第67話 神槍・ダークグングニル
世界終焉剣・エクスカイザーの刃が魔神・エンケラドゥスの身体を一刀両断し、真っ二つに分離した。
「………………」
ピクピクと痙攣する魔神だったものは、絶命したかのように思えたが。
「こいつ……まだ生きてやがるのか」
「……フハハハハハ……。割と驚かされたが……おかげでこっちの戦力は増えたぞ」
「なんだと」
ぐいっと起き上がる分離したエンケラドゥスは、それぞれの肉体に変形。二人のエンケラドゥスが現れた。ああ、そんな感じの前にもいたな。
「てめ……分裂か……」
「そうだ。我は喰って融合した数だけ分裂できるのだ。……そうだな、あと五人にはなれよう。だから、斬れば斬るほど貴様は不利になるぞ~…クハハハハハッ」
「そうかい」
敵がほくそ笑んでいる間にも、俺は一気にヤツに接近――
『――――――イベントホライゾンッ!!!!!!!!!』
零距離でそれを放ち、二体を同時に攻撃した。
「「しまっ…………!!!」」
闇が嵐となり、エンケラドゥスを飲み込む。
怒りと憎しみが交差する闇は、普段よりも色濃く、より混沌に近い。
「「たあああああああああああああああああああああッ!!!」」
今のうちに瀕死の帝王を拾い上げ、俺は安全な場所に避難させた。……いつまでも、この戦場に置いておくのは邪魔だ。
これで本気が出せる。
「「「フハフハフハハハハハハハハハハッ!!!!!! 三人目だぞ、小僧ォォォォォオオオオオオオオオ!!!!!!!」」」
チィ……。分裂しやがったか!!!
だが、ここからは消滅させる気でいく。
「「「ガキが図に乗るなよ!!! 貴様には特上の状態異常『精神崩壊』をくれてやろう!!! これを受けたものは廃人となり、二度と常人には戻れぬ――!!!!」」」
三人が同時に不気味に笑い、同時に『精神崩壊』スキルを飛ばしてきた。
俺はそれをまともに受けた。
「………………」
「「「ざまあみろ!! これでお前は廃人……貴様の闇は我のモノ!!」」」
「なに言ってんだお前」
「「「…………!? 馬鹿な!? ありえぬ……!! 特上の精神崩壊スキルだぞ!! 受ければ少なくとも精神はメチャクチャになり、イカれちまうはずだ! なぜ狂気に堕ちぬ! 錯乱せぬ!? 発狂せぬ!? 虚無にならぬ!? ありえん、ありえんぞ!! お前は人間ではないのか!?」」」
「俺は闇だ。とっくにイカれちまってるのさ――このボケがあああああああああああああああああ!!!!!!!」
飛び上がり――
「「「飛び上がったところで……!!!」」」
腕輪を装着――
フィラデルフィアから許可を貰い、プロキオンから貸してもらっていた『神槍・グングニル』を闇から取り出し――
『ダークエンチャント……!! ――からの、神槍・ダークグングニル!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
「「「…………な!?!?!?」」」
『こいつも持っていけやあああああああああああああああああああああああああ――――――――――カー・ブラックホール!!!!!!!!!!!!!』
「「「バババッババババババババッバアアババッバババババババババアアカアナナナナナナナナナンヤメヤメヤメヤメロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ、グオオォォォォアオアウアオアオアアアアグギャギャギャギャギャアアアアアバブブエベベベバンッゲエロォォオエエオオエオエオエオエエネネベエエベエベベバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアギャエエオオォエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッッッッッッッ――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
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闇の塊は宮廷の壁、国の壁、その先にあった山々を突き抜け――宇宙へ。
魔神は宇宙で大出力の神槍による『精神崩壊』とブラックホールにより完全消滅。蘇生すら不可能なほどにその存在は掻き消えた。
「おっといかん。ブチギレすぎて本気出し過ぎたわ。肝心の母さんたちの居場所を聞き忘れちまったぜ……まあいい。あんなゴミ魔神に聞かずともソウルフォースで居場所を突き止めてやるさ」
ふと、フォースの気配を感じた。
どうやら、テレポートで来たらしい。
「終わったの?」
「おう、お前のおかげだ。あの腕輪を返してくれて良かった」
「うん……あの腕輪は、ユメの力を抑制していたものだからね。闇に飲まれないための……でももうその必要はなさそう。ユメ自身の強いソウルフォースが大きなバランスを齎している。なので、あたしが近くにいれば、さらに安心。つまり、ユメはあたしがいないとダメ」
「ああ、俺はフォースがいないとダメな闇使いさ」
フォースは顔を少し下げ、嬉しそうにしていた。顔が赤いな。
気になって近寄ってみると、顔を上げたフォースが飛びついてきた。
「――――――」
柔らかな唇が重なった。
そんな激しく求められるとは思わなかったけど、とても嬉しかった。
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