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幼女は正義 〜 吟遊詩人は軌跡を唄う 〜  作者: きっと小春
第一章 転生チートのはずなのに
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第6話

 ローレンツ隊長が天幕に入ってきた。


「ジークヴァルト。レオナちゃんの治療は終わったのか?」

「終わるには終わったのですが…」


 プンッと明後日の方向を向く。


「おいおい。ジークヴァルト。何をやらかしたんだ?」

「ジークヴァルトお兄ちゃんは、あたしをお婆ちゃん扱いにしたの!!」

「ジークヴァルト…。ちゃんと謝っておけよ」


 ガッツリイケメン系のローレンツ隊長が目線を合わせるためにしゃがむ。ほぉーっ! やっぱり、イケメンすげぇーっ! 本物の戦う男って感じだね。


「レオナちゃん。辛いと思うが、レオナちゃんは、アルファンスの唯一の生き残りだ。少し…話を聞いても良いかな?」

「ごめんなさい。覚えてないの。気が付いたら街の外にいて…。お父さんやお母さんの顔も声も思い出せないの…」


 ジークヴァルトが、ローレンツ隊長を見る。しかし、ローレンツ隊長は首を横に振った。


「記憶を封じなけらばならない程、恐ろしい目に合ったんだろう。すまなかった。レオナちゃんも無理に思い出す必要はない。さぁ、食事にしよう」


 設営された複数の天幕の中心には焚き火があり、その周りで料理当番なのか数人の騎士たちが作業をしていた。特に焚き火に当たらないと寒いという季節ではないが、ローレンツ隊長はあたしの手を握り、焚き火に近付いた。


「ローレンツ隊長、レオナちゃん。もう少しお待ちください」

「慌てることはない。自分たちのペースでかまわない」


 上司たるものドンと構えて部下たちに任せる。上司の鑑かっ!

 あれ? 上司って…。何だっけ?


 焚き火の揺れる火を見ていたら、ローレンツ隊長から「他にどんなスキルが使えるのか?」と聞かれた。


「えっと…。吟遊詩人(バード)の初期スキルの5つだけ。空腹や乾きを満たす『飽食Lv1』、周囲の音をかき消す『静寂Lv1』、対象を眠らせる『睡眠Lv1』、移動速度を上げる『疾走Lv1』、暗視効果のある『暗視Lv1』だよ」


 ゲームの知識なら、まかせなさい!!


「ほう…。スキルはどうやって増やすんだ?」

「『楽譜』があれば増やせるよ。同一の楽譜だとスキルのレベルが上がるの!!」


 ここでのスキルレベルというのは、例えば『疾走Lv1』のLv1のことで、演奏スキルのことではない。ちなみにレオナの演奏スキルは最大のLv10だ。


「それに良い楽器があれば、演奏の範囲も広がるよっ!?」


 小さな体を目一杯使って吟遊詩人(バード)の凄さを自慢する幼女に、焚き火の近くにいた騎士たちは、思わず微笑んでいた。


 ある事を思い出した。

 大型アップデートで手に入れた、吟遊詩人(バード)専用のフレンドリージェスチャーだ。


 弦楽器のリュートを召喚して、吟遊詩人(バード)専用のフレンドリージェスチャーから『英雄譚(序章)』を選択する。


 静かな導入部分から英雄誕生の瞬間と悲劇の開幕、そして英雄の幼少期…。

 完璧なリュートと歌の演奏に、騎士団50名は幼女に釘付けになった。

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