第98話 最後の戦い
【 パラドックス 】
再び国へ戻ると、建物は跡形もなく吹き飛んでいた。
壁こそ健在で、モンスターこそ侵入してきていないが、確かな気配が六人あった。いや、もう一人いるな。この禍々しい気配は久しぶりに感じた。
「……みんな、これが決着となる。準備はいいな」
「問題ない。最後まで全力」
フォースはいつも通り冷静に言った。
「ユメ、わたしも最後まで」
ネーブルも落ち着いた口調で。
「ユメ様、わたくしも」
ゼファは微笑み、祈った。
「誓いは必ず果たします」
真っすぐ俺を見るテスラ。
みんな準備は出来た。
『――――ほう、まさか棺を脱出してくるとはな。儀式は失敗か。だが、あれは『ジークムント計画』の方でね。『プランD』は継続中なのだよ』
闇の中から現れたアインス。
『これが噂の少年かね。はじめまして、闇よ。自分は『ツヴァイ』という者』
ツヴァイ……何かの仮面をつけた性別不明の人物。
『お初目にかかりますな。――吾輩は『ドライ』である」
ドライ……一見、ただの肥え過ぎた貴族に見えるが、身に着けているものは最上級のアクセサリーばかり。革の手袋をしている。潔癖症か?
『パラドックス、面白い国ですね。これはぜひ、我がメタモルフォーゼの物としたい。挨拶が遅れましたね、わたしは『フィーア』です』
声からして女のようだ……こいつも仮面をつけているが、舞踏会のような豪華なヤツだ。だが、まて! フィーアは確か……ディオネの夫では……どうなってんだ?
『我はフンフ。貴様を生贄に捧げる者」
赤いヴェールを被っていて素顔はよく見えない。
女っぽい感じだ。
『ゼクスだ。さあ、始めようではないか、儀式の戦いをな』
なんて美青年だ。あんなのがメタモルフォーゼにいるとはな。
「なるほど、これが秘密結社・メタモルフォーゼの面々ってわけか――。よく分かった…………全員、ぶっ倒す!!! 俺の国から無事に出られると思うなよ!!!」
俺は全力疾走し、まずは付近にいたドライに向かった。
「なななな、吾輩を狙うとな!! おい、用心棒……吾輩を助けろ!!」
「なに、用心棒だと!?」
貴族が叫ぶと、横からあの禍々しい気配が飛び込んできた。
俺はそれを『ダークネス・アサルト』で迎撃した。
「――――くはぁっ!!!」
倒れる人影――いや、こいつの正体は分かっている。
「おい、女船長アリアつーか、テティス!! てめぇの正体は分かってるんだよ!!」
「……くっ、さすがか。ディオネ様の仰る通り、只者ではなかった……」
「お前……王子を騙して、俺の国に入り……あの海賊騒ぎの混乱に乗じて、パラドックスの座標を取ったな。それをメタモルフォーゼに流したわけか」
「……フ、今更気づいたのか。もう知っているとは思うが、この計画の為にこの姿になったのだからな。まあ、以前よりも美しくなって、割と満足しているがな」
「テティスてめぇ。王子はどうした……」
「あんな軟弱な男は捨てたさ。用済みだったしな」
「そうか……! じゃあ、お前はとっと消え失せろ!!!」
テティスは魔神だ。
容赦する必要はない。
『――――――世界終焉剣・エクスカイザアアアアア!!!』
速攻で生成した剣をテティス目掛け、問答無用で叩き斬った。
「なっ……早す……ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
黒い爆炎で吹き飛び、テティスは一撃で消滅した。
「…………ば、馬鹿な。魔神を一撃で……」
怯える肥えた貴族・ドライ。
「言っておくけどな、俺は魔神王を倒したんだぞ……。あの程度で用心棒とは片腹痛い。ドライ、まずはお前を倒す……!」
剣を即座に構え、横に振った。
「うおおおおおおおおおおおお!!」
「うああああああ、やめろおおおおおおおお!!! ……なんてな、このクソ闇ヤロウがあああああああああ!!!」
ドライは手袋を取り、掌を向けて来た。
「――――――っ!?」
ドンっと身体が後退する。
これは、ソウルフォース。敵のではない。
「フォースか!!」
「ユメ、今のは触れたら死んじゃう!!! すぐに距離を取って!!!」
大慌てで叫ぶフォース。ありゃ尋常じゃないな。
「……くっ」
仕方なく、俺はドライと離れた。
「おしかったなぁ……。この手は呪われていてねェ……『ソウルイーター』の力を宿している。相手の魂を引き抜いて壊したり、別の器に移植したりできる」
「お前が……!?」
「そうさ、テティスの魂はこの吾輩が移植してやったのだ。ディオネに依頼されたのでな。くははは……さぁて、闇。お前の魂を寄こせェ!!!」
飛び掛かって来るドライだが、太っているせいか鈍足だ。
「ここは私にお任せを――――コメット!!!」
後方のテスラがドライに向けて大魔法を放った。
よし、ドライは任せよう。
しかし、気づけば、フンフとゼクスが二人同時に接近してきていた。……まあ、そうくるよな。だが――!!
『カラビ・ヤウ!!!!』
広範囲の闇が広がり、敵を飲み込んでいく――はずだった。
二人は凄まじい速度で回避し、素早く宙へ跳躍した。
「さすがに、そう簡単には受けてくれねえか……! けどな!」
『――――世界終焉剣・エクスカイザー射出開始!!!!!』
一気に1000本生成し、剣を飛ばした。
『くだらぬ技だ。その程度ならば、無効化できる。ディスペル……!!』
な……俺の剣が全て消え去った……だと!!
あのゼクスかというヤツ……何者だ!?
『覚えがあるのではないか、闇よ。スキル無効化の兵器『ジェイルブレイク』――あれは、ディスペルを応用したものだ』
「お前が……!」
『……そうだ。僕はパラレルワールドの未来からやって来たのだよ』
そんな……しかしそうか、これが未来の正体か。
分かってしまえば単純だが、これも覇王の仕業か……?
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