第34話 チート・大禁忌魔法
パラドックスへ無事帰還した。
これでやっとまたいつもの毎日が、平和な日々が送れると思っていた。
――――だが。
「………………お、おい」
目の前に現れた光景に、俺は目の前が真っ暗になっていた。
国は徹底的に破壊され尽くされ……
建物は原型を留めていない。瓦礫が散乱している。
同胞らしき黒炭の残骸。
漂う異臭。腐敗臭。耳につく羽音。
そこには混沌があった。
「……そんな、俺たちのいない間になにが……」
「こんなことって……あんまりです」
泣き崩れるゼファをネーブルが支えた。彼女もまた足元が覚束ない。顔面が青く、今にも倒れそうだ。俺も眩暈がしてどうかなりそうだ……。
「ねえ、ユメ。これって魔神のせい……!?」
「……さあ、分からん」
「分からんって!」
「ネーブル落ち着け」
「落ち着いてなんかいられるわけないでしょ……!! 国が全壊したのよ!! デイブレイクの人たちだって、みんな殺されちゃったんじゃ……」
「いや、そうと決まったわけじゃない」
「え……?」
ネーブルが言うように、魔神の大規模奇襲の可能性もある。いや……俺はそうとは思えなかった。今まで、魔神に対しては奮闘していたし、侵入を許すこともなかった。だけど、風の帝王は入ってこれていたけど。でもあれは例外中の例外だ――と、思いたい。
「……把握した」
地面に手を押し当て、なにかを感じ取っていたフォースが俺を見た。あれは重大な何かを察した顔だ。間違いなく。
「なにが分かった?」
「ある者によってパラドックスは滅ぼされてしまった」
「ふむ。それで、敵の正体は?」
「――――覇王・ナイアルラトホテプ」
「やっぱりな。そう来たか……混沌の権化め!」
「やっぱりって、どういうことよ、ユメ!」
「だから落ちつけって、ネーブル」
「これが落ち着いていられますかってーの! ユメこそもう少し亡くなった人に対して思うところはないの!?」
「あるさ。俺はかつてない怒りに燃えている。ヤツに復讐がしたい……闇の覇王に。けどな、その前に国を立て直す」
「立て直すって……もう無理でしょ!」
「無理なんかじゃないさ」
「どうしてそんな自信たっぷりなのよ……」
「…………この最終手段をもう使う時が来るとはな。フォース、過去へ戻るぞ。それしか方法はない」
そうキッパリ言うと、フォースもまた即答した。
「あたしはユメに従うだけ。……了解した」
「まって……過去へ? そんなことが出来るの?」
怪訝な顔をするネーブルは、納得していないようだ。まあ、いきなり過去へ飛ぶっていっても漠然としすぎていて実感湧かないよな。
「フォース、説明してやれ」
「……大禁忌にして、大魔法スキル『タイムリープ』を使えば、記憶を維持しまま過去へ飛べる。テレポート同様に、あたしのどこでもいいので触れていれば、一緒に戻れる」
「フォース、あんたそんなことも出来たのね……」
「そ、そうだったのですね。フォースちゃん、すごいです……」
当たり前だが、初めて知った二人は驚いていた。
「でも、とってもハイリスク。過去改変が失敗すれば、因果律が狂い……致命的なタイムパラドックスを発生させる可能性があり、宇宙そのものが崩壊し、全てが無に帰する危険性がある――ので、推奨はできない。できないけど、あたしはユメの為ならなんだってする」
その瞳はいつだって本気だった。
――ああ、やっぱりフォースは史上最高の極魔法使いだよ。
「そういうわけだ。滅ぼされる前の時間に飛ぶぞ」
「……分かったわ。今までそうしてきたように、ユメを信じる」
「ありがとう、ネーブル。お前の力が必要だ」
「う……そこまで言われたら仕方ないわね!」
「わたくしもユメ様を信じています。ですから、国を取り戻しましょう」
「ああ、過去改変のリスクは承知の上だ。闇の覇王に襲われる前にヤツを叩き潰す。そして、国を破壊されないように未来を変えねば……!! いや、変えてみせる!!」
みんなの気持ちは一致した。
「みんな、つかまって。過去へ行く。タイムリープ時、体調に異変をきたす場合があるけど、我慢して」
――――――そうして、俺たちは過去へ戻ったんだ。
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