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王立騎士団の花形職  作者: 眼鏡ぐま
番外編

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98/107

天竜の長くも短い1日 前編

今回もまた天竜のお話です。

 

 朝。

 ハルカの枕元で白い毛玉の状態で目を覚ます。

 天竜の方が先に起きることもあればハルカが先に起きることもある。

 本当はもうずっと手のひらサイズでいることも可能だけれど、万が一寝ている時に誰かが部屋に入って来た時のため眠る時は毛玉なのだ。

 ハルカが朝の支度をしている間、天竜も手のひらサイズの竜に姿を変え、伸びをしたり身を繕ったりする。

 それが一通り終わると、ハルカの魔力の良い匂いが残る布団にくるまり幸せな気分に浸る。

 匂いが好きだと言っても決して変態ではない。

 そこは間違えないでほしい。

 ハルカの魔力の匂いが好きだというのは本当だが、それ以外にもこの温もりに包まれているとなぜかほっとするのだ。

 それをハルカに言ったら「安心感かな~。親の温もりみたいな感じなのかな?いや、私べつに天竜の親じゃないけどさ。でも友達だしね!」と言われた。

 天竜は『なるほど、これが人の言う親の温もりというものか。心地良くて我は好きだ!』と素直に思った。

 ハルカは親ではない。

 そんなことはわかっている。

 そもそも天竜は生まれたときから天竜であり、天竜と同じ存在はいない。

 だから親もいない。

 いないけれど、もし親というものが存在するならそれはハルカのような心温かい者であったら良いなとも思う。

 とにかく、心地良さにうとうとしながらハルカの支度が終わるのを待つ。

 とは言っても、ハルカの支度時間はとても短く終わる。

 時間が掛かるのはせいぜい髪に寝癖がついた時くらいだ。

 時々ものすごく豪快な寝癖を頭にこさえる時があり、ハルカはそれを鏡で見て「うわぁ、スーパー○イヤ人みたい……」と呟いていた。

 詳しくは知らないが、とても強い戦闘民族らしい。

 もしお目にかかったら是非手合わせ願いたいが、ハルカのようにこちらの世界に流されてくる者は稀なので無理だろうとは思っている。

 残念だ。


 そして準備が整うとハルカは朝食を摂りに食堂というところに向かう。

 この時大体はラジアスが迎えにやって来る。

 実はさっきは天竜がハルカを起こすか、ハルカが天竜を起こすかと言ったがどちらも起きられないことも多々あり、その場合はラジアスが起こしてくれる。

 ラジアスはハルカの世話をよく焼いており、二人の一連の行動から天竜はラジアスはハルカの番だと思っている。

 まずハルカの視線はよくラジアスを追っているし、天竜との会話の中でもしょっちゅうラジアスの名が出てくる。

 しかもその内容はラジアスを褒めるものや、その行動によって心がかき乱されると言ったものばかりだ。

 ハルカ曰く「顔が良い、中身はもっと良い。つまり完璧。現実にこんな人がいるとは驚き」だそうだ。

 ラジアスのほうもハルカをよく気に掛けているし、本人たちに聞いたことはないがきっとそうだ。

 となるとハルカが天竜の親なら番のラジアスも天竜の親ということになる。

 ハルカが母でラジアスが父ということだ。


『うむ。悪くない』


 ラジアスという男もなかなか良い男だと天竜は思っている。

 天竜には人間の容姿の美醜はよくわからないが、ハルカに言わせるとかなりの美丈夫のこの男は人間の中では結構強いと思う。

 初め天竜を前にした時、自分との力の差を感じ取っていたであろうに怯えたり、変に媚びへつらったりしなかったところも天竜は気に入っている。

 それにラジアスは優しい。

 ほとんどハルカと共にいる時のラジアスしか知らないが、少なくともハルカには優しい。

 天竜はハルカが大好きなので、大好きなハルカに優しいラジアスももちろん好きだ。

 まあ基本的にこの辺りで暮らしている者たちはハルカに優しいからみんな好きなのだが。

 ただ、ラジアスは天竜の存在を知る数少ない人間であるし、時々天竜の“とてつもなく高い高い遊び”に全力で付き合ってくれるから、ハルカを除いた人間の中では一番好きだ。

 だからハルカの番がラジアスであることは喜ばしいことなのだ。


短いお話ですが、前・後編に分けています。

すみません(;´∀`)


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挿絵(By みてみん)



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