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第04話 風の帝国・防衛譚 前編

 これはまだ『風の帝国(キリエ)』にいた頃の話。

 ある日、俺とゼファは二人きりになった。どこかへ遊びにでも行こうかと思ったが、残念ながら、風の騎士団から急の呼び出しがあり、一緒に向かうことになった。


「ユメ様と二人きり……なんたる僥倖(ぎょうこう)でしょう。本当にいつ振りでしょうか……とっても嬉しいです♪」

「そうだなぁ、いつもフォースとネーブルもいるしな。こういうのは珍しいな」


 ちなみに、フォースは師匠(マスター)のところへ里帰りしている。ネーブルは、キャロルに連れ去られてしまい、ギルドと共に『狩り』へ強制連行となった。最後まで暴れていたが、抵抗虚しく連れ去られた。まあ、たまにはいいだろ。


 俺もたまにはゼファと二人きりで過ごしたかったからだ。だから、今回は絶好のチャンスだったというわけだ。


 そんなこんなで騎士団へ向かっていた。


 しかし一歩外へ出れば、ゼファは目立つ。まず、あの銀髪と白肌。それから、ピッチリとした修道服から見て取れるムチっとした体形は、男を絶対的に魅了する。


 なので、必然的に注目度抜群であった。


 で、やっぱりどこかの貴族とかが目をつけてくる。


「おぉ、これは大変お美しい……噂の聖女様ですな」

「まてまてシーカー殿。彼女は俺が買う」

「なにを言う! この大貴族であるパーカー家がっ!」


 知らん奴らがなんか勝手に盛り上がっているが、ゼファは誰のものでもない。俺のである。ていうか、なんか競りとか始まってるし、奴隷の闇取引じゃあるまいし、ふざけんなっ。

 バカバカしい状況に辟易(へきえき)した俺は、ゼファに耳打ちした。


「ゼファ、ちょっと空へ飛ぶぞ」

「え……空へですか」

「ああ、ちょっと怖いかもだけど、我慢してくれ」


 闇の極解放(ダークフォーム)を展開。

 俺はゼファをお姫様抱っこし、空へ舞った。


「……わあっ」

「よし、あの屋根に飛び移る」


 しゅたっと着地し、そのままを維持した。


「どうする? このまま騎士団まで向かうけど。嫌だったら言ってくれ」

「いえ、とんでもありません。ユメ様に抱いて戴ける……なんて幸せな事でしょうか。わたくし、今とても嬉しくて……思わず泣いてしまいそうです」


 そこまでかっ。

 いやぁそこまで言ってくれると嬉しいな。


「……よし、じゃあこのまま――」



 だが、その時だった。



「まてーい!!」「待つんだ!!」



「げぇ!! あの貴族たち屋根を飛び移ってきやがったぞ……」



「わははは、シーカー家を舐めるなよ、少年!」

「そうさ、こちらは大貴族のパーカー家だぞ。小僧!」


「はぁ? どっちも知らねえし。てか、まさかゼファを奪う気か」


「そうだ、手に入らぬのなら奪うまでだよ」

「お、シーカー家の長男、気が合うな。では、共闘といこうか」

「分かった! ただし、聖女様の衣服はすべて戴く!!」

「よかろう」


「――って、まてやあ!! なに二人で勝手に取引してやがる!? ゼファの衣服をやるわけねぇだろアホ! てか、そんなことしたら、この俺が許さん!!」

「ユメ様、あのひとたち怖いです……」


 (おび)えるゼファは、俺に抱きついた。


 すると、貴族二人は俺を殺意をもって(にら)んできた。

 いや…………そんな睨まれてもね。


「ユメ少年よ、ならばこうだ……!!」


 シーカー家の長男が、(てのひら)に石ころを乗せていた。てか、俺の名前をいつ知った。あ、さっきゼファが言っていたか。


「それがどうした……!」

「ふふふふ、我がスキルは『チェンジ』。指定した対象の物質を入れ替えることが出来るのさ……! その聖女とこの石ころをチェ~~~~~~~~~ンジ!!!」



 ピカッっと光ると、俺の腕の中にいたはずのゼファと石ころが入れ替わった……! ……んなアホな、そんなスキルがあったのかよ。


「ふははははは!! 驚いたか、ユメ少年。これで聖女は俺のもの! さっそく連れ去って……修道服をひん()いてくれるわっ!!」

「よくやった、シーカー家の長男!! ぐへへへへ……」


 下品に笑うシーカー家の長男とパーカー家の大貴族は、もはや変態だった。


 つーか……。



「ゼファに気安く触れるんじゃねええええええええええええ!!!!!」



 ソウルフォースを使い、変態二人の動きを止めた。



「…………がっ!? なんだ、急に体が動かない……ぞ」

「お、お前もか長男。私もだ……!! どうなっているのだ……!!」



「よし、これでゼファを……」



 だが、シーカー家の長男は不気味に笑っていた。……なんだ!?


「…………動きを止められたのは想定外だった。だが、時期にこの国には、魔王軍一万と、大幹部様が到着なされる。そのとき、貴様は終わりだ……勇者ユメよ」


「てめぇ、そういうことか……」


 長男……いや、あれは裏切り者だ。


 たぶん、風の騎士団に、急に呼び出されたのもこの案件だ。

 それを証拠に、トルネードがやって来た。


「ユメ!! 屋根で騒動があったと聞いて駆けつけてきたのです。…………あ、あの顔。あの男は我が国を裏切ったシーカー家です!! もうすぐ、一万のモンスターと大幹部が!!」


「分かってるよ、トルネード。とりあえず、長男はとっ捕まえておいてくれ。モンスターと大幹部は俺とゼファに任せろ。帝王の期待は裏切らんよ」

「ありがとう、ユメ。では、私はこの不届き者を裁判なしで処刑台へ送らねばなりませぬ故、これにて失礼を」



「ば、ばかなああああああああああッ!!! 俺は聖女の衣服が欲しかっただけなのにィィィイィ!! うあああああああああああ!!!!」



 シーカー家・長男は連行された。

 ざまぁというか、自業自得である。



 ……さて、ぶっ倒しにいきますかっ。

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