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第83話 メタモルフォーゼ

 どの国にも属さない秘密結社『メタモルフォーゼ』は、人間が近寄れないという、ある地下要塞で会合を開いていた。


 参加メンバーは決まっている。


 『火の大国(グロリア)』、『水の聖国(サンク)』、『風の帝国(キリエ)』、『地の神国(クレド)』、『光の天国(ベネディ)』、『闇の覇国(アニュス)』の裏の権力者である。


 彼らは六人は見えぬ場所で存在し、それぞれの属性国で暗躍していた。


「――魔王、魔神は目覚ましい成果を上げた。今回の海賊もまた然り」

「全ては我らメタモルフォーゼの啓蒙(けいもう)と崇高なる儀式……」

「闇、混沌、万物……供物はいよいよ差し出される」

「覇王との無限と有限の契約が果たされる日は近い」

「闇そのものである少年の魂を引き換えにな――」

「永劫回帰は我らに」


 組織の長は、呼び出していた少女に命令を下した。


極魔法使いアルティメットウィザードのテスラ、お前はパラドックスへ向かうのだ。すでに手打ってある……ブラックスミスギルドの男の身内を人質に取り、ブリーシンガメンを作らせた。それはすでに闇へ手渡されたことを確認した。であれば、あとはお前が闇を籠絡(ろうらく)し、パラドックスを滅亡させるだけだ。それで我らの願いは成就されよう」


「了解しました――」


 少女は静かに同意した。



 ◆ ◆ ◆



 海賊騒ぎは一件落着となった。

 あれ以来、入国審査はより厳重になり、冒険者用のフラッグもアップグレードし、不正に渡ったモノは無効化されるように仕様を変えた。その結果、闇オークションで入手してこちらに向かってきた不法入国者たちは、自動防衛システムで撃墜あるいは撃沈され、すべて追い払うことに成功した。


 最強の防衛力が再び復活したのだ。


「最初からこうすれば良かったんだなぁ」


 まあ、今回の海賊の場合、短いスパンで現れたので、対処する時間がなかったというのもあった。だがおかげで強化は済んだ。もうこれで安心だろう。


 あれからネーブルは元気を取り戻し、安静にしている。

 今はゼファとフォースが面倒を見ていた。今日は二人に任せ、俺はスキル無効兵器『ジェイルブレイク』の謎と、ブラックスミスおっちゃんから貰ったブリーシンガメンの鑑定をするため、デイブレイクへ向かうことにした。


 ああ、そうそう。


 夢幻騎士たちは、いち早くトラオムダンジョンへ入った。あいつらにはテスターとして遊んでもらい、あとで感想を聞いたうえでダンジョンを改良しようかなと考えている。楽しめるダンジョンの方が色んな冒険者に通って貰えるからな。


 ちなみに、プロキオンに槍を返却したが、ツンデレばりに怒られた。しかしプロキオンは単純で、褒めると直ぐにデレて水に流してくれた。でも実際、彼女の槍のおかげで助かったから、心より感謝したい。



 ブラブラ歩いていれば、ギルド拠点に到着。

 不思議だな……誰ともすれ違わなかった。まあいいや、そんな事もあるよな。


 ちょうどレアが出てきたので、ラージを呼ぶようお願いした。


「分かりました。少々お待ちを」


 すると直ぐに背の低い少年は現れた。


「こんにちは、ユメさん」

「よ、ラージ」


 鑑定士・ラージ。

 鑑定スキルを持つだけではない。アイテムコレクターで、あらゆるレアアイテムを所持し、レア武具のレンタル業とかしているらしい。それで相当儲けているんだとか。ギルドの資金源とかキャロルが得意気に自慢していたっけ。ラージはギルドの誇りだとか。


 でも、事実有能だしな。

 ちなみに、ラージはキャロルのことを好意に思っているようだ。


「なにやら僕に用事とか」

「そ。あるアイテムの鑑定をして欲しいんだ」

「そうなんですか。でも、鑑定アイテムを使えばいいのでは?」

「残念ながら在庫切れでね、だからキミを頼りに来た」

「そういう事情でしたか、分かりました。他ならぬユメさんの頼みですからね、いいですよ。それで、そのアイテムとは……」


 俺は『ブリーシンガメン(未鑑定)』を出した。


「神器の模倣品らしんだ。なぜか未鑑定なんだよな……」

「おかしいですね。普通、アイテム名も出ないはずなんですけど、これは変わったアイテムだ。……面白いですね」


 お、ラージのヤツ、興味津々だな。


「僕もこれがどんな効果か気になりますし、やりましょう」

「頼む」


 いよいよブリーシンガメンの鑑定を行うところだった――



「だめ――――!!!!!」



 耳がキーンとなるほど大声が発せられた。なんだ!?


 ――て、


「フォースじゃないか……どうしてこんなところに」


 ビックリした。

 普段は大声なんて一切あげないのに、あんなフォースの大音量の、心からの叫びは初めて聞いた。すごかったぞ……。


「どうした……。ネーブルの看病をしていたんじゃ」


「話すと複雑。でも信じて欲しい……。あたしは1時間後の未来から来た(・・・・・・)


「み、未来から!?」


「落ち着いてよく聞いて。あと10分後にパラドックスは滅びる」


「は!?」


「その未鑑定アイテム、ブリーシンガメンが引き金だった。ユメは、ラージにアイテムの鑑定を依頼し、鑑定後のその瞬間――国を滅ぼすほどの大爆発を起こしてしまった。何もかもが吹っ飛んだ。でも、あたしは偶然、地の神国(クレド)にワープしていたから……難を逃れたの。だから、未来を変えるためにあたしは、タイムリープしてきた」



 ……い、いきなり何だよそれ。


 そんな話を信じろってか?



 ああ……




 信じるね、俺は。



 フォースが嘘をつくはずがない。

 この必死さは本当だ。なによりもあの瞳。……うん、分かっている。


「分かった。鑑定はやめる(・・・・・・)


「よ…………良かった……。今までのユメは全然言うことを聞いてくれなかった。だから…………だから、うう…………」


 だばだば泣き出すフォースは、涙腺崩壊していた。

 な、なにがあったんだよ……!

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