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第03話 後編

 新郎に化けていた魔王の大幹部・イエローファングは、フォースに襲い掛かり、あと寸でのところで彼女の喉元を切り裂こうとしたが――ソウルフォースの力で強く、激しく突き飛ばされて、地面に激突した。



「ぐわぁぁぁ……っ!!」



 フォースはそのままゆっくり歩き、敵に掌を向けつつプレッシャーを与え続けては、ノックバックで追い詰めていた。敵との距離がどんどん遠くなっていく。大幹部が米粒になってらあ。


「おぉ、相変わらずスゲェ威力だ。さすが極魔法使いアルティメットウィザードだ。――さて、今度こそ決着(ケリ)をつけてやる」



 と、思ったが。



『――――――クエーサー!!!!!』



 無詠唱でスキルが発動した。

 あれは、フォースの大魔法のひとつ。


 それは赤方偏移(せきほうへんい)を持ち、強烈な電波エネルギーとなって敵を容赦なく穿(うが)った。さらに、【再生不能】の特殊状態異常を与え、イエローファングは(もだ)え苦しんだ。


「…………ぁ……が、ば…………か、な」


 シュワッと溶けるようにして敵は消え去った。


「よくやった、フォース。そうか、おばさんも新郎も化けていた存在だった……ん、まてよ。そうなると花嫁の方は――――ぐわぁぁぁ!?」



 体が…………俺の腹が爪で(つらぬ)かれていた。



『フハハハハハ……油断したな小僧。我はブルーファング!! そうさ、ここにいたババア役と新郎新婦は化けていたのさ!! その姿、ざまあないねえ~~~!!!』



 やはり、おばさんも新郎新婦も……!!



「だましたな!!!」

『だまされる方が悪いのさ。それになァ、お前はもうオレ様のエサなんだよ。そんな串刺しじゃ、すぐ死ぬ。だからな、喰ってやるッ!!』


「うるせーよ。お前は小指で引き裂いてやる」


 俺は小指を突き立て、敵を威嚇(いかく)した。



『はァ!? 笑わせるな、小僧!! 小指で何ができ――――――』



 ブンっと下から上に軌道を描いた。

 すると、ブルーファングは真っ二つになって、地面に転がった。



『…………………………ハ?』



「どうだ、引き裂かれた気持ちは?」



『ありえん……小指でオレ様ヲ…………貴様、ナニヲシタ!?』


「なぁに、ちょっと極上の闇を、『ダークエンチャント』を指に付与しただけだ」


『……クソガアアアアアアァァ!!!』

「クソはテメェだ!! 街をメチャクチャに破壊しやがって……これは街の人の恨みだ」


『………………カハッ』



 魔剣・エクスカイザーを突き立て、敵を消滅させた。



「これで大幹部は倒しきったはずだ。もう出ないよな……?」

「大丈夫。もう気配はない」

「そうか、お疲れさん、フォース」

「……うん。肩車してくれる……?」

「いいよ。じゃ、次の街も助けに行こうか」

「うん」


 いざ旅立とうすると、ホンモノ人間の生存者がお礼を言った。


「ありがとう、勇者殿。あなたの噂はかねがね……」

「どうか魔王を倒して、世界を平和にしてください」



「…………では」


 ぺこっと頭を下げて街を出た。

 ……俺は別に勇者になりたいわけじゃなかった。でも、みんなが勇者という理想を求めてくるのだから、それを受け入れた。ただそれだけだった。


 なんて、ちょっと感傷に(ひた)っていたら――

 フォースが俺の頬を引っ張った。


「ふぉふぃー……」

「人は人、自分は自分。ユメらしくやればいい。というか、いつのもユメでいい。だって、ユメはみんなを照らす光ではなく、この世の理に(あまね)く闇だから」

「それがいまいち実感が湧かないんだよなぁ。けどいいや、世界に名だたる極魔法使いアルティメットウィザード様のご助言だ。ありがたく心に留めておくよ」



 そうして、俺は次の街を救いに――その前に。


 地の神国(クレド)には、天然の温泉があちこちにある。


 少し寄り道をしていこう。


 最近、フォースと二人きりで温泉に()かるのが日課になっていたのだ。


「温泉♪ 温泉♪」

「おいおい、人の心を勝手に読むなよ~」

「あたしとユメはソウルフォースで繋がってるもん。あと、いつか体も……♡」

「う……馬鹿。そういうのは……もうちょい成長してから言いなさい!」

「ううん~。でも温泉入ると、ユメすっごくドキドキしているよね」

「そりゃ当然だ」


「なんで~?」


「言わせんな恥ずかしい。……心を読めばいいだろ」

「そーゆーのは口に出して言って欲しいから」

「…………心を読め」


「…………。気持ちは一緒なんだね♡」

「さ、さあな」


 俺は誤魔化(ごまか)すようにして、先を急いだ。

 今日からフォースの甘え度が倍増したのは言うまでもあるまい。

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