2.大きなもふもふは怖くない
ちょっと短めです。
私は恐怖に襲われながらも獣から目をそらさない。
前にテレビかなんかで熊に遭遇しても背中を見せて逃げるなと言っていたような気がする。
これどっちにしても襲われたら死にそうだけどね!
ただどういう訳か獣はそこから動かない、不思議に思い始めているとグルグルという唸り声とともに別の声が聞こえてきた。それも頭に直接響くような声。
『わざわざ不味そうなものを食べるわけがないだろう。貴様、この森で何をしている』
――え?
思わず目の前の獣を見つめる目を見開く。
『何を呆けている。貴様に問うているのだ。それとも理解できないのか』
「いや、できるけど……」
思わず返した私に獣は再度言った。
『で、なぜこの森にいる。誰の許可を得て入った』
この時私は悟った。というよりは認めたのだ。
ここが私のいた日本、いや、世界とは違うことに。
最初からなんとなくおかしいと思っていた。
だっておかしいじゃない。
私が溺れかけた泉の水、甘かったし……なんか金色の粒がキラキラしてたし。
日本は冬になりかけていたのにここは春の陽気だし。
極めつきは喋る犬のような獣。
はい、決定。
これが異世界ってやつですか、そうですか。
ネット小説にはまっていた友達の話を思い出して私は呟いたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「だからね、気が付いたらここにいたんだよ。むしろここどこ? これからどうしたら良いの? 人っているの? ……私帰れるよね?」
『わかった、わかったから少し落ち着け、流民か・・・て、おい! 勝手に触るな!』
ブツブツ呟いている獣に近づくとぎゅうぎゅうとその軽やかな被毛と身体に抱き着いた。
襲う気がないと分かれば言葉の通じるこの獣の存在はありがたかった。
なんだかんだ知らない場所で一人ぼっちというのは心細かったのだ。
『とりあえず人のいるところまでは連れて行ってやる、付いてこい』
深いため息とともに帰ってきた言葉に最後の質問の答えはなかった。
今は気にしちゃいけない、心が折れそうだから。
やっとこさ2話目。
おかしなところなどあったら教えてくださーい。
見切り発車すぎてどうしたもんか・・・先が思いやられます。




