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特訓中

 放課後、帰る準備をしていると、クラスメイトの平嶋くんが声をかけてきた。平嶋くんは優しい性格で俺みたいに習い事(合気道)や仕事で付き合いの悪い奴にも、よく声をかけてくれる。 

 「これからドッヂボールするんだけど山下くんもやらない?」

 「ごめんね。人と会う約束をしてるんだ。」

 「いいよ。しようがないね。」

 「また、誘ってね。」

 平嶋くんは嫌な顔ひとつせず許してくれた。

 正直、俺はクラスで浮き気味だと思う。確かに精神年齢は肉体に引っ張られるのか前世+今世の年齢から比べると子供っぽい。しかし、同級性達と比べればどうしても老成している。

 少しオッサン臭い俺にも声をかけてくれる平嶋くんは貴重な存在だ。彼のおかげで遠足なんかでもボッチにならずに済んでいた。

 こんなこと続けてたら俺いじめられるんじゃね。小学生にいじめられる中身中年児童とは情けなさすぎる。何とか避けたいから、平嶋くんとは良い関係を続けたいものだ。その為にも、Kの特訓は厳しめで早く済ませよう。



 家に帰ると仕事部屋には真壁さんとKが待っていた。

 スーパーアイドルと二人きりでKがあり得ないぐらい緊張しているため、全く盛り上がっていない。

 「哲ちゃんせんせーおかえり。」

 重たい空気に困っていた真壁さんが嬉しそうに言ってきた。ちなみに、スパークのメンバーは俺のことを「哲ちゃんせんせー」と呼ぶ。彼らに曲を提供している作曲家だから先生で間違いないのだが、なんか軽い感じがする。まぁいいけどね。

 「これからKさんのギター練習するけど、真壁さんどうする。」

 相手できないことを伝えると、見てるからかまわないと言う。いいなら放っておこう。

 今回はハードロックのギターなので、丁度メンテから返ってきたストラトキャスターを使うことにした。

 「哲ちゃんせんせー、エレキギターをできるの?」

 「ギターに変わりないので問題ないです。」

 セッティングが終わったので、Kに見ているように言いイントロのリフとギターソロを弾く。

 「「オッー」」

 Kと真壁さんが拍手をしてくれる。Kはギターの特訓と言われても子供がコーチでは半信半疑だったのだろう、ようやく納得したようだ。

 「納得できたのなら、俺のことは師匠と呼んでください。」

 「わかったよ。哲ちゃんししょー。」

 俺が渋く決めたつもりなのに、伝わってくるニュアンスが何かおかしい。まぁ細かいことは置いておいて、Kの腕前を見せてもらおう。

 Kが弾いてみせると意外にちゃんと弾けている。しかし、どこか違和感がある。

 Kはギターを弾けるけれど、カッコよく弾くセンスが無いんだな。

とりあえず、リフは徹底的に練習してもらうとして、ギターソロは3パターンくらいを丸暗記してもらおう。

大概はこれで間に合うはず。

 それからKは暇があると仕事部屋に通い、俺のレッスンを受けた。元々ギターは弾けていたので、覚えるだけなら直ぐに出来るようになった。

 レコーディングも終わって特訓の必要がなくなっても、Kは仕事部屋に通ってくる。今では下山さん達とも仲良くなっている。真壁さんに緊張していたのが噓のようだ。

 パラディンの新曲は無事にヒットしてくれた。それどころかアメリカでもヒットした。バンドのメンバーは本当に喜んでいて良いのだが、作詞作曲編曲と全部を今回はやっているので収入がドエライことになっている。おかげで最近の母ちゃんが挙動不審だ。

 仕事部屋のメンバーに相談しても、稼ぎの凄い人たちなので相談にならない。

 まぁ俺が好きに使えるわけでもないので、母ちゃんには悪いけど放置させてもらおう。


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