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第07話 帝王が戻ってこいと言っている

 ――――あれから三日後。

 俺の国『パラドックス』はそれっぽい姿になり、建国を果たした。



 家はちらほら建ち並び、立派になりつつある。



 建築材料は、ネーブルの所属していたギルドの変態パワーを借りて何とかした。ちなみに、頭のおかしい連中ばかりなので詳細は(はぶ)く。



「しっかし、立派な家だな~。さすがフォース。よくやった」

「これくらい楽勝~」



 ソウルフォースと俺の建築スキルの力を合わせて、家を建てまくった。



「ゼファには、聖女スキルで水源を何とかしてもらったし、ネーブルには人手(ギルド)を。みんな活躍したな!」



「でもさ、噂に聞いたけど魔神のクリーチャーが暴れまくってるってさ。つい昨日なんか、風の帝国(キリエ)が大規模な奇襲に()っていたわ。被害もかなり出てた」



 少しの間だけ向こうにいたネーブルが、淡々(たんたん)と情勢を説明してくれた。



 へぇ……そりゃ、ざまぁねぇな。


 俺たちを追い出した罰だ。



「――で、風の帝王はなんか言っていたか」

「ああ、そうそう。戻ってこい(・・・・・)とかなんとか……今、ユメを連れ戻すために、風の騎士団が動いているみたいよ」



「戻ってこい……? 今更戻ってこいとかありえんだろ。もう遅いわ!!」



 俺の邸宅(うち)を燃やして、さらに追放したクセに……!

 クリーチャーに襲われて、どうにもならん状況になったところで俺を頼る……結局、アイツ等は俺をいいように使いたいだけ。



 利用していただけだ。



「他の国はもう知らん! 俺たちはこの国で身を守るんだ」

「そうね、追い出したのは帝王だからね。ユメは今まで通り自由に生きればいいと思う。わたしたちは何処までもついていく」



「ネーブル……。ありがとう」

「うん。……だからと言って抱きつこうとしないでよね」

「ハグくらい良いだろう~?」

「わたしからハグしてあげるの!」



 ――と、ネーブルは抱きついてきた。



「そっちはいいんかーい」

「わたしからならいいの」


 なんだそりゃ~。よく分からん。



「ユメ様、ギルド『デイブレイク』の方たちがお礼を言いたいとおっしゃっていますが……。どうなされますか?」

「おう、ゼファ。相変わらずキレイだな――って、ギルドが? えぇ~~~~~…」

「ギルドマスターの『キャロル』さんがどうしてもと」



 でたよ……超変人女。



「ユメ!! どうして、私を無視するのですか!!」


「うわ、来たよ……」


「む、ネーブルとイチャイチャしている最中だったですか。だったら、私も混ぜて下さい!」



 ――と、キャロルは混ざってきた。暑苦しい。



「ちょっと、キャロル!」

「まあまあ、落ち着いてください、ネーブル。二人に話があるのですよ」



 俺とネーブルは顔を合わせた。



「話~?」


「そうです、魔神のことですけどね。この国の残留していたザコは全部倒しました。けど、いつまた襲ってくるか分からない。――ので、防衛力を高めるため迎撃用の武器が必要と思うのですよ。となると、資金を作らねば武器は買えない」



「まあそうだな」



「ユメ、我がギルドに入ってください。ネーブルもゼファ様もフォース様もです」



「却下」



「まだ決断を出すのは早いですよ。

 いいですか、この国をより盤石(ばんじゃく)にするためですから、損はありませんし、それに、久しぶりのボスモンスター狩りですよ! しかも、エクストラボス!」



「なんだと! エクストラボスは滅多にいないからな。どこのダンジョンだ?」



 俺はつい興奮して、キャロルに問い詰めた。



「……ふふっ、ユメ。いい顔です。キスして差し上げましょう」


「ヤメレ! ……それはいいから、場所は?」


風の帝国(キリエ)の付近にある渓谷ダンジョンです。ただ、クリーチャーが出没しているので、難易度は格段に跳ね上がっているのですよ」



「よりによって、風の帝国(キリエ)かよ」



「ユメ、あなたの海より深い事情は分かっています。けれど、国を強くするためです」

「顔を近づけるな。……まあそうだな、仕方ないか。それに、どれくらいの被害が出ているかも気になるしな」



「それでは、私、ユメ、ネーブル、ゼファ様、フォース様のパーティでいいですか!? 残りのメンバーは、この国の防衛に回すので」

「そうだな。あんたの仲間って変人だけど、むっちゃ強いしな」

「はい、命に替えてもこの国を守ると誓います!」



「分かったよ。じゃ、向かうか」



「よく言ってくれました! それでは誓いのキスを――」



「ネーブルバリア!!」



 俺はネーブルを盾にした。



 ネーブルは、キャロルのキスを頬に受け――ブチギレて、俺とキャロルをビリビリの刑にした。あばばばばばばばば……!!!



 ◆



 もう二度と戻ることはないと思っていたが――。

 こんなにも早く風の帝国(キリエ)へ戻ることになるとは。



 まあ、確かにあのダークゾーンだけじゃ、物資やら確保するのは厳しい。


 だから、必然的に『狩り』をするしかないのだ。



「はぁ……」

「ユメ、元気ない」



「んや、憂鬱(ゆううつ)なだけさ、フォース。もうすぐ風の帝国(キリエ)だからな」



「大丈夫。もしトルネードが襲ってきたら、あたしが何とかする」

「おう、頼りにしているよ」



 もうすぐ風の帝国(キリエ)の付近だ。


 そんな時だった。



 ビュゥゥ~~~と強風に(あお)られ、前を歩いていたゼファのスカートが――。



「うわっ……モロに見えてしまった」



 ゼファを傷つけたくないので、具体的な形とか色は言わないけど。まあでも、風の帝国(キリエ)はこういうハプニングがあるから、好きだったんだけどな。



「ふーむ……む? フォース、スカートをたくし上げてどうした」

「……見る?」

「そりゃ見たいけど、はしたないのでやめなさい――おっと!!」



 いきなり――『かまいたち』が襲い掛かってきた。



 俺はフォースを肩車、さらにゼファを抱え、更に更にネーブルも抱えて緊急回避行動に出た。ちなみにキャロルは抱えきれないので、本人で何とかしてもらった。




「なんで私だけ~~~~~~~!!」




 そう理不尽に扱われたことに(なげ)きつつも、キャロルはあっさりと回避していた。さすが超変人女である。



 さて、この攻撃は馴染み深い。



「きやがったか。騎士長……トルネード」



 どうやって切り抜けたものかね。

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