第71話 魔神決戦
魔神王が動き出すよりも先に、俺は掌を翳し、ソウルフォースを飛ばした。動きを止めるためだ。だが、予想通り俺の半端なソウルフォースでは、動きは止められなかった。でも、いい。隙は出来た。
『ダーク・ヘルズ・ディメンション!!!!!!!!』
どんな万物でも切り裂く闇が魔神王の喉元に到達しかけた。しかし、ヤツはギリギリのところで回避し、身体をくねらせ飛び跳ねると、それを放った――
『カルペ・ディエム』
白い閃光――いや、これは花!?
魔神が花を。
「それがなんだって……ぐ!!」
白い花が刃となり、襲い掛かってきた。
なんて数だ。しかも数百以上はある。
『スーパーノヴァ!!!!!!』
しかし、フォースが反撃してくれた。
超新星爆発が花を撃ち落とし、全て消えてなくなった。ナイス!
その隙にネーブルはライジンで高速移動をはじめ、
『――――――雷槍・ビルスキルニル!!!!!!!!!!!』
投げ飛ばした。
それと同時に、
『グロリアスグランドクロス!!!』
ホーリークロスの上位に相当する聖属性大魔法。
ネーブルとゼファの大技スキルが魔神王へ怒涛の勢いで向かっていった。合わせ技とはな、さすが二人は息ピッタリだな。
ならば、あとは俺だ。
だが、俺の動きを読むかのように魔神王は――
『カルペ・ディエム!!!!!』
またも白い花を雨のように降らせ、更に、
『テンプス・フギト!!!!!』
スキルを同時に発動した。
同時だと……!!
スキルは通常、同時発動はできない。ヤツには可能だというのか……!
しかも、魔神王の使った『テンプス・フギト』は時間操作系スキルのようであり、ネーブルとゼファのスキルを逆再生するかのように時を戻していた。
なんてヤツだ……!
『時間は有限。故に無為に扱うべきではないのだ。そのスキルたちでさえ無意味ということさ。無駄なエネルギーは全て無に戻すべきだ』
――ああ、どこかで聞いたようなセリフだ。
ようやく分かった。
元凶は魔神王ではなかった。
やはり、全部――『覇王・ナイアルラトホテプ』の仕組んだことだったのだ。この魔神王の言っていることは、まるであいつの思想そのものだ。
おそらく、ブリュンヒルデとアトリは何らかの世界で、覇王・ナイアルラトホテプと出会い、アトリはあの覇王に誘惑されたのだろう。
こいつも言ってしまえば、被害者だ。
でもな、それでも世界を破壊しようとするのなら俺は……!
「お前が同時なら、こっちは三つ同時だああああああああああああ……!!!」
俺は三つのスキルを同時に発動した。
『イベントホライゾン――――!!!!!!!!!!!!!!』
『ライスナー・ノルドシュトルム・ブラックホール――――!!!!!!!!!!!!』
『カー・ブラックホール――――!!!!!!!!!!!!』
『がぁぁっ…………おのれええええええええええええええええッ!!!!!!! こんなものおおおおおおォォォォォォォオオオオオオオオオオオオッ!!!!!』
魔神王は、俺の三つ同時のスキルを受け止めようとするが――、
『がはあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!』
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窮極の『闇』となり、『渾沌』となり、『万物』となったソレは、例え魔神王であろうとも受け止められるものではなかった。
すべてを持つ闇は今や奇跡にも匹敵する。
「く…………。世界はいつも私に牙を剥く……裏切る! これだから、数多の宇宙は滅ぼすべきだったのだ……! あの全てを私に与えてくれた混沌もそう望んでいたのではなかったのか――」
「お前には全てを与えなかったんだよ。結局、お前も俺も利用されていただけだ。あれは根っからの混沌だからな。あれ自身が愉悦を教授できれば満足するヤツだからな」
今ならあのナイアルラトホテプの企みが分かる。
そう、覇王はあらゆる世界の混沌を望む者。
幾多の世界に干渉し、別の世界にいた俺やこのアトリと契約を交わし、『闇』に染め、すべてを与えたと錯覚させて、世界の混沌を目論む影の王。
真の支配者なのだ。
だが、そうはさせない。
俺はあの混沌のようにはならない。
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