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第36話 闇と混沌

 時間は有限だ。

 覇王の襲来まであと七分といったところだろう。



 ならば、かけがえのない七分間だ。



 残り時間を最大限に有効活用し、敵を撃退する。それだけでいい。俺は自分も仲間も……国も信じている。



 外へ出ると、すでに攻防戦が始まっていた。なんてこった、もう激しいドンパチが繰り広げられているじゃないか。道理で爆発音が絶え間なく鳴り響いていると思ったよ。



「……クリーチャー……いや、あれはモンスター(・・・・・)か」



 闇の覇王ならば、モンスターを従えるなど容易いわな。ほぼ雑魚の部類だから、嫌がらせに他ならない。なんて陰険。陰湿。けどな、それくらいで俺の国はビクともせんよ。



「ただいまです」

「おう、ゼファ。防衛の方はどうだい?」


「はい、ギルド・デイブレイクのマスターであるキャロル様にお願いし、メンバーを総動員して戴きました。闇モンスターの侵入は阻んでいるところです。ですが……」



 語尾でゼファのトーンが低くなる。

 ……分かっている。



 最大の敵は混沌(ヤツ)だ。



 きっとヤツはもう近くにいるはず。

 俺は空を睨み、敵の気配を探ろうとした――しかし。



「ユメ! 東の守りが突破されそうよ!」

「なっ、なんだって!」



 ネーブルが(あわ)てた様子で戦況を報告した。

 まずいな……。



 滅びまであと五分もない。



「ネーブル、ゼファは東へ。俺とフォースで混沌を迎え撃つ」



「了解」「分かりました」



 くそっ、やはり内部に裏切者がいるのか。

 でなければ、ここまで簡単に防衛力が低下するなんて――。



 ん。けど……【防衛値】に変化はない。



 通常【防衛値】は『9999』が最大で、四属性でも『5000』ってところ。うちは『9000』だった。なので、あんな雑魚モンスターに突破できるとは到底思えない。となると……。


 そんな風に考え事をした時だった。



「ユメ!!!」



 フォースが飛び込んできて、俺を突き飛ばした。……え。




 ダークウォールが突然崩壊した。




 ガラガラと巨大な『黒い壁』がこちらへ雪崩(なだれ)となって襲い掛かってきた。……うそ……だろ!? 信じられん、あの壁が破壊されるなんて。



 巨大な壁の破片が飛んできたが、フォースのソウルフォースによりその動きを全て止めていた。もし、フォースがいなければ、国は一瞬で全滅だったろう。……助かった。



「……っ、これほどの質量をソウルフォースで受け止めるのは初めて。あんまり長くはもたないかも……」


「俺に任せろ!」



 あの壁を一瞬で吹き飛ばすなら、これしかない。




『――――――ダーク・ヘルインフェルノ!!!』




 一気に広がる暗黒の煉獄。


 崩れてきた全ての壁を燃やし尽くし、破壊した。




 しかし、それと同時にヤツも現れた。




「…………覇王・ナイアルラトホテプ」




 憎しみの眼差しで俺は、ヤツを殺意をもって睨んだ。




<………………>





 すべての元凶。


 すべての怨敵。


 すべての混沌。




 しかし、ヤツは『喜び』、『悲しみ』、『怒り』、『驚き』、『恐れ』、『嫌悪』の基本感情は持ち合わせていない。




 ヤツにあるのは【混沌】だけ。




「人の皮を被った悪魔め……!!」




<どの世にも破壊と再生は付きまとう。私はその混沌と秩序を形作るだけ>




「この悪趣味野郎。俺の国も滅ぼしに来たんだな……!」




<そうとも。貴様の不在を狙うつもりだったのだがな……あの女めしくじりおって……だがまあいい。ユメよ、貴様には全てを与えたつもりだ。なれば、いい加減に目を覚まし、この世界の『闇の王』となれ。貴様にはその資格があるのだ>




「んなもんに興味はねぇよ! 俺に関わるな、近寄るな! 帰れ!!」




<そうはいかん。それにな、魔神王を(けしか)けて更なる混沌を呼んだ。この世界はもっともっと混沌に染まるべきなのだ。そして、全てが荒野に染まったその時、次なる世界は今よりも素晴らしい世界となるだろう。その世界を貴様に譲ろうというのだ。なにも悪い話ではあるまいて。そもそも、これはユメ、貴様の望みであったろう>




「なわけねーだろ、ボケ!!! 俺が欲しかったのは普通の家族だ! 暮らしだ! でも、お前はそれを与えてくれるどころか、裏切りばかり。俺の前から何人消えたと思っている! なぜ俺をこの世界に呼んだ!? なぜ家族を魔王にしやがった……! ふざけるのも大概にしろよ、この鬼畜!」




<…………フフフフフフフ、アハハハハハハハハ…………>




 混沌は不気味に笑う。




<ユメ、貴様の心の奥底には『究極の闇』が潜んでいる。それが私とお前を繋いだのだ。でなければ、貴様に価値などない。そこら辺に転がっている脆弱な人間と変わらぬ、石ころのままだったろう。だが、今は違う。闇を極めたお前は、今や完璧。私の力を遥に凌ぐ闇を手に入れている。さあ、私の意思を……()を継ぐのだ……>




「……石ころだと…………」



 一応、義理ではあったけど、育ての親だと思っていた頃もあった。けど、それは儚い夢だったのだ。




 こいつは明確な敵。悪。それ以下。




「……覇王、てめぇを闇で殺してやる」

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