その時天竜は
お久しぶりです!
びっくりするぐらい久しぶりに更新しました。
前話の『あなたと共に』の時、天竜はどうしていたのかというお話。
『……はあ』
『お、どうした? 溜め息なんぞ吐きおって』
『……なぜお前がここにいる』
自身の身体の上で弾む天竜を軽く睨み、ユーリはそう聞いた。
早いうちに森の見回りを終え、後はのんびり日向ぼっこでもしようと思っていたのになぜか天竜に絡まれていた。
『ハルカはどうした?』
『ハルカはな、とても大事な用があるのだ! こういう時は邪魔をしてはいけないだろう?』
『……私の邪魔もしないでもらいたいのだが』
『そう言うな。おぬしもラジアスがいなくて寂しかろうと遊びに来てやったのではないか』
『いつもべったりなお前たちと一緒にするな。私もラズも用がなければそうそう会いはしない』
『そういうものか? まあ我にとってハルカの側は特別居心地が良いからのう』
天竜とハルカのように常に行動を共にするなど考えただけでも煩わしいとユーリは言った。
天竜からしてみれば、大好きなハルカとは常に一緒にいたい。
それでなくてもハルカの持つ魔力のせいなのか、それとも人柄なのか、とにかく彼女の側はとても居心地が良いのだ。
そんなハルカとなぜ今一緒にいないのかと聞かれれば、それはラジアスに頼まれたからだという他無い。
「ハルカと大事な話があるから二人きりにしてほしい」
天竜はラジアスのことも大好きだ。
自分が頼んだからということもあるが、竜である自分のことを恐れず、ハルカと同じように接してくれる貴重な人物だ。
何より、大好きなハルカが大好きな人間で、ラジアスもまたハルカのことが大好きなのだ。
つまり二人は番に違いないと天竜は思っている。
二人とも休みの日なら、自分も一緒に遊びたいと思っていたし、いつもならラジアスも何も言わない。
そんなラジアスが今日ばかりはと頼んでくるということはよほど重要な話なのだろう。
本当ならすぐさま頷いてやりたいところだが天竜はそうしなかった。
なぜなら、最近のラジアスはハルカの方を見てはそわそわしたり、ハルカに気付かれないようにひっそりと王城の外へ行ったり行動が怪しかったからだ。
もちろんハルカはまったく気付いていなかったが。
『最近のおぬしは怪しい行動が多い。ハルカに何を言うつもりだ』と問いただした天竜に、初めラジアスは言い淀んだ。
そして今から言うことは絶対にハルカに漏らさないでほしいと願ってから、その理由を述べたのだ。
『ラジアスはハルカに結婚の申し込みをするらしいぞ? めでたいことだのう』
『? めでたいのか? 結局今と変わらないだろう?』
『これだから若いのは……正式な番となればもう誰にも邪魔されぬだろうが。おぬしも我くらい永い時を生きればそのうち分かるかもしれんな』
天竜からしてみれば、人間はとても短い時間を生きる生き物だ。
その短い命の中で誰かを想い、番となり、子育てをする人間はとても興味深い。
自分は自分でしかなく、気付いた時には“天竜”として存在していた天竜にとってはどこか羨ましくも感じるのだ。
『人間は雰囲気というものに気を配るであろう?我はよく分かっておるからな。今日ばかりはハルカの隣をラジアスに譲ってやったのだ』
偉いだろう?と言いたげな天竜をユーリは呆れたように見た。
長く生きているはずなのに、今は生まれ直して幼体に戻っているせいか、この天竜はどこか言動が幼い。
今さらあの二人に割って入ろうなどという奴はいないだろうとユーリは思ったが、それを言ったらこの見た目は幼いが中身は自分の何倍も生きている天竜がうるさそうだと口を噤んだ。
『のう、ユーリ。祝福の証として二人を乗せて空を飛ぶのはどうだ?』
『やめておけ。騒ぎになるぞ』
そんなことを話しながら天竜はハルカたちの帰りを待った。
そして戻ってきたハルカがとても幸せそうに笑うものだから、天竜も同じように幸せな気分になったのだった。
天竜は二人の邪魔をしないようにお留守番していましたとさ。
そしてここからはお知らせです!
なな、なんとーー!!
『王立騎士団の花形職』が書籍化することになりましたー(≧▽≦)☆彡
驚きだぜい!
まさか書き終えて1年以上経ってこんな嬉しいお話をいただけるとは思いもしませんでした。
『私の名はマルカ』の書籍化だけでも夢のようだったのに、夢にはまだ続きがありました!
ヒャッホーイ( ゜∀゜)ノ
面白いものになるように現在改稿作業中です。
かなり加筆修正が掛かる予定。
公表できる情報が増え次第活動報告で上げていく予定です。
今後ともよろしくお願いします!




