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第26話 闇の商人

「むぅ……むむぅ」


 今日は珍しく、俺はひとり街を歩いていた。

 誰にも邪魔されず考え事をしたかったからだが、そう簡単に稼げる方法は思いつかなかった。どうすればいい、国の財政は中々にヤバイ。



 あと1週間足らずで破綻(はたん)するだろう。


 そうなる前になにか手を打たねば。



「ボス狩りは大陸へ行かないとだしなぁ……。となると――ん?」



 どこかでゴツイ男たちの声がする。

 あれは……『ブラックスミス』たちか。



 そういえば、鍛冶屋(かじや)があったな。



 ふと見ていると、男たちが俺の存在に気付く。


「よう、ユメくん。なんだい、視察かい? 見ていくか?」


「あー…いや、俺は……ん、武器を作ってるのか」


「そうだよ、この国は常にクリーチャーが襲ってくるからね。護身のためさ。それにね、噂じゃ四属性の国が攻めてきたと聞いた。だからさ、備えあれば何とやらだよ! ガハハハハ!」



 そうブラックスミスのおっちゃんは、豪快に笑った。なるほど、みんなには自由にしてもらっているけど、そういう風に武器を作ったりしていたんだな。



「へえ、素晴らしい剣だな。見せて貰っても?」


「おぉ、お目が高いな。これはな、火の大国(グロリア)でしか採れない隕鉄を使っていてな! 極モノさ。売れば高いぞ~」



「まじか!!」



 そこで俺は、唐突にビリビリのバリバリっと稲妻のようなひらめき(・・・・)が頭上に現れ、俺はとんでもない(・・・・・・)アイディアを思いついてしまった。



「これだ……! これで国を更に豊かに出来るぞ……!」



 資金難を脱却できるかもしれない。

 いや、確実に出来る。



 そもそも、金を得るには何かを作り、売るしかない。――ので、これが一番だと思った。




 武器輸出……!




 これしかない。

 だが、懸念もあった。武器を大量に輸出するということは、敵国を強化してしまうことになる。けど、敵国でなくしたらどうだろうか。



 同盟国にすれば……あるいは。



 ま、どっちでもいいけどな。でも、武器はどこの国も欲しがるはずだ。剣だけじゃない、このパラドックスに設置されている自動迎撃システム。



 アレは喉から手が出る程欲しいだろうな。

 あんな便利すぎる兵器、他の国じゃまず設置していない。それに、どの国も魔神から身を守りたいはずだ。なら、俺にやるべきことはハッキリしているな。



 こりゃ、死の商人ならぬ闇の商人かな。



「いけるな……」


「どうした、ユメくん。なにか良いことでもあったのかい」


「ああ! おっちゃん! 助かったぜ、武器をさ、もっと量産できるか?」


「量産かぁ。できなくはないが、人員と材料がありゃな!」


「分かった。それくらいは何とかしよう」



「本当かい!? 分かった、こっちも今以上に本気でやらせてもらうよ! なんたって、この国には世話になりっぱなしだからね! おーし、野郎共!! もっと気を引き締めていくぞ!!!」




「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」」」」」」」」



 ◆



 家に戻ると、ゼファがフォースを抱えてお喋りをしていた。


 なんて微笑ましい光景! ていうか、フォースよ、そこ変われ!


「フォースちゃんは、肌がスベスベで羨ましいです。ほら、この頬とか……」



 両手でフォースの頬をソフトタッチするゼファは、次第にその力を強めてマッサージのようにグニグニしていた。可愛いヘン顔になっているが、フォースは気にも留めず、されるがままになっていた。



「ゼファ、ほどほどにな~」


「あら、ユメ様。おかえりなさいませ。そ、そうですね……触り心地があまりに良かったものですから、つい……ごめんなさい、フォースちゃん」

「構わない。ゼファのことは大好き」


 ガバッとフォースは、ゼファの胸に飛びついた。

 その反動でゼファは押し倒されて――なんか、ちょっと興奮してしまうようなシーンとなっていた。



「……ふむ」



 今日は甘えん坊モードなのか、胸に埋まるフォース。ていうか、顔が挟まれている――が正しいだろう。あの巨大な乳と書いて、巨乳に。実にけしからん。



「ゼファ~」


「甘えたいのですね、フォースちゃん。いいですよ~、ほら~」


「うん」


 ……くそっ、素で羨ましいな!?



「ユメ様……な、なぜ泣いておられるのですか!? しかも、血の涙を!」


「いや、フォースが恨めしくてね」


「だ、大丈夫です。ユメ様にもあとで、もっと凄いメニューを提供しますからっ」


「も……もっと凄いメニュー、だと!?」



 よっしゃ……!

 俺は心の中でガッツポーズした。



 ◆



 いつの間にか迎撃システムで魔神・テレストなるヤツを倒していた。事情はよく分からないけど、攻めてきていたとはな。



 首元に『13』の文字があったし、13番の魔神っぽいな。まー、階級とかよく分からんけど。どうやら、うちの防衛値、かなり上がったみたいだな。けれど、このままでは維持ができない。早急に立て直さなければ。



 その為にも……光の天国(ベネディ)を頼ってみるか。

 光の女王『フィラデルフィア』なら、俺を助けてくれるはずだ。



「フォース、ワープ可能か?」

「以前のメモが残っている。でも、近くまで。中までは入れない」


「それで十分だ。行こう。ネーブル、ゼファもいいな」


「問題なしよ~。でもさ、あの女王様が助けてくれるかなぁ」


「安心しろネーブル。フィは、ああ見えて優しいぞ」

「えぇ……。いつも表情怖いし、睨みつけてくるし……」



 ネーブルは、女王が苦手みたいだ。



「お土産も持っていかれるのですよね」

「そうだな、ゼファ。ブラックスミスが作ってくれた名剣を献上してみよう。女王を護衛する夢幻()騎士たちなら気に入るだろう」



 ――そんなわけで、資金難を乗り切るため……光の女王に会うことにした。

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