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第03話 魔神復活の前兆

 ラストオークを煽動(せんどう)し、向かわせてきたヤツを俺の『闇』で捕縛(ほばく)した。今の目の前には、人間のような男が俺の闇に(とら)われていたが――。



「なんだコイツ。人型モンスターか?」



「クケケケケ……。よくぞオレを捕まえたな。だが、オレは所詮(しょせん)は使い捨ての(こま)にすぎん。新たなクリーチャーがお前ら脆弱(ぜいじゃく)な人間共に襲い掛かるだろう」



「自分で捨て駒って」



「うるさい! それよりいいのか、こんなところでのんびりとしていて……もうすぐだ。もうすぐ魔神・アトラス様が復活する……その時、世界はどうなっちまうだろうなぁ……ケケケッ!」



「なんだと!? 魔神だって!?」



「魔王と和解なんぞ(・・・・・)するからだ! ざまあみろ!! ケケケケケ、クケケケケケ!!」



 俺は、モンスター……いや、『クリーチャー』を闇で粉砕(ふんさい)した。




「ギャアアアアアアアアアアアアアッ!!!」




 まあ、(くく)り的には一緒なのだが、アイツがクリーチャーと言う以上は、そうなのだろう。確かに、あんなバケモノは見たことがなかったし。



「ちょ、ちょっとユメ。詳しいこと聞き出さなくて良かったの?」



 ネーブルが(あせ)る。

 その気持ちは分からんでもないけど、金切り声は不快だった。



「いいよ。もうこの世界を守る使命は終わったし、今の俺は元勇者。どうなろうと知ったこっちゃねぇ。それより、俺たちだけの楽園を(きず)こうぜ」

「そ、そうだけど~。まあいいか、ユメのいる場所がわたしたちの居場所だからね」



 納得したネーブルは、うんうんと(うなず)いた。

 ゼファも同様に笑みを浮かべ、同意。フォースは俺に肩車(勝手に乗ってきた)されつつも、頬を突いてきた。



「ふぉふぃ、ふぉーふ。ふぁめれ~」

「ユメ~~~♡」


 要約すると、フォースも同じ意見だと言いたいようだ。

 理解した。




「よし。じゃ、魔神に注意しつつ進むか」



 ◆



 【 水の聖国 - サンク 】



 ゼファは地図を買いに、ネーブルは昼飯を買いに行った。

 残るは俺とフォース。



 国一番の噴水広場に俺たちはいた。



 二人並んでベンチに腰掛けていると――男に話しかけられた。



「あの、そこの小さな魔法使い様は……もしや」

「…………」



 もちろん、人見知りの激しいフォースは答えない。ので、俺が答える。


「こいつに何か用ですか」



「あなたに用はない。そこの魔法使いさん、確か、世界に七人しかいないという『極魔法使い』アルティメットウィザード様ですよね。なんとお美しい……おっと、失礼しましたね。僕は、この国(サンク)の貴族のスコルと申すもの。察するに、住む場所に困っておられるようですね。よろしければ、僕の家にご招待しますよ」



 そうフォースは、貴族からアプローチを受けた。


「…………」



 そっぽも向かず、フォースはただ無のまま貴族を見た。そして、彼は『ある力』によって、フォースに対しての興味を失い、(きびす)を返した。



 貴族は去った。



「フォース。面倒だからって『ソウルフォース』を使ったな」



 (ことわり)とバランスの力――ソウルフォース。



 極魔法使いアルティメットウィザードにしか扱えない神秘の力である。


 あらゆる万物を浮かせたり、破壊したり。人間(ひと)の心に干渉したりも出来る。さらに凄いことに魔力を高めることもでき、火力が十倍にも(ふく)れ上がる。


 まあ、要は便利な力ってところだな。



「ユメ~♡」


 ピトっとくっついてくるどころか、俺の(ひざ)の上に乗ってくるフォース。聞いちゃいねえ~!! だけど、まあいいか。


 そうして、フォースと閑談(かんだん)をしていれば――



「ユメ様~!」


 ゼファが帰ってきた。手に地図を持って。



「おかえり。ん、ゼファ、手荷物すごいな。どうしたんだそれ」

「実は、いろんな人たちから話しかけられてしまいまして……気づけばこんなにモノが」



 なるほど、ゼファは聖女だからな。

 貢物(みつぎもの)ってところだろう。


 アレなら、しばらく食料には困らないな。



「ユメ~、お昼買ってきたよー」


 ネーブルも戻ってきた。



「へぇ、こりゃ美味そうなトルティーヤだな」

「うん。この国一番だってさ。だから、ちょっと時間掛かっちゃったけど、はい、これはユメとフォースの分。こっちはゼファのね」



「せんきゅ」「ありがと」「ありがとうございます」



 俺は、ゼファから受け取った地図を見ながら、トルティーヤを頬張った。


 どうせ作るなら、島国の方が安全でいいだろう。


 だから、『島』を探した。



「う~~~ん……」

「ユメ様。開拓(かいたく)できそうな場所はありそうですか?」

「うーん、良さげな島でもないかと付近を探してるけど、さすがに地図じゃ無理か。どの場所も火、水、風、地の支配域。……すまん、ゼファ。せっかく地図を買ってきてくれたのに」



「いいえ、何事も失敗はつきものですから気になさらず。……あ、でもそういえば、地図を買いにいく時に、貴族の方からお話を聞かせて戴いて思い出したのですが」



「へえ?」



「大陸は円になっていますよね、その中心に未開拓の地(フロンティア)があるではないですか」



「って、そりゃ……もともと魔王(・・)が根城にしていた……」



「はい、そうです。あの場所は現在、誰も近寄らない暗黒地帯(ダークゾーン)です。あえて新天地とするのは如何(いかが)でしょうか」



 マジか。それはちょっとだけ俺も考えたけどな、う~ん。

 でもなー…。あの場所には魔王がいるし(・・・・・・)



 けれど、他に手段もないだろう。



「分かった。交渉次第(・・・・)では可能かもしれない。少なくとも、話は通じる相手だ。いいだろう、魔王の支配した……いや、今もだけど、世界の中心――『パラドックス』へ向かいますか」



 みんなアッサリすぎるほど快諾(かいだく)した。

 さて、旅はもう少し続きそうだ。あ……船を用意しないとな。テレポートだと距離がありすぎて届かないし。しばらくは船旅だな。

いつも応援ありがとうございます。

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