後頭部を軽く殴られた。
「いたっ! ちょ、なにするネーブル」
「ユメ、あれじゃダイヤモンドが収集できないじゃない!」
「ん? あ……あああああああああああああああああ!!!」
しまった。ボスモンスターをバラバラにしすぎた!!
「す、すまん……けど、ドロップはあるんだろう!?」
「ユメ様、こちらに巨大なダイヤモンドが!」
ゼファが飛んで喜んでいた。
つまり、ドロップはしていたってことか……!!
土埃でよく見えなかったけど、やっと晴れてきた。
すると、そこには――
「おぉぉぉ……こりゃデカイ。これがドロップアイテムかぁ」
人間ひとり分のピンクダイヤモンドがそこには落ちていた。その周囲に大量のダイヤモンド。……おいおい、こりゃ、大金持ちだぞ!!
これを売りまくって、国を豊かに出来るな……!
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