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カツアゲ

 食事会はまだ盛り上がっていたが時間も20時に近づいていたので、平嶋くんは帰ることになった。お母さんがそろそろ帰宅するので、それまでに家に帰りたいようだ。

 だけど、あんなに楽しそうだった表情が少し曇っている。外に出るのが怖いのかな?

 「平嶋くん送っていこうか?」

 「いいよ、いいよ、山下くんはこの食事会の主役じゃない。抜けちゃまずいよ。」

 平嶋くんはそう言って店を出て行った。

 少し心配しながら見送っていたら、トラも気になるのか膝を猫パンチで叩いてきた。やっぱり付いて行ったほうが良いね。

 「平嶋くん一人じゃ心配だから送ってきます。」

 上着を羽織りながらそう言って出てきたら、飯島さんが一緒に来てくれた。

 「子供だけじゃ意味ないでしょ。」

 二人で平嶋くんを追いかけた。幸い交差点を曲がる平嶋くんの後ろ姿を確認できたので、そっちに向かって俺たちも歩き始めた。



 少し早歩きで交差点を曲がると、胸倉をつかまれて路地に引きずり込まれる平嶋くんが見えた。ヤッベー!すぐさま現場に向かって走る。

 「ちょっと、待って。」

 飯島さんが何か言っているが、それどころではない。

 「さっき貰った金が無くなっちゃってさぁ、補充してよ。」

 路地に着くと中学生らしき男が平嶋くんをカツアゲしているところだった。平嶋くんは怯えて何も喋れないみたいだ。

 すぐに、中学生の腕を捕ると、平嶋くんから引き離した。

 「補充ってことは、前にも平嶋くんからお金を脅し取ったのですか?」

 「なんだお前、引っ込んでろよ。それともお前が金を渡すのか?いいんだぜ、俺は誰でも。」

 中途半端な不良で学校ではおとなしいのに、小学生相手に粋がっている小物感がプンプン漂ったやつだ。

 「平嶋くん大丈夫。いくら獲られたの。」

 小物は無視して平嶋くんの状況を確認する。怪我は無いようで良かった。

 「無視すんなっ!!」

 顔を真っ赤にした小物中学生が俺に殴り掛かってきた。小学生は脅せても喧嘩なんかしたことないのだろう、あまりに動きがぎこちなく遅い。

 俺も伊達に小さい頃から合気道をやっているわけではない。殴り掛かってくる方の腕を素早く捕ると、関節を極めて地面に引き倒し確保した。

 「てめー、はなせよっ!こんなことして後で分かってんだろうな!」

 「少し静かにしてください。」

 騒ぐ小物の関節に少し力を加えておとなしくさせる。本当は脇腹を殴ってやるのが効果的なんだけどギャラリーが増えてきたので、人目を考えて止めておいた。

 「警察に通報したわ。それまでおとなしくさせておいて。」

 遅れて到着した飯島さんは状況を見て通報してくれたようだ。しかし、警察と聞いて小物中学生の方は再び暴れ始めた。

 関節を極めているとはいえ相手は俺より体格に勝る中学生、力では敵わないのでギャラリーには分からないように脇腹を殴った。これでようやく小物中学生もおとなしくなった。

すぐに警官が来て引き渡すことは出来たのだが、事情聴取のため俺たちも警察に行くことになった。当然、平嶋くんも俺もそれぞれ家族に連絡しなければならなかったが、それは飯島さんがしてくれた。

 帰ったら怒られる気がする。こういう時、悪いことをしていなくても子供は怒られる事が多い。後の事を考えると憂鬱になる。

 

 

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