表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/176

第08話 俺は困らない

 資金調達のため、エクストラボス狩りへ。

 四属性大陸に舞い戻ったわけだが――その為にはどうしても、風の帝国(キリエ)に寄る必要があった。


 そして、今、()が襲い掛かってきていた。


「これは……トルネードの風属性スキルで間違いない……上かっ」


 空から人間(ひと)が飛んで来ていた。

 風を利用した飛行あるいは浮遊だろう。なんてヤツだよ。



「――――とっ!」



 俺は向かってくる剣を避けて、避けて、避けまくった。


「避けるな!!」

「避けるわ!!」


 トルネードが無茶な要求をしてくるが、俺は避ける。

 だって、当たったら痛いじゃん。


 ブンブン振り回してくるが、まあ当たるわけない。


「やめろって、しつこいぞトルネード」

「黙れッ!!」


 突風が舞う。

 いや――これは竜巻か。まずい、吹き飛ばされ……ないけどな。


「仕方ない……」

「ほう、やっと投降する気になったか、ユメよ」

「なわけねーって」



 ちょうど木々の()(しげ)るフィールドに入ったので、俺はトルネードに向けて(てのひら)を向けた。


「なんだ、私に(てのひら)を向けても意味はないぞ! それとも、何かスキルを使う気か? 無駄だぞ、我が防具は神器(・・)であり、上級スキルでも無効化するほどだ」


「へぇ、そりゃ凄い」

「貴様! 私を馬鹿にしているのか!!」

「いいや、ちっとも。けどな、()スキルは無効化できないだろう」



「なにッ!?」



 俺は『ソウルフォース』を使い、力で枝やら(つた)やらを伸ばし、トルネードの体にからめた。一歩間違えると、触手に巻き付かれてしまったエロっちっくな騎士だが、そこは脳内変換に留めておこう。


「――――うわぁ!! ユメ、貴様ぁ!!」


「すまん、トルネード。お前ってほら、過去に俺たちを助けてくれたことがあったろう。その恩義もあるし……あと帝王に伝えておけ。俺たちはもう戻らん!! 自業自得だ、馬鹿野郎とな」



「ユメ!! 戻れ!! 風の帝国(キリエ)に戻るんだ!! お前が必要なんだ!! でなければ、私は…………帝王様が困る!!」



「俺は困らない」



 それだけ言い残し、俺たちは足早に去った。



 ◆



 フォースの機嫌がとても良かった。


「ユメ~~~♡」


 猫のようにスリスリと()り寄ってきていた。

 甘えモード全開で、回りにお構いなしだった。


「なんだ、フォース。どうした」

「ソウルフォース使ってくれたから、嬉しいの」


「ああ、それな。いやぁ、闇スキルでも良かったけど……ほら、師匠(マスター)の教えがあったろう。この世はバランスなんだって。闇ばかりに(とら)われてしまうと、いつか闇に飲まれてしまうって。だから人間、ほどほどがいいんだよ」


「うん。火、水、風、地、光、闇……すべてがバランスを取っている。ひとつでも欠けたら、この宇宙(せかい)はメチャクチャになっちゃう」


 フォースは俺をまっぐす見つめた。

 闇ばかり極めた俺に対する警告だろう。ありがたいことだ。



 ◆



【 風の渓谷ダンジョン 】



 冷たい風が頬を()でた。

 ついでに、ゼファの冷たい手も俺の頬を()でた。


「ありがとう、ゼファ」

「はい。これで、ユメ様のお顔が綺麗(きれい)になりました」


 さきほど、泥型(・・)のクリーチャーの大群に襲われ、みんな泥まみれになったのだ。


「まったく、あんなクリーチャーありかよ。ドロップもたいして美味くねぇし」

「そうですね~…。せめて、レアアイテムを落として戴ければお国のためにもなってありがたいのですが」


 肩を落とすゼファ。その通りだ、その点、モンスターはレアアイテムを落とすし、獲得経験値も数倍も多い。

 まったく、魔神ってヤツぁ泥といい、嫌がらせが好きそうだな。



「ユメ、もうすぐエクストラボスのいる場所よ」



 先頭のネーブルが叫ぶ。お、もう着くか。



 しかし……その時、大事件は起きたのだ。



「キャアアアアアアアアアアア~~~~~~!!!」



 奥の滝の方から女性の悲鳴(ひめい)が――。



「みんな、急ぐぞ!!」

いつも応援ありがとうございます。

もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。感想もお気軽に書いて戴けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ