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吸血鬼の姫は恋をご所望  作者: えりー
7/8

水城の復讐

家に帰るとガラスの割れる音がした。

急いでその方向へ走って行ってみた。

そこにいたのは水城だった。

「な、何でここに・・・」

「もちろん、吸血鬼のお前を殺すためさ」

そう言い水城は柔らかい微笑を浮かべた。

その微笑を見た葵は背筋がぞくりとした。

(この人、本気だ)

「そのため以外にこんなところに来ないさ」

(どうする・・・本性を出す?でも・・・)

「殺されるってのにやけに冷静なんだな」

一歩また一歩水城が葵に近づいてくる。

「迷ってる暇はなさそうね」

そう呟き葵は本性を見せた。

髪と牙が伸び、瞳は琥珀色に輝く。

彼女は宙に浮かんでいた。

「それがお前の本性か!何故人間に化けていた!?」

ふふふふっと笑いこう言った。

「それこそもうあなたに関係ない話よ」

「この化け物め!!」

そう言いながら葵に聖水をかけた。

「あら、服が濡れちゃったじゃない。因みに私は普通の吸血鬼と違うわ。そんなものは効かない」

「くそっ」

水城は悪態をついた。

「・・・私はもう放っておいても滅びる身よ。最後くらい静かに逝かせてくれないかしら?」

葵は悲しそうな表情を浮かべながらそう言った。

「駄目だ、吸血鬼は根絶やしにしなくては・・・!」

そう言って彼は銀のナイフを葵に向かって振り下ろした。

「銀のナイフ・・・!!」

さすがに生身なので切られたりすると普通に怪我をする。

とっさの出来事に葵はよけることが出来なかった。

(刺さる!!)

そう思った時不思議と痛みはなかった。

その代りに抱きしめられた感覚があった。

「大丈夫か?葵?」

「陽介!!」

葵代わりに陽介が刺されたのだった。

「どうしてここに!?」

「何か嫌な予感がしたんで来てみたんだよ」

陽介のわき腹から血が滲み始めた。

その血を見て葵は冷静でいられなくなった。

水城の元へ行き首筋に思い切り噛みついた。

全身の血を吸いつくすように血を吸っていく。

「葵!!やめろ・・・お前が手を下す相手じゃない!!刺されたの俺だ!あとは警察に任せるんだ」

水城の体から葵を引き離し、そう言った。

葵はまだ気がおさまらないようにすごい力で暴れている。

「葵!!」

葵は陽介の声で我に返った。

「陽介・・・ありがとう・・・傷は大丈夫?」

「早く救急車と警察を呼んでくれ」

葵は陽介にそう言われ携帯ですぐに呼んだ。

陽介の傷は深いようで出血が止まらない。

「私なんて庇わなくても平気だったのに・・・傷もすぐに塞がるし・・・」

「吸血鬼は凄いな・・・俺もそうなりたいもんだ」

「陽介?」

陽介はまた葵にキスをした。

「俺を選べよ」

「・・・一度吸血鬼になると年を取るのも遅くなってもう人間界にはいられなくなるのよ?」

「一緒の時を生きてやる」

「それとも俺に恋愛感情を持てないのか?」

「・・・」

(違う、私は・・・初めから・・・初めから陽介の事が好きだったわ)

(だから、その感情に気づかないふりをし続けたの)

「本当に良いの?」

「ああ、言っただろう覚悟はできているって」

そこまで話して、ようやく救急隊員と警察が到着した。

陽介は救急車で運ばれ、意識を取り戻した水城は警察へ引き渡され、葵は事情聴取をされた。


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