45.贈り物
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「ふふふふふ・・ふんふふ~ん♪」
今日は久しぶりに王城裏の森に来ていた。
最近ユーリに会っていないなと思っていたのと、今手に持っているものを太陽の下でゆっくり眺めるためだ。
『ずいぶんと上機嫌だな』
「だって嬉しいんだもん。キレイでしょ?」
私の後ろでゆったりとくつろいでいるユーリに背を預け、右手に持ったそれを太陽に翳す。
太陽の光を受けて、はめ込まれた琥珀色の石がキラキラと輝いている。
「これね、ラジアス様がくれたんだよ」
そう、私が今手にしているのはラジアスから貰ったもの。
一緒に王都へ行った時に見た髪飾りだ。
ガンテルグ侯爵家から帰宅した日の夜、ラジアスが部屋を訪ねてきた。
「遅くにすまない」
「いえ、大丈夫ですけど。どうしたんですか?あ、中どうぞ」
「いや、ここで良い。これを渡しに来ただけだから」
そう言って差し出されたのは、可愛くリボンでラッピングされた小さな箱だった。
「何ですかこれ?」
開けてみろと言われたのでリボンを解き箱を開けると、そこにあったのは昨日寄ったお店で見た透かし彫りの髪飾りだった。
「これ、あの時の」
いいなと思ったけれど高かったし、自分には似合わないと思って諦めた髪飾り。
それが今目の前にある。
「欲しそうにしていたから」
「いやいやいや!貰えませんよ!あ、今回のお詫びですか?もう食事も奢ってもらってるし十分ですって!」
私は慌てて箱のふたを閉め、「こんな高い物ポンポン買い与えたらダメですよ!お金は自分のために使ってください!」とラジアスの手にそれをぐいぐい握らせた。
押し返された髪飾りを手にラジアスは驚いた顔をして言った。
「贈り物を返されたのは初めてだな・・・」
ラジアスは少し考える素振りを見せてから、また髪飾りの入った箱を私の手に握らせて言った。
「では言い方を変えよう。俺がハルカに似合うと思って用意した。この髪飾りをつけたハルカを見てみたいと思った―――つまりは俺自身のために買ったものだ。それなら問題ないだろう?」
「うわぁ・・・屁理屈」
「はは。まあそう言うな。初王都記念とでも思えば良いじゃないか。受け取ってもらえると嬉しい」
ここまで言われて受け取らないのも失礼だろう。
それにこの眩しいほどの笑顔と共にこんなことを言われては断れるはずもない。
私は髪飾りの入った箱を胸に寄せてお礼を言ったのだった。
「ふふ」
思わずにやける。
だって嬉しいのだ。
たしかに初めは受け取れないとは言ったけれど、好きな人から贈り物をもらって嬉しくないわけがない。
「私に似合うって言ってくれたんだよ」
『そのあたりはよくわからないが、はまっている石はラズの瞳の色に似ているな』
「そう!そうなんだよ!やっぱりそう思うよね!」
私がこの髪飾りを気に入っている一番の理由はそこにある。
透かし彫りの技術も確かに素晴らしいが、間にはまっている石の色がラジアスの瞳の色とよく似ているのだ。
よく物語などでは恋人に自分の色のものを贈るといったことが書いてある。
この世界がどうだかはわからないが、これはもう自己満足だからそれで良い。
『そんなに気に入っているなら使えばいいではないか』
「これはちゃんとした格好の時に使うの」
『今は違うのか?』
「今は男みたいな格好だからね」
『人間は細かいところに拘るのだな。何を着ていても中身は変わらないと思うが』
ユーリ達は服とか着ていないから私たちとは感覚が違うのだろう。
「今度の夜会の時に使うって決めてるんだ」
『夜会?・・・ああ、そういえばやつがお披露目がどうとか言っていたな。私には関係無いが』
そうか。
お披露目されるのは私であって聖獣であるユーリは関係ないのか。
「あれ?そういえば光珠ってユーリちゃんともらえてる?国王が管理しているはずなんだけど」
『コウジュ?ああ、あの光る珠か。時折腹を満たしたくなった時に喰いに行っている。あれは本当に美味だな。今は特に大きくなる必要もないし、一つ喰うとかなりの満足感が得られる』
「ん?光珠食べると大きくなれるの?」
『おそらく一度に大量に魔力を喰らえば大きく、というか成長するだろうな。ただそうなると維持にも多くの魔素が必要になる故効率的ではない。今くらいが一番動きやすいしな』
「いろいろと初耳情報が」
『聞かれなかったからな』
「いや、そんなこと知らなかったしね」
『まあ、とにかく今はこれ以上力をつける必要もないから余っている珠はこのままやつが管理するのだろう。ハルカの後に同じものを作れる者が現れるとも限らんからな』
「あーそっか。現状、作れるの私だけなんだもんね」
自分にそんな特殊な力があるというのはやはり不思議だ。
『・・・気をつけろ』
「なにが?」
急にユーリの声色が真面目になる。
『特異な存在というのは尊敬や憧憬だけでなく、妬心や怨嗟の念を抱かれることもある』
「つまり、何かされるってこと?」
『さてな』
「嫉妬ねぇ・・・」
私は背をユーリのもふもふな体躯にぼすっと預けて木漏れ日の注す森を見上げる。
悪意を向けられるのはもちろん嫌だ。
誰だって穏やかに過ごしたい。
しかしどうにもユーリの言うことに実感がわかないのは、現状そう言ったことが全く無いからだ。
私の周りの人たちは基本的にみんな優しい。
「いまいち実感わかないけど一応気を付ける。心配してくれてありがとう」
お礼を言えば、ユーリはふんっと鼻を鳴らして『べつに心配などしておらん』と言った。
最近思うのだがユーリは俗にいうツンデレというやつだよね。
「素直じゃないな~」と言ったらふさふさの尾で顔を思い切り叩かれたのだった。
久し振りのユーリ登場でした。
更新遅くなり申し訳ありません。
この後の展開を考えて話が繋がらなくなるのを避けるため少し時間がかかってしまいました(-_-;)




