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第74話 呪い解放

 キャロルの忍者屋敷に到着した。

 屋敷へ入ると、そこには元魔神のレアの姿が。


「よう、レア」

「ユメさん! お疲れ様です。あの……魔神王を倒されたのですね」

「ああ、それで確認したいことがあってね。キミは変わらず俺たちの味方でいてくれるよな」

「もちろんです。私はもうこのパラドックスの住人ですから……だから、その、改めて認めてもらう為にも……」


「え……」


 レアは衣服に手を掛け、脱ぎだした。

 ……って、あれ。これアレな雰囲気?


 だが、レアは背中を見せただけだった。

 キレイで真っ白な背中を。



 ……あ。もしかして。



「これで私は呪いから解放されました」

「あ……そっか。魔神王がこの世から消え去ったから、呪いが解除されたのか」

「はい、もう関係は断たれましたので、魔王の血も必要ありません。これで私はただの……レアです。ですから、認めて戴けませんでしょうか……」


「認めるも何も、レアは最初から俺の大切な仲間だよ」


「……ありがとうございます」


 すっと涙を流し、レアは礼を述べた。

 そうか、もう彼女は立派な人間(・・)なんだ。


「レア、これからもよろしく頼む」

「はいっ、精一杯この国を支えていこうと思います」

「俺の方こそありがとう」


 微笑むレアは可愛かった。

 見惚れていると、いきなりキャロルが入って来た。


「戻ったのですよ~~~!! ……って、あれ、レアと……ユメ!? え……半裸のレアが泣き崩れて…………まさか、ユメ! いたいけなレアを襲って!?」


「おいマテ。なに勝手に勘違いしているんだ!?」


「この状況を見て適正な判断をしたまでです。ど~~~見ても、襲っているようにしか見えないのですが。そうでしょう、レア」

「いえ! これは私が勝手にしたことです。ユメさんは悪くありませんから!」


「むむ……。レアがそう言うのなら良いです」

「ほらな。人を安易に疑うなよ、キャロル」

「むぅ。修行が足りなかったですね。申し訳ありませんでした。でも、欲求不満ならば、この私が相手を務めさせて戴きますけどねっ!?」


「断固拒否する」


「えぇ!? なぜ~!? 私は魅力的ではないと?」

「そうじゃないけどさ、うーん。いや~、その~」


「うぐっ……、ユメ。わ、私の胸とお尻をなぜ見つめるので……ハッ! くぅ……そういうことですか、私の胸とお尻が足りないと……酷いぃぃっ」


 言うと傷つくと思って、あえて発言しなかったのに視線でバレてしまった。まあいいか、キャロルだし。


「でででも、胸ならフォース様はありませんよね!?」

「いいか、フォースな……世界一可愛いお尻をしているんだぞ!!! キャロル、お前じゃ到底敵わないほどのな!!」



「がああ~~~~~~~~~~~~~ん!!!」



 激しいショックを受けて、キャロルは撃沈した。

 いや、轟沈した。


 でも、フォースのお尻は滅多に触らせてもらえないし、触るとすっげぇ嫌がるからな~。だから、特等席(・・・)のひとつなんだけどなっ。


「ま、おふざけはこれくらいにして、本題に入ろう」

「お、おふざけなんかじゃありませんよ! むぅ……分かりました。パラドックスの情勢についてですね」


「頼む」


「今のところ国は安定しております。『火の大国(グロリア)』、『水の聖国(サンク)』、『風の帝国(キリエ)』、『地の神国(クレド)』、『光の天国(ベネディ)』、『闇の覇国(アニュス)』とは引き続き良好な同盟関係になっていますし、世界は平和そのもの。恐ろしいほどにバランスを保っているくらいです」


「ふむ。他には?」


「平和になって、各国は復興を。魔神が消えたことにより、冒険者も旅をしやすくなったようで、各地を巡っているそうです。このパラドックスにも複数の船を確認しました。もちろん、入国審査は大変厳しいものとなっており――」


 それ以上は小難しい話になって頭に入ってこなかった。

 キャロルめ、一度話を始めるとマシンガントーク全開だから困る。


 だが、予想通り冒険者が各地を巡るようになった。


 しめしめ、稼ぎ時だな。



 ◆



 話は終わり、キャロル邸を後にした。

 すると狙ったかのように、ある人物が接近してきた。


「ユメさん」

「げっ! ……リサ」


 あの諦めの悪いお嬢様、リサが現れた。

 確か……サテライト家の。あー、こりゃまた求婚をしつこく迫られるやつか。


「その、あの……」

「結婚しろってか?」


「結婚することになりました」


「へ」


「……では」


 しょぼんと去った。

 ……なんだったんだぁ?



 よく分からん。

 俺は気にせず街へ向かった。



 ◆



【 ブラックスミス ギルド 】



 あれ、ここって『ギルド』だったか……?

 久しぶりにブラックスミスの鍛冶屋へ寄ると、そこはギルドになっていた。おいおい、以前よりもアップグレードしているじゃないか。どうしたのやら。


「よぉ、ユメくん」

「おっちゃん。おひさ。儲かってるかい」


「ああ。以前、ユメくんの提案した武器輸出のおかげで大儲けでね!! ご覧のとおり、ウチはついにギルドにまで上り詰めた。この鍛冶屋もおかげ様でデカくなったもんさ。あとな、防衛兵器もどんどんパワーアップしている。今や魔神だろうが一撃で葬れるぞ! ガハハハハハッ!」


 マジかよ。

 防衛兵器レベルって今どんな状態なんやらね、まったく見ていなかったからなぁ。とはいえ、クリーチャーも滅んでしまったろうし、これから襲ってくるのはモンスターだ。たまに襲ってくるだろうし、強化しておくに越したことはない。


「いつもありがとう。じゃ、俺は家に用事があるので」

「なんだ、もう行っちまうのかい。……ああ、そうだ!」


 おっちゃんは何か思い出したようで、それを放り投げてきた。


「ん?」

「やるよ。それは隕鉄で出来た首飾り『ブリーシンガメン』――を模したものだ」

「なっ、それって神器級のアイテムだろ? すげぇな、よく模倣出来たな」

「ああ、ウチには代々伝わる特殊なトレース技術があってな。けどそれは、オレにしか出来ん。だから、それは特別な品だぞ。まあ、あれだ。彼女にプレゼントするといい」


「ありがとう。でも、誰に渡すかなあ」


「ん? そうか、ユメくんには彼女が三人もいるのか。かぁーっ! そうと分かれば人数分作っておいたんだが、すっかり忘れていたァ!」


「いやいいって。ありがとう。それじゃ、俺は今度こそ行く」

「分かった。今度また人数分なにか作っておくな!」

「無理しなくていいよー!」


 俺はおっちゃんと別れて、家へ戻ることにした。

 しかし、首飾り『ブリーシンガメン』の模造品か――どれ、どんなパラメータを持っているか覗いて見るか。



「――――え」



 なんじゃこりゃああああ!?

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