気になりますが、ままなりません(幼年期2)
朝、俺が起きる頃には父ちゃんとじいちゃんは仕事にもう出ている。朝は母ちゃんもばあちゃんも忙しいので、いつもそばに居るわけではない。だから呼びかけてソファーに移してもらう。
「ばあば、ばあば。」
「はいはい、おっきしましょうね。」
ばあちゃんが俺を抱いて、ソファーに移動する。ばあちゃんは俺が起きると、しばらくは俺をあやしながらテレビを見るのが日課になっている。ばあちゃんが見るのはワイドショーだ。
実はというか当たり前の事だが、前世の俺の事件が気になっている。今更どうしようのないのだが、どうして殺されなければならなかったのか知りたいのだ。そんな俺の情報源はこの朝のワイドショーしかないのだ。
しかし、ばあちゃんに抱っこされていると、俺はテレビが見られない。まして背中をポンポンされると、また眠たくなってしまう。起きたばっかなのに。
なんとかテレビを見ようと頑張っていると、母ちゃんが俺の朝ごはんを持ってくる。今の俺はミルクと離乳食が半々だ。
「哲ちゃんご飯ですよ〜」
ごはんが来ると、抱っこから解放されてテレビを見られるが、いつの間にか国営放送の教育チャンネルに変えられている。
最初は目的が達せられず不満なのだが、そのうち夢中になってキャイキャイしている。俺ってやつは・・・
特にお歌の番組はテンションが揚がる。
「哲ちゃんご機嫌ね。」
食事を終えてご機嫌でキャイキャイ歌っていたら母ちゃんが俺を膝に乗せてくれた。母ちゃんと一緒に歌う。
当初の目的は完全に見失った。
はしゃいでいると当然疲れる。もう眠い。
「少しお昼寝しましょうね。」
コックリコックリしている俺を、母ちゃんがベビーベッドへ連れて行く。まだ午前中で起きてまだ大した時間経ってないけど。
こんなのを何度も繰り返していると、一日が終わってしまう。我が事ながら、赤ちゃんの寝る時間に驚いてしまう。
赤ちゃんに情報収集は難しいことが判った。