第49話 超強化・最強の壁
国は常に変化し、日々発展していくものだ。
パラドックスをキャロルに任せて一週間ほど。久しぶりに帰国すれば、またもパワーアップしていた。いつの間に建築材料を集めたんだか。知らぬうちに店が増えまくっている。
「なんか活気が倍増してるな。人口が増えたのか……?」
「みたいね。あてのないギルドが増えたのかも。光の天国からの移住も増えてるとか何とか」
ネーブルが得意げに話した。なるほどね、そいや、そんな話もあった。よく見れば、天使や堕天使がちらほら。可愛い娘も増えている。……へぇ。
「なに他の女の子見てるのよ」
「勘違いするな。一番よく見てるのはネーブルだ」
「なら許すっ」
……ふぅ、なんとか乗り切った。
って、そりゃいい。さっさと壁……ダークウォールを強化しよう。
国の状態、つまりステータスを表示させた。
【防衛値】:13500 (限界突破)
【壁】:ダークウォール Lv.30
【防衛兵器】:
対クリーチャー&モンスター超地雷×1350
硫酸+スパイク付き落とし穴×280
自動式プラズマ魔導砲×140
180mmカノン砲(魔弾)×20
偵察衛星(使い魔)×6
(多すぎるので以下略...)
苦労して収集した『エクサダイト×3680』をダークウォール強化に使用した。すると、壁が共鳴し、暗黒に輝くと更に黒味が増した。……いや、ほとんど変化分からんけど。ちょっと光ったな、うん……。
……え?
ま、まあ演出は地味だったけれど、強化は確実に出来たな。そう、結果は間違いなく出ているのだ。あの努力は決して無駄ではなかった。
【壁】:ダークウォール Lv.60
特殊効果:自動修復Lv.1
「これで壁の強化終わり?」
「らしい。でも、壁の自動修復がついたぞ!」
「ふーん」
「ふーんって……苦労したのになぁ……」
「うそうそ。頑張ったもんね。強化記念にみんなでお祝いしましょ!」
「おお、それいいな。みんな無事に帰ってこれたし、祝杯だな」
――なんて喜んでいる間にもクリーチャーは数万となって襲ってきた。
「おお、噂はしてないけど、勝手においでなすったな!」
もちろん、壁の防御力は倍になっているので……。
「ビクともしないわね」
「ああ、もう侵入は出来まい。見ろ、そこそこ強い魔神もいる。壁を必死に破壊しようとしているが、壊れる様子がない。それどころか、自動式プラズマ魔導砲で蒸発しちまってるよ」
てか、防音もバッチリだな。なんも聞こえん。快適そのもの、これで生活音に悩まされることもないな。完璧かよ!
「ユメ」
ひょこっと現れたフォースが俺の名を呼んだ。
「おっと、いつの間に。なんだ、家でゴロゴロしていたんじゃないのか、フォース」
「……クリーチャーの気配を感じたから、心配になってテレポートしてきた。でも、この様子なら問題なさそう」
「うん。これで平和に暮らせる。俺にいっぱい甘えていいぞ」
「やったー! ……でも、生き残っている魔神がいるけど」
「む?」
ふむ。どれどれ。
ソウルフォースで壁の外を視た。――すると、しつこいくらい壁をぶっ壊そうとしている一人の魔神がいた。いや、二人か。
しかも、なにかを叫んでいる。
どれ、防音を解除してみるか――。
『聞こえますか! 私を無視しないて戴きたい、闇使い!!!』
……へ。
「無視? なんのことだ」
仕方ない、ちょっくら外へ出てみるか。
「フォース、テレポ」
◆
外へ出ると、クリーチャーは全滅していたが、二人の魔神がいた。
「あんたは?」
「ふざけるな!! 私はディオネです。地の神国で待っていたというのに、あなたの気配が消えたのでね、もしかしたらとこちらへ馳せ参じたのですよ」
「あー…、忘れたわ」
マジで。
というか、ディオネは角が二本あった。鬼っぽい雰囲気があるな。しかも、邪悪なオーラを纏い、『業気』なる魔神特有の力も今までとは比較にならないレベルだった。明らかに、これまでの魔神とは格が違う。
「わ、忘れていた!? おのれ……。貴様の為にゾンビまで使ったというのに……! ですが、おかげで実験は飛躍的な進歩を遂げました」
「知るか、てめぇを倒すだけだ、ディオネ! お前のせいであの野盗共は国中を襲った……。その結果、コライユの……エルフの村も狙われて……罪もない人たちが惨殺された……。その罪、死をもって贖ってもらうぞ」
「ふふふふふ……倒す? 私は【Vier】……4番目ですよ? 雑魚魔神と同じ扱いは遠慮願いたいですね、ねぇ、カッシーニ」
ディオネの隣にいる魔神の名らしい。
幼い少女だが、あれも魔神か――。
「……はい、ディオネ様こそ魔神王に相応しいお方です」
と、カッシーニとかいう少女は静かに口を開いた。
……おいおい、それいいのかよ。
「ディオネ、お前をチョキで殺す」
「へぇ、あなたは面白い冗談を言うのですね。……いいですよ、そういうジョークは嫌いではありません。ただ――」
ディオネは言葉を区切り、空を見た。
……空?
釣られて空を見ると、なにか降って来た。
「ユメ、あれは何……?」異形に驚くネーブルは緊張を露わにし、戦慄していた。それから、フォースは「危険」と一言つぶやいた。冷静でいるようで、彼女も最大限に警戒していた。……俺もそのバケモノの姿に絶句する他なかった。
「…………なんだ、ありゃ」
「驚いたでしょう。これはあなたの闇を浴びたアトラス、キル三兄弟、イアペトゥス、フェーベ、ヒペリオン、タイタンの残骸を利用した究極の生命体です。名はありませんが、名がないと寂しいものです。そうですね……。それでは『ナイトメア』と名付けましょう。――うん、これがしっくりきますね。さあ、『ナイトメア』よ。あの闇使いを斃しなさい」
ナイトメア……。
ウソだろ……俺の闇を全身に帯びている!?
滲むような黒い影。裂傷のような赤い模様。十はあるだろう充血した目。六つの腕。それには『刀』が握られていた。
更に、なんの為にあるか分からない数十本の触手。もはやクリーチャーの域を超えているクリーチャー。あれはもう、ただの怪物だ。
「これは…………」
「素晴らしいでしょう。あなたが今まで倒した敵を融合させた芸術品です。そう、彼らに意味を持たせたのです。これが彼らの生きた証」
まるで完成した作品を自信満々に発表するディオネ。…………そうか、これが上位魔神のやり方ってことか。反吐が出る。
「……ディオネ、まずお前を一秒で倒す」
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