第42話 ゾンビに囲まれたエルフ
「ゾンビ!?」
フォースのワープで『地の神国』到着早々、ゾンビの群れに襲われた。あれは、モンスターだ。
なぜこんな大量発生しているのか、訳が分からなかった。
たぶん、五千はいるだろう。いくらなんでも多すぎだ。
「誰の仕業だ?」
「ユメ様、あの」
「ん、どしたの、ゼファ」
「あの丘に、取り残されているような人たちがいますよ」
ゼファの指さす方向を見てみると――
確かに、丘に二人ほどが孤立していた。その下には大量のゾンビ。落ちれば喰われ、命はないだろう。ていうか、どうしてああなった。
「よし、ネーブル。ライジンでゾンビを粉々にしてくれ。フォースの大魔法じゃ、あの人たちを巻き込んじまうからな」
「オーケー!」
ビリビリッっとネーブルは全身に電気を走らせた。
ライジンスキルである。
「それじゃ、いくわよ!! みんな離れてて」
すっかり電気を帯びたネーブルは、白い歯を見せて笑った。ありゃ、割と本気だな。……ま、ゾンビの数も数だし、いいだろ。
ウォーミングアップが終わると、彼女は光速で駆け出し、それを繰り出した。
『――――――エレクトロンボルト!!!!!』
青い稲妻が大地を駆け巡った。
それらはゾンビをバリバリと焼き殺し、一瞬で蒸発させた。おぉ、つええ。さすが、ネーブル。ライジンはいつ見てもカッコイイ。しかも、あの光速移動はいつ見ても気持ちが良いな。姿こそ光だが、蒼白い閃光が美しいのだ。
「……ただいまっと!」
「おかえり。よくやったよ、おかげでゾンビはほぼ消えた。丘の連中くらいは助けられるだろうが……念には念を。トドメだ、ゼファ、アレを頼む」
「承知致しました……グロリアスエクソシズム!!」
聖なる者にしか使用できない悪魔祓いスキル。
これでゾンビは間違いなく滅びる。
『ギョアアアアアアアア~~~~~~~~~~!!!!!』
神々しい聖属性魔法攻撃がこれまた大地に広がり、ついにゾンビは全滅した。ドロップアイテム『ゾンビの皮膚』なる収集品が大量に落ちているが……なんかヤバイ病気になってはいけないので、回収は諦めた。
「お金にもならない」
「俺の思っていることを代弁してくれてありがと、フォース。ま、そろそろ丘の人を助けますかね」
◆
意外なことに丘の上には、女の子のペアがいた。
「ありがとうございます!」「助かりましたぁ……」
片方はエルフでハンター、もう片方もエルフでジプシーだった。なんて組み合わせ、というか美しい。どちらも肌の露出も多くて、目の保養に――あ、フォースが目隠しを。
「見ちゃダメ」
「……ちっ」
「あの~。あなたは、もしかして勇者様ですか!?」
ハンターの娘が俺に興味を示した。
「元ね。今は洞窟ダンジョンを目指しているただの闇使いさ」
「そうなんですね! 私たちも向かっていたのです。良かったら、一緒に行きませんか? あなたのようなお強い人がいれば心強いです♪」
なんと嬉しいお誘い。
断るわけ――――ネーブルが俺の背中を抓った。
(うぎゃああああああああああああああああ!!!!!! いでででででで、なななな、なんてことを!! 皮膚が三回転はしている激痛だぞぉおぉ…………)
俺は汗をダラダラ流しながらも耐えた。
「うううう、嬉しいよ。俺としてもキミみたいな可愛いエルフと同行できればばばばばばああああああああばばばばあああ!?」
ついに皮膚が七回転はした。
……死ぬぅぅ!!
幸い、ゼファはポカンとしていた。よかった……聖女で。
「ユメ、浮気したら殺すって言ったよね」
「あの、ネーブルさん。顔が怖いんですけど……馬鹿。浮気じゃねーよ。いいじゃないか、目的は同じなんだからさ」
「そ、そりゃそうだけど。う~ん、フォースは?」
「……あたしはユメに肩車してもらってるからいいもん」
ちょっと拗ねつつも、フォースは渋々と了承した。
「むぅ。でも気を付けてね」
と、ネーブルはそれだけ言って、手を放してくれた。……ほっ。
でも、ぜったい痣が出来ているな俺の背中。……トホホ。
◆ ◆ ◆
地の神国――某所では。
「…………そうか、この国に」
「はい……ディオネ様。闇使いは間違いなくこの国におります」
「なんと好都合。では、更なるゾンビ兵を向かわせるのです。ヤツの肉親を使ってね」
「……はっ。では、あともうひとつ」
「――アレも完成しましたか」
「はい。究極の闇をふんだんに浴びたアトラス、キル三兄弟、イアペトゥス、フェーベ、ヒペリオン、タイタンの残骸を使用した、新たなクリーチャー。いえ、あれはもうクリーチャーと呼べるものかすら分かりません。業気ですらメチャクチャですから」
「よろしい。では、見せて戴きましょうか。その真のクリーチャーとやらを」
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