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プロローグ

気ままに旅をしたいと夢見た事はありませんか?

私は有ります。

ただ、世の中というのはしがらみが有るので難しいですよね。

この作品は、無敵で最強な魔導車に乗って、好きに旅をします。

目的は無く、気ままに3人で。

トレバーとルーシー、後は読者の貴方様。


どうぞ、ごゆるりとお楽しみください。

世界的に有名なVRゲーム、Wider world。

その名の通り広い世界というだけで、公式的なストーリーは何もない。

だが種族もマップも多大にあり、その規模はサービス開始から3年経つ今も全てを埋めきれていないのだ。

また、戦闘職業や生産職業が無い替わりに、スキルや魔法は途方も無い量だ。

武具や魔法に装備制限も無く、その組み合わせはまさに無限大。

Wider worldの自由性は正に新世界と言われる物であった。


Wider worldのとあるマップ。

平原エリアを某泥棒とのコラボイベントである、課金ガチャの景品、フィアッ◯500に似たデザインの車が走っていた。

有名な泥棒とは違い、空色の車であるが。


このフィ◯ット500は魔導車だ。

ゲーム上の説明では不壊属性を備えた例え火の中、水の中、砂嵐も吹雪の中も構わず進む乗り物である。

課金アイテムの中でも、環境ダメージ等を無効化しつつ高速移動出来る高性能アイテムなのだ。

尚、ガチャの割合は1%である。


この魔導車の運転しているのは、Wider worldのプレイヤーの1人であるトレバーだ。

彼はアンデットのスケルトン種であり、TシャツにGパンというラフなスタイルな為、骨の身体がよく見える。

ただ、運転しているのはトレバーだが、持ち主はトレバーでは無い。

助手席に座る、フリフリのゴスロリ衣装に身を包んだ幼女、ルーシーである。

中身はトレバーの会社の後輩で、男だ。


会社に後輩が出来ると聞いた時、若い女性へ手取り足取り指導ではと有頂天になったトレバーだったが、現実は非常である。

独り身で、平日に可愛い女の子の後輩との甘酸っぱい恋愛を想像していたのだが、風邪の看病も、部屋の掃除も、一緒にお出掛けしてくれたのも男の後輩であり、彼は無駄に女子力が高かった。


「センパイ、乗り心地はどうですか〜?」


「......」


「セ〜ンパイ?」


さて、前記した通りトレバーはこの魔導車の所有者では無い。

ボーナスの15万を全てガチャに突っ込んだのだが、1%の女神は微笑まなかった。

ルーシーは配布ガチャチケットで出した。

SNSで、無駄に自慢はしない。

トレバーに自慢しまくっただけであり、とても奥ゆかしい後輩であった。

その結果は、拗ねて返事をしないトレバーだが。


キャラボイスにより、見た目通りの幼い声であるが、ルーシーの中身を知っているトレバーにその魅力は効かない。

トレバーは巨乳が好きだからだ!!


「センパイ拗ねないでくださいよ、運転させてあげてるんですから」


「......拗ねて無い」


「分かりやすいですからね〜、戦闘時にフルフェイスなのはそう言う対策なんですか?」


「......違いますぅ〜」


トレバーは拗ねてはいなかった様だ。

トロトロと走らせる魔導車、その操作は今は珍しいマニュアルで、この車を運転したいと夢見ていたトレバーの夢は見事叶ったのだ。

ルーシーの車で。


「そんなんだからモテないんですよ」


「ハァ?モテないとか関係無いからな!そもそも!俺がモテないのは本気を出してないからだし!俺が声かければ彼女とか作れるから!!」


「通報されないでくださいね〜」


「決闘か?決闘するか!!ルールはデスマッチな!」


ふとルーシーは、眼前に不可思議なモノを見つける。

ソレは霧であった。

濃すぎ、先が全く見えない霧。

空中にマップを開き進行方向や、現在地を確認するが、これ程の霧が出たという話は聞いた事が無い。


「シークレットクエストですかね?」


コテリと首を傾げるルーシー。

Wider worldでは、ストーリーが無い替わりに多大なクエストが存在する。

NPCは高度な人口知能が搭載されており、彼等が考え依頼するのだ。

中には、大被害を事前に食い止めるイベント等があり、そういった時に発生するクエストは1度きりのシークレットクエストとして存在する。


「解らんが、如何する?」


「僕は運転手じゃ無いですからね、ハンドルはセンパイに委ねますよ」


「俺は、1度霧の中を爆速したかった。でもリアルだと怖いから出来ないだろ?」


「これ、僕の車ですからね?」


「アクセル全開だな!!」


かくして、トレバー達は濃霧に包まれていく。

その決断が正しかったのかは彼等は知るよしも無い。

骨は好きですか?

私は好きです、軟骨とか美味しいですし、良い出汁が出ますからね。

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