14.兄として? ※ラジアス視点
ブクマ&評価をくださった方々ありがとうございます!
励みになります。
「副隊長・・・何してるんですか」
「いや、ハルカが魔力を感じ取れるか確認しようと・・・そうしたら思いのほかハルカの手が小さくてだな」
「本当に何やってるんですか。それ別に手じゃなくてもできるじゃないですか」
セリアンが呆れたようにため息をついた。そう別に手でなくとも出来るのだ。肩に手を置くでも何でもお互いが一部触れていればそれで良いのだ。
「あいつ顔真っ赤でしたよ。言葉使いも来た時の感じに戻ってましたし。令嬢方にはあんな砂吐くような甘い台詞言えるのに実は男慣れしてないんですねー」
“男慣れしていない”
セリアンが発したこの言葉にどこかホッとする自分がいることにラジアスは気づいていない。が、次に発される言葉には少々ムッとして顔をしかめることとなる。
「まあ、あんな男みたいなやつにちょっかい出すやつもいないか」
「おい、ハルカはれっきとした女性だぞ。それに有能だし気遣いも出来る。お前だって2ヶ月ほぼ毎日接しているんだからわかっているだろ」
まさかこんな真剣に言い返されるとは思っていなかったセリアンは内心驚いていた。
「いや、たしかに思っていたよりも有能だし良いやつですけど、あの見た目じゃ恋愛対象にはならないと思いますけど」
「それはこの国の常識だ。ハルカのいた世界では短い髪の女性も普通にいたというから、ハルカに懸想する男がいたとしても不思議じゃない。顔立ちだって可愛らしいじゃないか」
そこまで言ってラジアスは自分がハルカを可愛らしいと思っていたことに初めて気が付いた。そして異世界でハルカに恋人がいたのではと考えるとあまり良い気がしなかった。
眉間のシワが深くなるラジアスにセリアンは驚きが隠せなくなっていた。
「あの~、副隊長はもしかしてハルカに惚れてるんですか?」
「・・・なぜそうなる」
少し間が空いた後ラジアスは言った。
ハルカに出会って2ヶ月、いわゆる上司と部下でありそのような間柄ではない。しかし、強がるハルカを見守りたいと思っているのも事実。
ではこの気持ちは何だろうか。恋慕の情、ではない、友愛でもない、となると家族愛・・・。
これが一番しっくりくる。
「きっと俺はハルカのことを妹のように思っているんだろう。家族のことを悪く言われたら腹が立つだろう」
「あー、なるほど。まあ確かに女性に困ったことのない副隊長がわざわざハルカに手ぇ出すわけないですよね」
「お前はまたそういう言い方を・・・」
「あーはいはい、すみません!ところでこの後みんなで飲むんですけど副隊長も一緒にどうですか?」
「今日はやめておく。お前らだけで楽しんで来い。明日に響くような飲み方だけはするなよ」
「わかってますよ」と言って部屋を出ていくセリアンを見送るとラジアスは一層深く腰を掛けた。そして先ほどのハルカの姿を思い出す。
「助かっていると言っただけであんな顔で笑うなんてなー」
泣きそうで、それでいて嬉しさを噛みしめているような、年相応な顔を見せる女性がいた。
男性役者のような口調で笑顔を崩さず、仕事も早いし手を抜くこともない、気遣いも出来るし、物怖じしないし人当たりも良い。流民だからという甘さを差し引いても貴族からの受けも悪くない。
こうして挙げ連ねてみれば良いところばかりではないか。
けれどこれら全てはハルカがこちらに来てから努力した結果と言えよう。
(手も小さかったな・・・あんなに照れられるとは思わなかったが)
貴族の令嬢ほどほっそりとはいかないが、明らかに自分の手との違いを感じた。指先だけであそこまで初心な反応をされるのは想定外だったが、それもまた可愛らしく感じた。
あの慌てっぷりを思い出し思わずくくっと笑いが零れる。
(変な虫が付かないように気を付けねばな)
今はまだ問題なさそうだが。いずれハルカの魅力に気づく者も出てくるだろう。その時は――――
そう、兄として相手を見定めてやろうじゃないか。
そんなことをラジアスが考えているのと時を同じくして、こちらではセリアンがブツブツと呟いていた。
「まさかな。いや、まさかだよな。今までの副隊長の相手のタイプとハルカは全然違うし」
そしてこちらではハルカが。
「これだから手慣れたイケメンはっ・・・!」
三者三様の夜は過ぎていく。
ようやく恋愛要素出てきた・・・かな。
兄ってなんだよ、兄って。
兄妹はそんな手の握り方せんわー!!って自分で書きながら突っ込んでいます。
さあさあ、みなさんこのページの下にある評価ボタンをポチッと押しちゃてください。
よろしくお願いしまっす!




