第46話 洞窟ダンジョン・ヴァニタス
ネーブルに『金色の髑髏』を手渡すと、ギョッとするや驚いて宙へ抛り投げた。ピューンと空高く飛ぶ髑髏は次第に、重力に引かれて落下してきた。俺はそれをキャッチした。
「……び、びっくりしたぁ、ユメ! 酷くない!?」
そう、怯えるネーブルは、フォースの背中に隠れた。体格差があるので、ほとんどはみ出ているがな。けどま、あんなビビるネーブルはちょっと新鮮だ。いつもは強気だし。
「ユメ、ネーブルをいじめない」
フォースに怒られてしまった。
そんな彼女は、ネーブルの頭を撫でていた。ふむ、これはこれで。
「ありがと、フォース」
ネーブルはお礼を述べて、俺をジトっとした目で睨んだ。……ありゃ、ちょっと尾を引きそうだな。でも、そんな目で見られるとたまらんっ……!
などと、心の中で悶えていると――
「ユメ様」
「ん、ゼファ、どした」
「コライユ様とルージュ様がお話があるそうです」
「む、話か。それで二人ともどうした」
「もう洞窟は近いのですよね」
「ああ、多分な。髑髏がさっきより輝いているし、もう近いはず。コライユとルージュも来るんだろう?」
コライユは頭を横に振った。
「申し訳ありません。私たちは足手まといになりそうなので、ここで別れです」
「マジか」
「噂に聞いたことがあるのですが、洞窟のボスモンスターはエクストラボスではなく、それを上回る未知のボスだと……。ですから、私たちがついていったところで役には立てないかと。私たちは、もともと野盗を追っていただけですから」
こんな可愛いエルフ二人と別れてしまうのは、なんだか惜しい気もする。しかし、そんなボス情報がある以上、命の保証はできない。
「分かった。もし困ったら、パラドックスへ来るといい」
「ありがとうございます」
「嬉しいお誘いに感謝です」
二人とも深く頭を下げた。それから抱擁もしてくれた。……よしっ。
そうして、二人のエルフ……コライユとルージュは最後までお礼を言いながら去った。うん、良い子たちだったな。きっとまたいつか会えるだろう。
「……さて、洞窟へ入るか」
「やっぱり、此処にあったのですね」
ゼファは勘付いていたみたいだ。
「え、なになに、すぐそこに洞窟あんの?」
「そうだよ、ネーブル。お前が髑髏を宙に投げた時に分かったんだよ」
「そ、そう。むぅ……」
ありゃ、膨れっ面。まだ根に持っているようだ。
「それじゃ、行くぞ~」
◆
【 ヴァニタス・ヴァニタートゥム 】
洞窟ダンジョンに入った。
不思議なことに出入口という穴はなかった。テレポートやワープに近いかもしれない。なるほど、髑髏はダンジョンへの転移アイテムか。だから、鍵と。
「なかなか肌寒いな。ゼファ、大丈夫か」
「わたくは大丈夫です。それより、ネーブルが寒そうなのですが……」
心配そうにネーブルを見つめるゼファ。
毎回のことだが、軽装だからな。仕方ない。
「ネーブル、寒いのなら腕を組むが」
「…………」
おや、複雑な感情が入り混じっているのだろうか、素直ではないものの――腕を絡めて来たのであった。ほうほう、ほほうほう。さすが、良いものを持っているだけのことはある。俺は今、最高に幸せだ。
――ま、とにかくだ。
この巨大洞窟ダンジョンを進んでいきますか。
と、足を一歩踏み入れようとしたのだが。
「ダメ」
フォースに止められた。しかも杖で。
普段、滅多に出さないフォースが杖で警告している。……まさか。
「地面に超強力なトラップが仕掛けられている。踏むと即死」
「……そ、即死!?」
「破壊する。――――ヘヴンズストレイン」
地属性の大魔法で、一帯に仕掛けられていたトラップを全て破壊した。
「す、すごいわね……こんなに罠があったなんて」
「そうだな、ネーブル。俺もビックリだ」
高難易度とは聞いていたけど、地面がほぼトラップとかさ……。やりすぎだろ! ていうか、殺す気満々だな。
「よし、トラップに気を付けつつ進む。それと、どんなモンスターが現れるか予想もつかん。最大限警戒して行くぞ」
応援ありがとうございます。
もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら
ぜひブックマーク・評価をお願い致します。
下の【★★★★★】を付けて下さると
大変励みになります。




