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第72話 闇の牢獄

「アトリ。あんたの今までしたことは決して許されない。被害も甚大だし……帰らぬ人もいる。だが、ヒルデからあんたを探すようにも言われていた……だから」


 永遠に罪を(つぐな)ってもらう。


 それが正しき裁きだ。


 俺は彼女に手を向けた。



「……………!」



 俺は驚いた。その刹那にあのブリュンヒルデが現れ、アトリを(かば)っていたからだ。いつの間に。


「……なんとなく来るとは思っていたけどな、ヒルデ。俺たちをずっと尾行していたんだな」


「お久しぶりです。ユメさん。姉を探していただき有難うございました。ですが、もしアトリを殺すつもりでしたら、この私を殺って下さい。それで罪を償います」


「いいや、俺は殺すつもりはない。闇の牢獄へ行ってもらうだけだ。そこは永遠でね、死も訪れない穏やかな場所だ。だから、罪を償うにはそこしかないんだ」


「分かりました。私も一緒に参ります」


 ヒルデの決意は固かった。

 そうか……そこまで姉想いなんだな。


「ヒルデ……お前。こんな私をまだ見捨てぬと言うのか……。私はお前の気持ちを裏切り、見捨てたのだぞ……」


「私は姉さんを見捨てない。罪は一緒に償っていきましょう」


 アトリの手を取るヒルデの顔は優しかった。


「ユメさん。お願いです。その闇の牢獄へ連れていって下さい。私は姉と共に永遠を過ごします」


「本当に、いいんだな」


 最後にもう一度確認する。

 すると、ヒルデは静かに(うなず)き、微笑んだ。


 そこまでの覚悟か――。



「分かった。闇の極解放(ダークフォーム)に眠るトラペゾヘドロンを展開する。そこに飛び込めば二度と戻ってこれない。いいな」


「はい……」



 俺は『トラペゾヘドロン』を場に出した。

 このような特異な場所である前提条件のもとに発動できる特殊スキルで、力の消費量も多いので一度が限度だ。



「じゃあ、お別れだな、ヒルデ」


「ここまで有難うございました。さあ、行きましょう……姉さん」

「ヒルデ……。しかし、私は…………」


 トラペゾヘドロンの前に立つアトリは躊躇(ためら)っていた。

 まだ諦められないのか、それとも。


「姉さん。これは悪夢だったの。そう、あの混沌が見せた悪い夢。だから、もう覚めなければ……さあ、この手を取って」

「ヒルデ……あぁ、すまなかった。ずっと謝りたかったんだ……」

「うん。時間ならたっぷりある。永遠を生きられるだから、二人はずっと一緒」


 そうして、二人はトラペゾヘドロンの中へ飛び込んでいった。



 ◆



「魔神王は倒した」


 フォースが状況を確認した。


「いや、真の魔神王は別にいる」

「……やっぱり」

「そう、覇王だ。ナイアルラトホテプこそ真の敵だ。あいつは、あらゆる世界の俺やアトリみたいな人々と闇の契約を交わし、世界を陥れようとしているんだ。いつかきっと倒す」

「うん。ところで、ユメ、お母さんたちは?」


 言われて気づいた!

 そうだ、母さんたちはどこだ!?


「ユメ、わたしに任せて。ひとっ走りしてくるから!」


 そう言うなりネーブルは、爆走していった。



「あれならすぐ見つかるかな……」

「はい、ネーブルならきっと見つけてくれますよ、ユメ様。それまで膝枕(ひざまくら)して差し上げますっ」

「そ、そうだな。じゃ、しばらく待ってるか」


 俺はフォースを抱きかかえながらも、ゼファに膝枕してもらった。



 ――――しばらくして。



「ただいま~」

「よ、ネーブル」

「わたしのいない間に(くつろ)いでいたのね」

「まあ、待っている間が暇だったからな」

「まあいいか。結論から言うけどさ、見つかったよ」


「いたのか!? 母さんたち」

「うん。このかなり奥にね」

「よし! これでやっと……!」



 ネーブルに案内してもらい、その場所で向かった。

 あまりに遠かったので、ゼファのグロリアスアジリティで移動速度を上げたが、それでも遠かった。ネーブルめ、いったいどんだけ突っ走ったんだか!



「おいおい、遠すぎるだろ。何パーセクあんだかな」

「あ、そうだ。フォース借りれば、座標をメモってきて貰うけど!」

「なるほど! 最初からそうすりゃ良かったな。フォース、行ってこい」

「あい」


 フォースをネーブルに引き渡し、また全力疾走してもらった。

 で、すぐに戻って来たので、テレポート。



「っし! ここか……」



 宇宙の果てみたいな場所にきた。

 そこには円にして白い花が咲いていた。アトリの趣味だろうか。――いや、あの花こそが魔王にすら状態異常を与えてしまうマジックアイテムだろう。


「母さん、姉ちゃん……メイ」


 みんな無事だ。

 深い眠りについているだけだ。



 きっとこの円から出れば、目覚めてくれるはず。

 そして、バテンカイトスへ……パラドックスへ帰るんだ――。

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