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第79話 999999の即死ダメージ

 露天風呂とは天国だ。

 (とろ)け切ったフォースは俺に身を預け、満足気。ネーブルも俺の身体(からだ)に息が掛かるほどの(そば)にいた。ゼファもやって来て、囲まれている状態になっていた。


「ゼファ、下着とか戻ってきたのか?」

「はい、先ほど何故かアイテムショップのおば様に届けて戴きました。なぜでしょう?」


 そ、それは……知らぬが仏かなぁ。

 それとも説明してやるべきか。いや、事情を説明すると長くなるから今度にしておこう。きっとゼファなら分かってくれる。


 でもそれよりも、もっと気になる事があった。


「そや、リサとは何かあった?」

「リサさんですか……。そういえば、わたくしを倒すとか何とか。なんの事か分からなかったので……」


「なんて返事をしたんだ」


「ユメ様は、毎晩わたくしに快楽と至福の悦びをくださる、と。そうお伝えすると、リサさんは走り去ってしまいました……」

「だろうねぇ!! なんてこと言ったんだよぉ……語弊(ごへい)がありすぎるよ……や、多少合ってるけどね、多少」


 それでもリサは諦めなさそうだけど。

 ……あの鋼のメンタルならば。


「そうだ」


 唐突(とうとつ)にパンと手を叩くのはネーブルだった。

 なにか思い出したらしい。


「どうした」

「専用ダンジョンのことですっかり忘れていたんだけどさ、明日、来客があるのよ。光の天国(ベネディ)から。キャロルがユメに伝えておいてと言っていたのを思い出したの。ごめん、忘れてた」


「ほーん。光の天国(ベネディ)からね。分かったよ。あー…でもな」

「ん?」


 ブリーシンガメン(未鑑定)をラージに鑑定して欲しかったんだけどなぁ。うーん、この分だと当分先になりそうだ。今度にしよう。


「――いや、把握した。じゃ、ダンジョンの方はフォースに任せっきりになっちゃうけど、いいか?」


「……」


 あのゲンナリした表情。実に分かりやすい反応だ。


「そう嫌がるなって。そのご褒美にたくさん構ってやるから」

「ほんとー! じゃいいよー♡」


 なんやかんや快諾してくれた。よしよし。

 好条件に喜んだフォースは顔を近づけてくると、耳元でこう(ささや)いた。


「優しいユメがすっごく好きだよ♡」


 …………ぉ。


 これは破壊力が凄まじいな……。


 今、すっごくドキドキしている……。



「ん、ユメ。フォースに何か言われたの? 顔が赤いわよ」



 ネーブルも顔を近づけてくる。



「な、なんでもないよ……。ていうか、近ッ! ネーブル、近いって……」

「別にいいじゃない」


 いやぁいろいろと壮観すぎてな。

 目のやり場に困っているんだよ……。


「フォースちゃんもネーブルもずるいです。ユメ様……わたくしは?」


 そうゼファは前かがみになって――。


 うおおおぉ、その姿勢はやばいって。

 特盛が……たゆんたゆんがっ。なんたって、ゼファの肌は白くて綺麗。傷や痣ひとつない、純白。だから魅力がありすぎて、吸い寄せられそうになってしまう。彼女の極上の身体にはそんな色気とか、男を絶対魅了する力があった。


 まあ要は……えっちすぎブハアアアアアアアアア!!!!!


 もう耐えきれなかった俺は、頭が真っ白になって意識を失った。


 ・

 ・

 ・


「……あれ」


 ……俺はなぜ倒れた。

 覚えていない。記憶が曖昧(あいまい)だ。


 確か、みんなと一緒に露天風呂に入っていて、それで――



 ああ……、


 思い出した。


 ゼファの超天界級ボディを見せつけられ、俺は999999の即死ダメージを受けたのだ。さすがの俺もあの聖属性物理攻撃は耐えられない。

 認めよう。聖女の身体(からだ)は最強無敵だ。



 で、今は自室のベッドの上。誰かが移動してくれたようだ。たぶん、フォースだな。ソウルフォースでサクっとやってくれたに違いない。


「ん、あれ……なんか違和感が。……あ、フォース。寝てるし」


 俺はどうやらフォースを抱き枕にして寝ていたようだ。

 ふむ……このまま寝直そうっと。


 フォースの抱き心地は天下一だからな。



 ◆



 気持ちの良い朝を迎え、光の天国(ベネディ)からの来客を待った。

 洗面所で顔を洗っていると――


「ユメ様」


 ゼファから声を掛けられた。

 鏡越しに彼女の姿が見えている。あれ、なんか俺をぼうっと見てるような。気のせいだろうか。見惚れてる……?


「ん、どしたの」


 鏡に映るゼファを眺めていると、彼女は修道服のスリットに手を掛け、ゆっくりとフトモモを露出して……。


「って、なにしてんのー!?」

「振り向いたら怒ります」

「…………ぅ、わ、分かったけどさ」


 どうやら、鏡を通して見ないといけないらしい。


 ん……あれ、なんか一瞬、ゼファの姿が消えたような。


「お、おい。もう振り向いていいのか?」

「はい」


 そこには微笑むゼファが。


「わたくし、今、すーすーしています」

「え……!?」


 まさか、さっき一瞬鏡から消えたのは、そういう姿勢になったから!? ぬ、脱いでいたのか。何をとはあえて言わないけど。


 それを証拠にゼファは、明らかに何かを手に握っていた。

 もちろん、あえて言わないけど!


「今日一日、素敵なユメ様のせいでこのままでいますね。めくれてしまったら……責任取ってくださいね♡ なお、これはわたくしとユメ様の二人だけの秘密ですよ♡」

「お…………おう!? 責任!?」


 今日ずっとそのままでいるのかよ……。

 ……うう、絶対意識しちゃうよ、それ。



 ◆



 来客がやって来た。

 なんと、夢幻騎士の三人だった。


「なんだ、シリウスだったのか。お、ベテルとプロキオンも」


「何だとはなんだ。遠路遥々やって来たんだぞ」


 いや、シリウスよ。ワープして来ただけだろう。


「お久しぶりです。ユメさん。あの魔神騒動以来ですね。あの時はお恥ずかしいところを……お力になれなくて申し訳ありません」


 深々と謝るベテルギウス。

 そういえばあの時、三人は魔神にやられてたな。

 相手は魔神一番のミマスだったし、仕方なかった。


「おうおう、ユメっち! わたしの神槍・グングニルちゃんをよくも無断で使用しやがったな~! しかも闇属性モードも勝手に使いやがって~!」


 ツインテールをぶんぶん振り回しながら、プロキオンは厳重な抗議をしてきた。すごい噛みついてきてる! だけど、あの犬耳が可愛いんだよな。純粋に撫でてみたいな。


「いやぁ、一応、女王の許可も取ったぞ。それにほら、闇属性モードは、俺のダークエンチャントだったし、チャラってことで?」


「ふざけるなー! ばかばかばかばか!」


 そんな涙目になってポカポカ叩かれても、俺にとってのご褒美でしかないのだ。これはこれで有りだな、うん。


「そうそう、ユメ」

「ん、どしたシリウス。珍しく真面目な顔して」

「珍しくは余計だっつーの! ……あれだ、マイルの件だよ」

「マイル! 彼女はどうなった」

「魔神王が消えたからな、魂は戻った。他の魂を奪われた人たちも無事だ」


「そうか……本当に良かった」


 レアの呪い同様、魂も戻ったようだ。

 これは朗報だな。


「で、それだけじゃないんだろ?」

「――――まあな」


 ニッとシリウスは笑った。……これは嫌な予感がする。


「言ってみろ。聞くだけなら聞いてやらんこともない」

「風の噂をな。ほら、専用ダンジョンを作ってるっていう。なあ、お願いだ! 俺たち夢幻騎士を一番に入らせてくれないか。頼む。この通り」


「な……。どこで聞きつけた!?」

「フ、お前の情報なんて俺には筒抜けなんだよ、ユメ」


 こわっ。

 こいつ、どこかで盗聴しているんじゃあるまいな。


「フォースから情報を受けているのですよ」


 そうベテルギウスが教えてくれた。

 なんだ、そういうことか。


 ふぅん、でも面白そうだな。テスターは必要だし。よし、夢幻騎士にも手伝ってもらうか。誰もが楽しめる理想の『専用地下ダンジョン』を作ろうじゃないか。

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