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詠唱とは②

色々変更しました


お金の価値を変更しました

銅貨10枚=銀貨1枚

銀貨10枚=金貨1枚

銀貨1枚=千円


システムウィンドを開ける様にしました

一部で台詞を変更


ドローグリの話にビードロの事が出なかったので、台詞を変更と追加しました


その他、細かな変更をしました

自分達はかなり高レベルな存在なのではと思い至ったトレバーであったが、かぶりを振ってこの世界の初心者(ビギナー)であると思い直す。


Wide worldの世界では、其れなりの実力を持っていると自負するトレバーだが、現実で武器を振るうのは素人である。

実戦では思い通りに動けない事を想定し、驕りは死に直結すると心構えを正す。


「まぁ、ゴブリンキングが出ても大丈夫だろ。この街には、元金級冒険者がいるからな」


「金級?」


金級ってどれくらいだと考えたトレバーは、冒険者ギルドの受付、フィーネがさらりとした説明を思い返すが、生憎空っぽの脳味噌は情報を蓄積出来なかった。

と言うより、よっぽどの鉱石好きでも無ければ、一度聞いただけで異世界の金属の名前を覚えるのは難しいだろう。


勿論大層な頭脳を持つ読者の皆様に限れば、トレバーが聞き流した冒険者のランクも一度で暗記は可能だ。

しかし、お節介な執筆者は此処で冒険者のランクを説明させて頂く。

何故なら、フィーネの説明は描写されていないからである。


冒険者は鉄→銅→銀→金→ミスリル→オリハルコン→アダマンタイトの順に、上位の鉱石へと評価が上がる。

ただし、勇者や英雄でも無ければアダマンタイトのランクに上がる事は不可能である。

冒険者のランクは、強さだけでは無く信頼も評価値に加算される為、アダマンタイト級の冒険者は一国の王にさえ物申せる程の権力を持つ。

それ故に、アダマンタイト級には相応の責任が問われる為、天災レベルの魔物を無力化する実力と、王族に値する有権力者の推薦を得て漸く至る事ができる。

過去にアダマンタイト級へと至った冒険者の数は、片手で数えられる程度であり、総じて絵本や伝承で語り継がれる存在だ。


安心して欲しいのは、この作品に出る冒険者は難しい異世界の金属が使われる事は殆ど無い。

恐ろしい才能を持った人間が、一生をかけて漸くミスリル級に届くかどうかであり、登場人物の多くは一般人なのでミスリル級に至らない。

また、冒険者最強を目指さないトレバー達には、このランク付けはあまり関係が無く、鉄→銅→銀→金を覚えて頂ければ十分な脳味噌に優しい設定である。

異世界金属の名前が、冒険者の位として使われた場合は、『なんか強そう』『重要な人かな?』等の軽い認識で十分なのだ。


冒険者の一生とは、若く戦える時期の事を指し、大抵は歳老いる前に戦死してしまう。

年齢と共に動かなくなる身体は、やはり冒険者にとって天敵であり、大抵は戦えなくなる前に、養った信頼から別の職へと転職する。

エルフという外見から年齢が分かりにくいが、若くして金級へと上り詰めたマルチダは、かなりの実力を有していると言えよう。


「ああ、マルチダとは昔パーティを組んでいたのさ。この街の商人ギルドのマスターとの結婚を機に引退したんだが、なんせ長命種族のエルフだ。実力は、まだまだ衰えちゃぁいないだろうな」


ニヤリと歯を見せて笑うドローグリ、ため息と共にマルチダは睨みながら文句を言う。


「ドローグリさん、冒険者の情報を軽々しく口にして出すものではありませんよ」


「そうか、悪かった。お詫びと言っちゃあれだが、金貨の件は了解したよ」


お詫びでも何でも無いのですが、というマルチダの呟きよりも、トレバーは彼女が人妻である事実に落胆した。

人妻に手を出して良いのは創作の世界だけであり、実際は君子危うきに近寄らずだ。

後ろ盾も信頼も無いトレバーは下手な事をしたく無い。

骨は純愛好きなのだ。


「マルチダさん、結婚していたのか......」


「ええ、エルフの婚姻はお互いにピアスを贈るんです。両耳にピアスを付けているエルフは、既婚者となりますね」


長い耳につけられた赤い宝石のピアスを、マルチダは少々照れながら見せる。


「ハハハッ!お前さんマルチダが独身(フリー)だと思ったんだろう!?エルフの婚姻の儀を知らない奴は、大抵コイツの外見に騙されるんだぜ!」


「煩いっ!こんな若い美人がいたら、男なら期待しちまうだろうがっ!!」


「バカっ!お前ェ!マルチダはこんな外見だが、歳は俺とた「お黙りなさい」ハイッ!」


ニッコリと笑ったマルチダからは、恐ろしい殺気が漏れる。

一般人として生きてきたトレバーにとっては、今まで経験した事の無いレベルの殺気であり、思わず漏らしそうになる。

勿論、膀胱の存在しない髑髏にその心配は無いのだが。


「ん?マルチダさんが金級という事は、ドローグリ殿も金級なのか?」


「いんや、俺は一般人だからな。銀止まりだぜ」


「一般人が銀なら、世の中は猛者だらけになりますよ」


やれやれと肩を竦めるマルチダ、ソレを見たトレバーは一般人の目安は、冒険者の銅辺りかと予想する。

冒険者のランクは実力だけで無いが、高ランクに至る信頼を得為に、ランクに見合った活躍が必要となる為、自然と実力も必要となる。

それでも、鉄級で最強の骨がいる為、飽くまで目安としか言えないが。


「まぁ、何方にしろ安心って事だな」


「おう、お前さんの様な新人の手を借りなくても問題無いだろぜ!」


キラリとトレバーの胸元に輝く板を見てドローグリは笑う、対照的にマルチダの顔は引きつっていた。

その後も商談がある2人から離れ、店内を物色していると、如何にも魔法と思われる本を見つける。

魔法陣という物は、何時だって少年の心を刺激するのだ。


オリジナル魔法陣を中学生の時に考えたトレバーは、地面やノートの端に描いていた程だ。

特別な自分が描いた物からは、悪魔や女の子が現れると信じていたが、教室にテロリストも来なければ、怪我を無視して戦うなんていう改造人間にもならなかった。


本の背表紙は異世界の文字であるのに、何故か理解する事が可能だった。

魔導書か、と不敵に微笑むトレバー。

不敵に微笑えんだ事は特に理由が無く、皮膚が無い頬が動く事は無かったのだが。

手に取った本はズッシリと重く分厚い。


「“猿でも解る魔術の基礎”......参考書だコレ」


ペラペラ捲りながら唱える魔力媒体を期待したが、タイトル通り参考書の様な内容で、全く魔術の実技には触れていない。

周辺の魔導書は、参考書の様なタイトルばかりであり、パラパラとめくっても内容は似通っており、トレバーは期待ハズレにため息を吐いた。

魔導書の内容は魔術を発動させるには詠唱が必要な事は書いてあるものの、何故詠唱を必要とするのか不明なままであり、詠唱内容も書かれていない。

何故か訳されている単語が魔法では無く、魔術とされている事にもトレバーは何か引っかかる。

wide worldのスキルは全て魔法であり、魔術では無い。


発動の仕組みが違うのか、名称が違うだけなのか。

トレバーは思わずニヤケてしまう。

wide worldの世界に存在しなかった技術であるなら、これは脅威となり得る事と同時に、新たな力とも成る。


「トレバーさんは魔術にご興味があるのですか?」


「あぁ、俺は力に貪欲なものでな」


いつの間にかドローグリとの話を終えたマルチダが、背後から声を掛けてくる。

これは渡りに船か、とトレバーはほくそ笑むが、迂闊に此方の情報を渡すのは危険だと気を引き締める。

トレバーは、マルチダが自分を警戒している事は気が付いていた。

時折見せる視線は、怯えや焦りが混じっている。


「トレバーさんは魔術師なのですか?」


マルチダは腰の剣と、背負った盾にチラリと目を向ける。

無骨なソレはこの街で有名なドワーフによる物であり、初心者に向けた安い品物が豊富である。

トレバーが腕に自信がある剣士で有るならば、目の前の強者には相応しく無い。

警戒や威嚇の為に腰に下げてると推測した。


「見ての通り、俺は剣士だが?」


「失礼しました、この街で売られているデザインに似ていたものですから、購入したばかりかと思いて」


「ふむ?これは貴女の言う通り先程、この街の武器屋で購入したものだが、如何した?」


「あ、いえ、その……トレバーさんの実力に見合っていない様に見られますが」


トレバーの骨粗鬆症のハートは、多大な衝撃を受ける。

お前、弱い癖に良い剣持ちすぎだろと言われたのだ。

金級の実力を持つ美女に。


「そ、そうか……いや、此れはな、一応店で見繕ってもらった奴だから」


トレバーが腰に下げた剣を見せる。


「抜いて見ても?」


美女の口から何度か聞きたい台詞に、トレバーは反射的に頷いた。

自分の手の内を明かすのは迂闊だが、美女の頼みを断らないのは男の性である。


刀身を見たマルチダは、薄っすらと紫がまざる刃に、極僅かにオリハルコンがまじっている事に気がつく。

オリハルコンは、単体では金色に輝き、金の重量の数倍の値段を誇る金属である。

そして、合金とする事で様々な色に染まる。

鉄と混ざる場合は紫に染まるのだが、トレバーの剣は光に当たって漸く紫が混じっている事に気がつく程度だ。

確かに極僅かでも混ぜる事で、鉄の硬度や粘度は上昇し、折れにくい刀身へと変わるが、それにしても余りにも鉄の割合が高い。

マルチダからしてみれば、目の前の魔族の実力に全く釣り合っておらず、本当に理解が出来なかった。


ただし、剣の型は基本的な片手剣となっており、初心者には使いやすそうではある。

その点から、彼は魔術師である実力を隠そうとして剣士の真似事をしているのでは無いかという答えにたどり着く。


「中々良い剣ですね」


「そうか、良い剣なのか。なら、見合う実力を供えなければな」


実力有ります!有りあまります!とマルチダは叫びたかったが、そこは商人として口をつぐむ。

これ以上の実力を持つとは、国を相手に戦争でもするつもりなのかとも叫びたいが、淑女として口をつぐむ。


「それより、魔術について聞きたい事が有るんだが……」


「……えぇ、私も丁度お詫びをしなくてはいけませんでしたので、宜しければお茶でも?」


偶然にも人妻にお茶に誘われる事となったトレバーだが、細かい事は気にしない。

だって骨だもの。

そんな事をトレバーが悩んでいる事も知らず、マルチダはドローグリに挨拶を交わすと、トレバーを連れて店を出る。

2人の会話を聞いていなかったドローグリは、そそくさと出て行くトレバーの後ろ姿に首を傾げたのだった。


マルチダがトレバーを案内したのは、先程お一人様への敷居が高く諦めた店であった。

慣れた様子でマルチダは紅茶を2つ頼み、お茶受けに焼き菓子が出てくる。

砂糖では無く、木ノ実や蜂蜜を使った素朴な味わいであったが、店なりに砂糖を使わずに甘味で持て成す工夫なのだろう。


紅茶と焼き菓子で銀貨5枚とそれなりの値段だ。

庶民が気軽に利用する様な店では無いが、それでも背伸びすれば届く良心的な値段である。

マルチダによれば、商人ギルドが商談をする目的のために経営している店らしい。

街の人間への配慮で利益が殆ど出ない価格で甘味を提供しているのだが、これは冒険者出身のマルチダが、乙女の甘みへの欲求による熱意を旦那に伝えたエピソードがあるのだが、それが語られる事は無いだろう。


互いにお茶を一口飲んだところで、マルチダは深々と頭を下げた。


「先程は申し訳ありません、ドローグリ様にトレバー様の顧客情報を漏らしてしまいました」


「あぁ、何故話を逸らしたのかは分からないが、いい迷惑だ。少なくとも、商人ギルドへの信頼は下がったぞ?」


マルチダは街の金貨をかき集める必要があると話を投げ、敢えてトレバーへと視線を向ける事で注意を逸らした。

トレバーという新参者は格好の的となり、ドローグリは見事その手中に嵌ったのであった。


「せめてもの誠意として事情をお話しさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


「そちらの事情は、関係無いだろう?」


「勿論です。同情を引く事が目的では無く、ただ、聞いて頂きたいのです」


ならどうぞ、とトレバーがジェスチャーをする。

大金を持っている事が広まれば、初心者(ビギナー)の自分は古参(ベテラン)に狙われて命を落とすかもしれない。

そう言った心配から、情報を売られたトレバーはマルチダに対する信頼はかなり下がっていた。

だが、彼女が目の前で魔術らしきものを行使したのも事実であり、どうにか対価に魔術の情報を得られないかと頭を捻る。


「最近ゴブリンが近辺で異常な数発見されており、商人ギルド、冒険者ギルド、そしてこの街の領主、3つの組織が王都の騎士に掃討、及び調査による原因究明を依頼しようと動いています。王都の騎士への依頼は実に金貨3000枚要求され、辺境なこの街では金貨の総数が少ない為、準備に手間取っているのです」


「金貨に拘る必要が無いのでは?銀貨や銅貨、価値の釣り合う宝石、最悪分割でも元が取れれば良いだろう?」


「ええ、ですが彼方は頑なに金貨3000枚を要求しており、それ以外の支払いを認めないと。それも、一括で」


金貨を直接用意して渡さなければいけない事にトレバーは首を捻ったのだが。

王都は王都で、大量の金貨が必要となっている理由があり、トレバーがこの事実を知るのはもう少し先の事だ。


「つまり、俺達の両替は騎士団への依頼の邪魔となるのか。そして、不自然な金貨の動きによって街の住民を不安にさせない様に、これ幸いと目を晒す隠れ蓑として利用してくれたと言う訳だ」


「えぇ、顧客に対し恥じる行為で有ると自覚しておりますが、それでも無用な混乱を避けたかったのです。いるかも分からないゴブリンキングの存在に怯えて、住民を不安に晒せば経済は大きな混乱を見せるのです」


マルチダの真っ直ぐな瞳に、只の会社員であったトレバーはたじろぐ。

だが、此処は優位に立ち、魔術の情報を出来る限り得るべきだと結論する。

そして、この街にゴブリンキングという危機が迫っている事も教えられた。

この情報をトレバーに教える事は、トレバー自身が洩らす可能もあるが、新参の鉄級冒険者が大きな声で騒いだ所で聞く耳持たないのだろう。


「まぁ......俺達に危害が無い内は、少なくとも俺は、其方の顔を立てようとも」


敵対すれば、殲滅するぞ?

そう言った意味合いに受け取ったマルチダは、背筋が寒くなる。

自分はかなり危険な橋を渡ったと。

いるかも分からないゴブリンキングでは無く、実際に目の前にいる魔族の逆鱗に触れてしまう所だったのだ。


「ゴブリンが増えていると言ったが、直ぐにでも上位個体発生による魔物の侵攻(イベント)は起きるのか?」


「いいえ。深部の調査はまだですが、冒険者達の話によれば、森の浅い所にゴブリンが出現する様になった程度です。まだキングの存在が確認を取れていない為、杞憂な可能性も有りますが。この街の冒険者はランクが高くないので、森の深部の情報が無いので、何とも言えません」


覚悟も無いままに強敵と戦う事になるって程、危険な状況でも無いってことか。

トレバーはそう結論付ける。

今日までこの街が此処にあり続けているのだ、ある程度の危機を乗り越えて存在しているである。


「知恵のある統率者が、ゴブリンを外に出すことを抑えている、とは考えられないか?」


「……人為的に起こされたので有れば、可能性はあります。けれど、ゴブリンキングといえど、それ程の知能は持たない筈です」


フラグだな、とトレバーは顎を撫でる。

高確率で人為的、若しくは知能の高いゴブリンキング以上の存在がいるのだろう。

早めにこの街を発つべきか。

そう考えて、大金を両替しようとした事を悔やむトレバー。

しかし、既に取り引きはなされており、3日ほどの期間の滞在はやむを得ない。

最悪あの程度の端金は捨てても良いが、少なくとも魔術の情報だけでも元は取っておきたいものだと、小心さを少し出して考えをまとめる。


「では、魔術について簡単に教えて頂こう」


「ええ、約束ですから。とは言え、私の得意としている魔術は短縮詠唱なので、トレバーさんに使えるかは別ですよ?」


「あぁ、違う。先ずは、魔術と魔法の違いから教えて欲しい」


「魔法……は、お伽話ですけれど」


マルチダは困った様にため息を吐いた。

思っていたよりも、トレバーには基礎から教える必要があると感じたからだ。

だが、人族と魔族との違いを知る為なのだろうと、思い直す。


「そうですね、魔法と魔術の違いは、己の魔力のみで行うか、周囲の魔力も使い行うか……ですね。魔法は前者であり、お伽話の存在と言われています。ただ、かって全ての魔術を極めた賢者と呼ばれた方は、魔法を使う事が出来たと伝承に残っています。それでも、己の魔力のみで行う魔法は大変効率が悪く、初級魔術数発しか扱えなかったようですが……」


「初級魔法?」


「ええ、ひと握りの炎(ファイアーボール)等ですね」


ひと握りの炎(ファイアーボール)は火魔法1段位で習得する、最初の攻撃魔法である。

必要なMPは2であり、Wider worldを始めたばかりの初心者でも10発は撃てる。


「魔術は周囲の魔力を使うのか……だから詠唱を?」


「ええ、詠唱し世界に働きかける事で、周囲の魔力を操り結果を出す事が魔術だと私は教わりましたね。自分の魔力は詠唱に乗せる分のみとなるので、魔力さえ有り詠唱を正しく唱えれる事で、誰にでも発動が可能と理論上は言われてますよ」


勿論、トレバーさんでもね。

と続けて微笑むマルチダだが、トレバーは聞いた情報の整理に意識が削がれ、人妻の笑顔にトキメク余裕は無かった。


「確かに魔術は便利そうだが、知性ある種族相手では詠唱を聞かれたら魔術を盗まれるのでは無いか?」


「ふふ、ええ。魔力を論理に合わせて動かす必要があるので、オリジナルの詠唱なら可能性がある、程度ですけれど……」


「つまり、貴女が朝唱えた様に改変してあるという事か……成る程。詠唱を自分だけの唄(オリジナル)にする事で、防ぐのか」


「ええ、魔術の工程を理解し、正しい詠唱による結果を見ていれば、詠唱を改変や短縮したりする事も可能です。此れを総じて短縮詠唱と呼んでいますね、といっても相応の鍛錬と才能は必要となりますが」


「無詠唱は、不可能なのか?」


「ええ、何かしら世界に意思を伝える必要が有るので……あぁでも、先程の賢者様によれば、魔法を使うのに詠唱は必要無いそうです」


「宜しければ、初級の魔術の詠唱を一つ教えて頂けないか?」


トレバーの言葉に少し考え込む様子を見せるマルチダ。

少し欲をかいたか?

内心舌打ちをするが、それはおくびにも出さない。

肉が無いトレバーは、腹の中は常にオープンだが……。


「本来、魔術は魔術師ギルドに相応の金額を払う事で一部の呪文を公開されます。一応表向きには魔術の暴発による事故を防ぐ、と言う理由で仲間内でも教え合う事は禁止されているのです。実際は利益が出なくなるからですけれど……」


「成る程、と言う事は無理なのか」


「表向き、ですよ。何事も抜け道は有ります、例えば師弟関係、他にも高ランク冒険者による指導」


ニッコリと微笑みながら、マルチダは胸元から金色のタグを取り出す。

引退したと本人は自称するが、冒険者ギルドが登録を抹消するのは本人が死亡、もしくは重犯罪を犯した場合のみであり、隠居しても冒険者ギルドに在籍はしているのだ。

身分証明として、信頼の証ともなる冒険者のランクはやはり便利な物である。


「なら、御教示願おう」


トレバーは新たな力が手に入る可能性に胸を踊らせながら、マルチダと共に店を後にする。

向かう先は冒険者ギルドであり、手数料を払う事で訓練所を借りる事ができる。

魔法では無く魔術、何故この世界の住人が魔法を使えないのか、ある程度予想が出来たトレバーだが、やはり相棒とのすり合わせを行い、客観視しなければ自信が持てない。

異性にモテない小心者(チキンハート)なトレバーであった。

勿論、骨に心臓は無いのだが。

仕事の人手が足りません。

48時間超えの残業をして、お金が払われない上司に哀れさを超えて呆れてしまいます。

毎日早出残業してる私はまだ払われているので、アットホームな職場(超絶ブラック)ですね!


楽してお金が欲しいものです。

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