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第51話 究極の闇と劣化した闇

 魔神は今はどうでもいい。

 千体のナイトメアを殲滅(せんめつ)させねば、俺たちはみんな死ぬ。もし、ここで敗北するようであれば、あの混沌に滅ぼされた時のような凄惨(せいさん)な未来が待ち受けているだけだ。それだけは……絶対にさせない。


 それに――


「過去改変はしばらく出来ない。高頻度のタイムリープは、破滅的な精神崩壊を(もたら)す可能性が非常に高い。また、悲惨な未来ばかりに世界線が変動してしまうリスクもある。最悪な展開へ分岐(ぶんき)した場合の脱出は、困難を極める」


 とまぁ、フォースからの警告もあった。



「それじゃあ、ぶっ倒すしかないよなァ……!」



 俺がそう奮起すると、空に浮くディオネは嘲笑(あざわら)った。


「まだそんな強気でいられるのですか。いいですか、言ってしまえば、このナイトメア達はあなたの『闇』と我々魔神の『業気』を融合させた究極生命体。さきほどのプロトタイプはあくまで試作。どれほど対抗できるか見極めただけに過ぎない。本番はこれからなのですよ」



「そうか。ディオネ、お前がゴチャゴチャ言うまでにもう十体は倒したぞ!!!」


「なにッ!?」



 ディオネがベラベラ喋っている間にも、『ダークネス・アサルト』で爆発四散していく数十体のナイトメア。バラバラに砕け散った。隙だらけで助かったぜ。


「い、いつの間に……! 卑怯(ひきょう)だぞ!」

「卑怯? どっちがだよ。お前とお喋りしている暇はねーんだよ」


 さあ、一気に畳みかけて――



 ぐっ……数百のナイトメアが一気に攻めてきた。



「もう隙を与えませんよ、闇使い……!!」

「倒してやらあああああああああ!!!」



 黒い触手が数百の束となって飛んでくる。あれで俺を(から)めとろうって魂胆か? あれくらいなら、避けるまでもない。



『魔剣・エクスカイザー!!!』



 スパスパ切断していく。しかし、すぐに再生し、次から次へと襲ってきた。く……キリがねぇ。こんなチマチマやっていても(らち)が明かない。だったら――。



『――――――イベントホライゾン!!!!!!!』



 よし、これが決まればまた数十、数百は沈むはず。

 そう確信した時だった。


 全てのナイトメアが一斉に動き出し、触手ではなく――『劣化した闇』を放った。あれは……俺の!? 威力こそ俺以下だが、あの規模ではどちらにせよ……すべてを(さば)くのは無理だ。


 けど、なんとかしなければ、国や皆が……!



「くそぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおッ!!! 諦めてなるものかあああああああああッ!!!!!!」



 最大出力でいく!!!



 あの大規模攻撃に反撃するなら、これが最適だ……!




『カラビ・ヤウ!!!!!』




 超広範囲の闇属性スキル。

 それが空全体に広がり、ナイトメアの『劣化した闇』と拮抗(きっこう)した。



「…………ぐっ!!」



 劣化(・・)のクセに、なんて威力だ。

 これが劣化!? ふざけるな、なにもかも出鱈目(でたらめ)。無茶苦茶だ。



「ふふふふ……苦しいでしょう、闇使い。それこそ、真の闇です。ただの夢の時代は終わり。これから悪夢の新時代がはじまるのですよ。そう、私とカッシーニが魔神王となり、この世界に君臨する。……そうですね、あなたを無事に倒せたのなら、次は現在の魔神王を倒しにいきましょう。それで世界は完全に生まれ変わる。みなが平等の力を手に入れる、悪夢の世界になるでしょうね……!!」



「これが真の闇? 平等の力!? 悪夢の世界!? 笑わせてくれるぜ……。お前は何も分かっていないようだな、ディオネ」


「なんだと……! 今、ナイトメアの圧倒的な闇に押されているお前が何を言う! 現実を見なさい! もう間もなくお前は国ごと死ぬ! みな塵となり、消え去るのですよ!!!」


「そうだな、少なくとも今の俺のひとりの力じゃ負けるかもしれん。だけどな……! こっちには最強の極魔法使いアルティメットウィザードとライジン使いの超初心者(スーパービギナー)……そして、聖女もいる!」


 国内にいたはずのゼファも駆けつけていた。彼女はきっと、俺がいつしかプレゼントした『指輪』を見たに違いない。あれは闇属性耐性が上がるが、大切な人の危険を知らせてくれるうえにテレポートしてくれる万能魔導アイテムでもあった。



『――――――スーパーノヴァ!!!』

『――――――ムジョルニア!!!』

『――――――グロリアスホーリークロス!!!』



 俺たちの全力が『劣化した闇』を押していく。



「なっ…………! 馬鹿な……! く……このままでは敗北か!! 仕方ありません。カッシーニ、あなたに蓄積させていた業気を返して戴きますよ」


 なにをする気だ、ディオネのヤツ……!


 そうして、ディオネは、魔神少女・カッシーニの胸に手を伸ばそうとしたが――。ディオネの腕が唐突に吹っ飛んだ。

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